反安保実 NEWS 第2号

 視点・論点 B
   NHK「女性国際戦犯法廷」番組改ざん
 
   ――何が問われるべきか
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天野恵一 
  


 私は『労働情報』(二月十五日号)の「時評自評」で、私たちが毎年つくりだしている二月十一日の「反紀元節」行動のデモンストレーションが、あらかじめの天皇主義右翼の暴力的介入の予告(デモ解散予定地で彼らの集会とデモが準備されていた)があり、そのコースを大きく変更せざるを得なくなった事実と、「女性国際戦犯法廷」のNHK教育テレビのドキュメンタリー番組への政治的圧力による改ざんをテーマとする集会への右翼の脅迫が続いている件などを重ねて問題にし、右翼の脅迫や暴力に屈するわけにはいかないと主張した。
 二・十一日行動では、NHKへの番組改ざん抗議は可能なデモコースであったとはいえ、やはり私たちは人通りの少ないコースへと押し込まれてしまったのだ。それでも、元気に集会・デモを貫徹した。
 右翼の暴力的な妨害が予測される集会をいくつも走りぬけているこの時期、あの番組改ざんのために介入した政治家安倍晋三(自民党幹事長代理、政治介入した時は官房副長官)がテレビで、「私はただの個人、朝日新聞という巨大な権力が嘘をついて私を攻撃している」というような発言をしているのを偶然眼にした。いつものように笑顔をふりまきながら彼はソフトに語っていた。この〈笑顔の天皇主義ファシスト〉は、巨大な国家権力の座にふんぞりかえり、自分が「言論の自由」を踏みにじったことが、公然と明らかになったにもかかわらず、被害者づらをして、他者を攻撃し続けているのだ。まったく事実にもとづいかない「女性国際戦犯法廷」への誹謗中傷発言をマスコミで重ねながら、あたりまえに考えれば、政治家としての生命が終わって当然の行為が明らかにされた後も、安倍は責任を問われることもなく、ひらきなおってデマゴギーをたれ流し続けているのだ。マスコミは、事実に基づいて安倍を批判することができずにいる。いやそれどころか、この時とばかりに、組織的に「慰安婦」制度をつくった天皇ヒロヒトをトップとする日本軍高官たちの歴史的責任(これこそが多くの「慰安婦」を強いられた被害女性たちの証言によって「法廷」で有罪が宣言されたのであり、安倍たちが改ざんによって隠そうとした事実である)を問うことなど許させるわけがないといった右派メディアの国家主義的トーンに、かなりのみこまれだしている。
 NHK内部の職員の勇気をもった「告発」にも支えられ、安倍晋三、中川昭一ら議員の政治「介入」の事実を報道した『朝日新聞』が正しいのか、事実をまるごと隠し続けている「NHK」のトップたちの主張の、どちらが正しいのか。「朝日VSNHK」という巨大情報産業の対立といった問題(あるいは、こまかい事実、例えば安倍が呼んだのか、NHKが訪ねたのかというような点のみのあげつらい)に、マスメディアのトーンはすりかえられ、どのような「介入」と「改ざん」があったのかという具体的事実をさらに明らかにし、「介入」した人々の責任をキチンと問うという本当に問うべきことが忘れられている。
 「介入」と「改ざん」があったことは、まったくハッキリしているのだから(政治家の介入があり、番組はズタズタになったプロセスは、関係者の証言でこまかく具体的に明らかになっているのだ)。
 もう一点、あの〈笑顔の天皇主義ファシスト〉たちがくりひろげた蛮行の全体が、ほとんど問題にされていないことも気になる。
 安倍や中川は「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」という「慰安婦」問題を教科書から消してしまうことに熱心な議員グループのリーダーであった。
 「女性国際戦犯法廷」は、彼らの「同志」である右翼グループによる暴力(入口に殴りこんできた)と持続的な脅迫(殺すぞとスゴみ続けた)に抗して実現したのである(そして右翼の「介入」に公安警察は全面的に協力してみせた)。この暴力脅迫と介入の延長線上に、ドキュメンタリー「改ざん」問題もあるのだ。
 この「法廷」をつくりだす原動力となった、すでに亡くなっている松井やよりは、この「法廷」を脅迫し続けた右翼グループのNHKへの乱入という事態が、「改ざん」への大きな契機となった事実をふまえつつ、こう発言した。
 「NHKは否定していますが、『新しい教科書をつくる会』なんかに関係している自民党やテレビ批判をしたがっている通信部会の議員などが動いたんでしょう。……目くじらを立てて動いた人がいるわけでしょう。/右翼全体としても、この『法廷』に対する攻撃を強めている」(「『女性国際戦犯法廷』ドキュメント番組の改ざん問題の真相をめぐって」『季刊運動〈経験〉』1号の私のインタビュー)。右翼の脅迫(暴力)と政治家の「介入」はセットであることに、「殺すぞ」の脅迫を受け続けていた彼女は、この段階で十分に自覚的であったのだ。
 彼女は「右翼の介入に屈しない」で「ガンバリ続け」ようと呼びかけ、このインタビュー発言を終えている。私たちも屈するわけにはいかない。
(あまの やすかず/反安保実)

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