報告】政府は名古屋高裁の判決に従え!
    憲法違反の派兵を止めイラクから即時撤退しろ!
    5.10防衛省抗議要請行動

5月10日午後3時から、防衛省正門前にて、「政府は名古屋高裁の判決に
従え! 憲法違反の派兵を止めイラクから即時撤退しろ! 5.10防衛省抗議要請
行動」を行った。
あいにくと小雨が降る中での行動だったが、反安保実、自衛隊イラク派兵差止訴訟の会、
立川自衛隊監視テント村、市民の意見30の会、一坪反戦地主会関東ブロックの上原成信さん、
がそれぞれ持参の申入書を読み上げ、また、全国各地から寄せられた申入書も参加者の協
力ですべて読み上げ、防衛省の担当官へ手交した。
申入書は、次のように全部で11通となりました。
   ■新しい反安保行動をつくる実行委員会
  ■自衛隊イラク派兵差止訴訟の会
  ■立川自衛隊監視テント村
  ■市民の意見30の会・東京
  ■沖縄・一坪反戦地主  上原成信
  ■ほっかいどうピースネット
  ■NO!AWACSの会/人権平和浜松
  ■不戦へのネットワーク
  ■関西共同行動
  ■ピースリンク広島・呉・岩国
  ■市民運動ネットワーク長崎





■新しい反安保行動をつくる実行委員会
内閣総理大臣 福田康夫 様 防衛大臣   石破 茂 様
 名古屋高裁判決に従い、イラクからの自衛隊の即時撤退を求める要請書  2008年4月17日、名古屋高等裁判所は、自衛隊のイラク派兵差止めを求めた民事裁判の判決で、以下のごとき判断を示した。 「……、航空自衛隊の空輸活動は、それが主としてイラク特措法上の安全保障支援活動の名目で行われているものであり、それ自体は武力の行使に該当しないものであるとしても、多国籍軍との密接な連携の下で、多国籍軍と武装勢力との間で戦闘行為がなされている地域と地理的に近接した場所において、対武装勢力の戦闘要員を含むと推認される多国籍軍の武装兵員を定期的かつ確実に輸送しているものであるということができ、現代戦において輸送等の補給活動もまた戦闘行為の重要な要素であるといえることを考慮すれば、多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っているものということができる。したがって、このような航空自衛隊の空輸活動のうち、少なくとも多国籍軍の武装兵員をバグダッドへ空輸するものについては、前記平成9年2月13日の大森内閣法制局長官の答弁に照らし、他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったと評価を受けざるを得ない行動であるということができる。  (4)よって、現在イラクにおいて行われている航空自衛隊の空輸活動は、政府と同じ憲法解釈に立ち、イラク特措法を合憲とした場合であっても、武力行使を禁止したイラク特措法2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいることが認められる」。  明快なイラク派兵は違憲という判決である。そして、この判決は5月2日に確定した。  福田内閣および防衛省は、この司法の判断に従う義務がある。これを無視するという許されない態度を直ちに改め、イラクからすべての自衛隊員を撤退させよ。  そして、今まで自衛隊がイラクで行ってきた活動の具体的内容全てを、主権者「国民」の前に明らかにせよ。 2008年5月10日 新しい反安保行動をつくる実行委員会(第12期) 連絡先:FAX 03(3234)4118 東京都千代田区三崎町3-1-18 近江ビル4階 市民のひろば気付     メール hananpojitsu@jca.apc.org       URL http://www.jca.apc.org/hananpojitsu/


■自衛隊イラク派兵差止訴訟の会
  「自衛隊のイラク派遣は違憲」
名古屋高等裁判所の判決に従って、自衛隊のイラクからの即時撤退を求める要請書 防衛大臣 石破茂様    防衛省職員の皆さま 自衛隊員の皆様 ご家族の皆さま  4月17日、名古屋高等裁判所は自衛隊イラク派兵差止訴訟判決において、航空自衛隊がアメリカからの要請によりクウェートからイラクのバグダッドへ武装した多国籍軍の兵員輸送を行っていることについて、バグダッドはイラク特措法にいう「戦闘地域」に該当し、この兵員輸送は他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない行動であると判断しました。そして、憲法9条についての政府解釈を前提とし、イラク特措法を合憲とした場合であっても、この兵員輸送は、武力行使を禁じたイラク特措法2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同法同条3項に違反し、かつ憲法9条1項に違反するとの判断を示しました。  わたしたち自衛隊イラク派兵差止訴訟の会は、この歴史的画期的違憲判決を、世界の平和を希求する市民と共有すると共に、自衛隊員の皆さま、ご家族の皆さま、職員の皆さまと共に喜び合いたいと考えています。  皆さまは、政府が言ってきた「人道復興支援」「平和貢献」だとか「自衛隊の行くところが非戦闘地域だ」とかの説明の欺瞞性を一番良く知っていらっしゃいますし、一番の被害者であります。憲法違反の派遣命令は拒否できます。拒否することが公務員にかせられた憲法尊重擁護義務・憲法99条に従うことであります。4・17イラク訴訟違憲判決は、平和的生存権は、全ての基本的人権の基礎にあってその享有を可能ならしめる基底的権利であり、単に憲法の基本的精神や理念を表明したにとどまるものではなく、憲法上の法的な権利として、その侵害に対しては裁判所に対して救済を求めることができる場合がある具体的な権利であると判断しました。皆さまは直接に平和的生存権を侵害されている被害者なのです。  石破大臣、貴方がいま最優先で行わなければならない職責は、福田首相にイラク・アラビア海からの自衛隊撤退命令を出させることです。日本国憲法の下、名古屋高等裁判所が、緻密な事実認定の上に、憲法9条を解釈し下された違憲判決を尊重し、従うことが憲法尊重擁護義務を負う貴方の責任です。一刻も早く自衛隊を撤退させるように最大限の努力をするように要求します。それが隊員の命と生活を保障する貴方の責務です。危険な戦地から一刻も早く自衛隊を戻しなさい。即刻撤退せよ。  
 2008年5月10日   自衛隊イラク派兵差止訴訟の会


■立川自衛隊監視テント村
申入書 石破防衛大臣 殿
 2008年4月、自衛隊のイラク派兵をめぐって、重大な二つの司法判断が確定した。 ひとつは、イラク派兵反対を呼びかけるビラを自衛官の住宅にポスティングすることは「違法」だという判決。 もう一つは、自衛隊のイラク派兵は「憲法違反」だという判決。 ビラをまいただけの3人は、75日間も勾留されたあげく、10万円から20万円の罰金をとられ「有罪」の烙印をおされた。 4年にわたって憲法違反を続けてきた自衛隊では、判決を「そんなの関係ねえ」と言い放った将軍が辞めさせられることもない。 防衛省自衛隊は、憲法違反の海外派兵を隊員に強いて、反戦運動を犯罪にしたてあげ、自分たちの行いを全て正当化して、批判には耳も傾けない。 石破大臣、これがあなたのいうシビリアンコントロールなのか?有事法制を通したときも、テロ対策特措法を通したときも、防衛省改革を宣言した時も、あなたはいつも「シビリアンコントロールの適正化」と言った。 だがどうだ。将軍たちが裁判所と憲法を「関係ねえ」と言い放っても、情報部隊が反戦運動を弾圧するために暗躍しても、彼らはこれっぽっちも地位を脅かされることはない。あなたは一人の首もすげかえようとしない。 シビリアンコントロールはすでに破綻している。 都合の悪い言説から、隊員たちを隔離しようとした時点で。 裁判所が自衛隊にくだした都合の悪い判決に、将軍が唾をはいた時点で。 私たちは問題を感じている。だから以下、申し入れる。 名古屋高裁による航空自衛隊のイラク派遣の違憲判断を尊重して、ただちに航空自衛隊をイラクから撤退させること。 立川反戦ビラ弾圧に関して、陸上自衛隊情報保全隊および東立川駐屯地がとった対応の全てを公開し、弾圧の一翼を防衛省が担ったことを認め、同事件の元被告に謝罪すること。 以上 2008年5月10日 立川自衛隊監視テント村 東京都立川市富士見町2‐12‐10‐504/042‐525‐9036


■市民の意見30の会・東京
日本政府に対し、自衛隊がイラクとインド洋から即時撤退することを求める声明                         市民の意見30の会・東京      2008年4月22日
 名古屋高裁は4月17日、自衛隊イラク派遣差し止め訴訟判決において、米軍を支援する航空自衛隊の空輸活動を「憲法9条1項(戦争の放棄)に違反する」という判断を示しました。9条1項について司法が違憲判断を示したのは、日本国憲法制定後、初めてのことです。  アフガニスタン・イラク侵略戦争はブッシュ米大統領によって起こされた徹頭徹尾国際法違反の戦争です。これによるイラク人犠牲者は15万人を超え、航空自衛隊が「復興支援」を名目に空輸を続けている米兵の死者数も4000人に達しました。この侵略戦争への日本の加担に反対し、イラク・インド洋からの自衛隊の即時撤退を求めてきた私たちは、名古屋高裁の画期的な判決を高く評価します。判決は、現憲法の下で違憲立法審査権を付与された司法府の責任をまっとうしたものであり、行政府と立法府はこの判決を尊重すべきです。  ところが日本政府はこの判決を無視する姿勢を露骨に示しています。福田首相は航空自衛隊の空輸活動について「問題はない。特別どうこうするということはない」とのべ、町村官房長官は「判決主文でない、こういう傍論を認めるものではない」と開き直りました。さらに自衛隊の田母神航空幕僚長の口からは「『そんなの関係ねえ』という状況」という暴言が飛び出しました。  私たちはこのような政府・自衛隊の姿勢に強く抗議します。司法府による違憲の指摘を行政府が真摯に受け止めることは、憲法99条が規定する公務員の憲法尊重擁護義務を果たすことであるにもかかわらず、「他国による武力行使と一体化した行動」(判決)を続けることを表明するのは、さらなる違憲行為です。  私たちは、日本政府に対し、今回の名古屋高裁判決を尊重し、自衛隊がイラクとインド洋からただちに撤退することを強く要求します。


■沖縄・一坪反戦地主  上原成信
防衛大臣 石破 茂殿
                    2008/05/10
                      沖縄・一坪反戦地主
                           上原成信
           自衛隊幹部の罷免要求

 名古屋高等裁判所は4月17日、「多国籍軍の武装兵員を戦闘地域のバグダッドへ空輸する」ことについて憲法9条1項に違反すると判決し、その判決は5月2日に確定した。
 この画期的な判決に対して、公務員である航空幕僚長・多母神俊雄は『そんなの関係ねえ』とうそぶいたと報じられている。
 公務員は憲法99条で憲法の尊重・擁護を義務づけられており、多母神某の発言は公務員として許されないことである。したがって同人は即刻罷免されるべきであり、それを実施するのは貴殿の責務である。


■ほっかいどうピースネット
福田 康夫内閣総理大臣殿 石波 茂 防衛大臣殿 2008年5月10日
4月17日の名古屋高裁判決にしたがい、 イラクから航空自衛隊を撤退させてください  ほっかいどうピースネット  私たちは、平和や人権を大切にする社会、憲法九条が実現される社会をめざして活動しているネットワークです。私たちのメンバーには、自衛隊イラク派兵差止め北海道訴訟の原告になっている者もいます。北海道訴訟では、いまのところ私たちの主張は認められていません。  しかし、4月17日、名古屋高等裁判所は、3000人を越える市民が自衛隊のイラク派兵差止と損害賠償を国に求めた訴訟の控訴審判決において、航空自衛隊が行っている米兵等のイラクへの輸送について、輸送先のバグダッドはイラク特措法のいう「戦闘地域」であって、そこに米兵等を輸送する活動は、米軍と一体となって行う「武力行使」であるとし、政府の憲法解釈に拠ったとしても、イラク特措法及び憲法第9条1項に違反するとの画期的な判断を下しました。さらに、市民の平和に生きる権利(平和的生存権)について、「全ての基本的人権の基礎にあってその享有を可能ならしめる基底的権利」であり「単に憲法の基本的精神や理念を表明したに止まるものではない」と述べた。  私たちは、この判決が出たことを喜び、これを強く支持します。この判決は出るべくして出たまともな判決であり、今までこうした判決が出なかったことの方が不思議なくらいです。  私たちは、政府と防衛省に対して、この判決に従って、航空自衛隊をイラクから今すぐ撤退させることを求めます。  しかし政府は、この判決に対し、結論は国の勝訴であり違憲・違法の指摘は傍論にすぎないとか、国が上告できないのはおかしい等と述べ、無視しようとしています。田母神俊雄航空幕僚長は、記者会見で、隊員に与える影響を問われて「そんなの関係ねえ」と言い放ちました。  こうした強弁をいつまで続けるつもりでしょうか。なかでも田母神幕僚長の発言は、政治的中立性を尊守しなければならない公務員としての違法発言であり、司法など無視してもかまわないという軍人の発言です。こういう人間を、税金を使って養うことはありません、ただちに懲戒免職することを求めます。
 自衛隊のイラク派遣は、その当初から、憲法が禁止する「武力行使」だと指摘されてきました。にもかかわらず、小泉首相(当時)は「どこが戦闘地域か非戦闘地域かなど、私にわかるわけがない」「自衛隊が活動するところが非戦闘地域だ」などと、人をばかにした発言を繰り返してきたのです。自分の頭で考えば、イラクが戦闘地域だということは誰にでもわかるはずです。今回の判決は、私たち市民の常識を改めて法的に裏付けたものです。
 くりかえします。政府と国会は、名古屋高裁判決にしたがい、   
(1)現在行っているイラクへの自衛隊派遣を直ちに中止し撤退すること   
(2)イラクで自衛隊が行なった活動すべての情報を明らかにし、法的ならびに財政的な面から検証すること。
を求めます。


■NO!AWACSの会/人権平和浜松
 日本国首相様                           
 防衛省大臣様               2008年5月10日 NO!AWACSの会 人権平和浜松        
 イラクからの空自の即時撤兵を求める要請書 2004年初めからの空自の派兵はすでに15期に及び、浜松基地からはこの4年間でイラクへと100人を超える隊員が派兵されました。各地からの空自の派兵人数はのべ2500人になり、空自の現地での輸送は700回ほどとなっています。とくに、2006年7月以後はバグダッドへの米軍輸送が中心となり、この2年弱で2万人もの米兵を輸送したといいます。派兵されるC130は浜松基地で空色に塗装され、浜松南方の遠州灘沖でも飛行訓練をしています。浜松はイラク戦争への派兵拠点となっています。私たちはこの現実に抗議し、即時の撤兵を求めます。 2008年4月17日には、名古屋高裁がイラクでの空自の活動を違憲とする判決を出しました。判決では、空自のバグダッド空輸を憲法9条第1項違反であると認め、平和的生存権を戦争から国民を守るための具体的権利として認めました。政府はこの判決に従うべきです。また政府はC130による米軍輸送の全貌を明らかにすべきです。 4月14日には、2005年に浜松基地で自殺した隊員の遺族が、自殺が隊内での暴言・暴行などの人権侵害によるものと、損害賠償を求める裁判を起こしました。自殺した隊員はイラク派兵によりクウェートへと派兵された隊員のひとりです。派兵による人員不足も人権侵害の一因とされ、帰国すると人権侵害はさらにひどくなったといいます。自衛隊は人権侵害の実態の真相を明らかにすべきです。イラク派兵などの海外派兵を中止することがこのような人権侵害と自殺を減らすことになります。 4月の日米共同の空中給油訓練では、浜松のAWACSの管制指揮の下で、米軍嘉手納基地の米軍空中給油機が日本の千歳基地のF15に給油する訓練をしています。このような訓練は対外侵攻につながるものであり、中止すべきです。また「ミサイル防衛」計画による浜松基地へのPAC3の配備計画も撤回すべきであり、宇宙の軍事化をすすめる「宇宙基本法」の制定も断念すべきです。 以上要請します。   連絡先 浜松市旭町浜松郵便局私書箱77号 NO!の会  0534224810


■不戦へのネットワーク
申し入れ書   
防衛大臣 石破 茂 様
 私たちは名古屋を中心に、平和に関わる運動を続ける市民運動団体です。4月17日、私たちのメンバーも原告として名をつらねる「自衛隊イラク派兵差し止め訴訟」において、名古屋高裁は米兵などを輸送する「航空自衛隊の空輸活動はイラク特措法違反そして憲法違反」、「平和的生存権は法的権利」とする判決を出しました。 この判決を政府、防衛省は厳粛に受け止めなければなりません。あらためて三権分立の原則や、憲法尊重義務などをもちだすまでもなく、当然のこととして、この司法の判断を尊重しなければなりません。判決に真剣に向き合わなければなりません。イラク派兵を考えなおさなければなりません。その上で国民に納得できる説明をしなければなりません。当然の手続きです。にもかかわらず、政府や防衛省の責任ある人たちは「主文ではなく傍論だ」、「判決文は大臣をやめて暇になったら読む」、航空幕僚長にいたっては「そんなの関係ない」などと発言しています。裁判所は証拠に基づき判断をしたのです。それにたいしてこうした感情論です。あぜんとします。政府、防衛省は情報開示することもなく、事実に基づいた納得できる説明もしていません。                しかしこの判決は確定しました。私たちはこの確定した判決に基づき、道理をもって正々堂々と申し入れをします。司法によって明確に憲法違反と判断されたイラク派兵を中止してください。自衛官を憲法違反の任務に従事させないでください。名古屋高裁の判決を貶めるような発言は謝罪訂正してください。以上申し入れします。この申し入れにたいして誠実に対応してください。             2008年5月9日 不戦へのネットワーク
 名古屋市昭和区鶴舞3‐8‐10 労働文化センター2階  TEL052(731)7517


■関西共同行動
内閣総理大臣 福田康夫殿 防衛大臣   石破 茂殿
自衛隊イラク派遣差止名古屋訴訟高裁判決に関する申し入れ
 今年4月17日、自衛隊イラク派遣差止等名古屋訴訟控訴審で、控訴人側の請求は斥けられましたが、判決理由のなかで違憲である等の判決がありました。これに関して控訴人側は5月2日、上告しないことにより確定しました。  これらは、いわゆる「ねじれ判決」として報道等により広く知られるところですが、この報道に対して福田首相の「傍論ね」発言、田母神空幕長の「関係ねえ」発言、その他閣僚発言などがありました。国の重要な職務にあり憲法尊重義務(憲法99条)のある方々がこのように憲法軽視の発言をされることは、故意に判決を貶めるものとして極めて遺憾であります。  確かに終審裁判所の最高裁とは違いますが、憲法判断権をもつ限り下級審の判決も尊重し、拘束力がなくとも謙虚に耳を傾けるべきて「蛇足」かのごとき発言は慎むべきであります。  米国等のイラク攻撃開始以来5周年となりましたが、イラクはいまだ混沌としておりアフガンも同様です。イラク攻撃理由とする大量破壊兵器の存在はなく、米ネオコンの誤った占領政策について、米元高官らの証言も続いています。これらに追随して自衛隊派遣を開始した小泉政権関係者からは何の反省もなく、テロ特措法やイラク特措法はいまなお延長が続いています。  イラク開戦と自衛隊イラク派遣に際し、札幌での箕輪元通産大臣の提訴を皮切りに全国12カ所、約5700人がこれらを違憲として提訴を開始し、大阪でも作家小田実を代表として1045人、別に36人が本人訴訟で提訴しました。  これら各地訴訟のなかには一定の理解を示す判決もありましたが、名古屋高裁の判決は、長沼ナイキ訴訟一審で提起された平和的生存権を認め、イラク特措法からみても自衛隊派遣は憲法に反していることを判示しました。  「戦闘地域がどこか、私に分かるわけはない」「自衛隊のいるところが非戦闘地域だ」など、かつて小泉首相の「迷答弁」がありましたが、元来、戦闘前線と後方兵站線とは線引きできるものでないことは、先の大戦でも立証され軍事常識でもあります。 4月30日の毎日新聞は、かつての「砂川事件」で米駐日大使と最高裁長官との「密約」があったことが報道されましたが、長沼ナイキ訴訟でも「平賀書簡」という判決に関わる干渉がありました。「傍論」「蛇足」などとして故意に軽視することも一種の干渉であり慎むべきです。平和的生存権または幸福追求権は、今日のワーキングプアの問題を含め、いつまでも具体的権利性のない「絵に描いた餅」であってはならないでしょう。  政府、防衛省は名古屋高裁の判決を真摯に受け止め、拘束力はないとしても以下を検討されることを申し入れます。 一、速やかにイラクの空自輸送活動を停止し、クエートから撤退すること。 一、「ねじれ国会」のもと強引に延長されたテロ特措法を廃止し、インド洋の海自給油活動を停止するこ   と。 一、かつての「自衛隊の海外派兵をなさざる」国会決議を尊重し、伝えられる「恒久派兵法」の検討をしな   いこと。
2008年5月10日 関西共同行動


■ピースリンク広島・呉・岩国
内閣総理大臣福田康夫様 外務大臣高村正彦様 防衛大臣 石破茂様                        2007年5月10日 名古屋高裁の航空自衛隊のイラク派遣違憲判決を真摯に受け止め、 直ちに撤退することを求める  私たちは被爆地・ヒロシマの周りに数多く点在する軍事施設の存在を問題にし、広島・山口の両県にまたがって平和運動を行っている市民団体ピースリンク広島・呉・岩国です。  4月17日、名古屋高等裁判所は自衛隊イラク派兵差し止め訴訟において、現在イラクで行われている航空自衛隊の活動について、「自衛隊の活動、特に航空自衛隊がイラクで現在行っている米兵等の輸送活動は、他国の武力行使と一体化したものであり,イラク特措法2条2項,同3項,かつ憲法9条1項に違反する」との判断を下した。  1990年の湾岸戦争への自衛隊掃海艇派遣以降、自衛隊の海外活動が次々に拡大されてきた。しかし、今回のイラクへの自衛隊の派兵は、「日本国憲法下においてはじめて「戦闘地域」に自衛隊が展開し、米軍の武力行使と一体化する軍事活動を行ったことであり、これは日本がイラク戦争に実質的に参戦したことを意味している。 この判決に対して福田総理をはじめ日本政府は判決に対して「裁判のためどうこうする考えはない」と述べ、町村官房長官は「違憲判断部分は傍論だ」と述べるなど、派兵継続に固執し、判決を軽視する姿勢をとり続けている。そればかりか、空幕長は「関係ねえよ」とまで発言している。 国会でもイラクで自衛隊が行っている活動の詳細を明らかにせず、実際には参戦と評価できる活動をしている事実を覆い隠し、国民には秘密の内に憲法違反の自衛隊派兵の既成事実を積み重ねようとする許しがたい態度である。 私たちは次のことを求めます。 名古屋高裁の「違憲判決」を真摯に受け止め、イラクから直ちに航空自衛隊を撤退させること。 イラク派遣およびインド洋での活動に関する情報をすべて公表すること。 インド洋で活動する海上自衛隊も撤退させること。 「海外派兵恒久法」の制定をやめること。
以上 入れるな核艦船!飛ばすな核攻撃機!ピースリンク広島・呉・岩国(28団体) (連絡先)広島世話人:新田秀樹(ピースサイクル広島ネットワーク)       広島市中区大手町4-3-10(広島YWCA気付)090-3373-5083
呉世話人:西岡由紀夫(トマホークの配備を許すな!呉市民の会) 呉市幸町3-1(呉YWCA気付)0823-21-2414  岩国世話人:田村順玄(リムピース岩国) 岩国市牛野谷町3-75-19 0827-31-3383 カトリック正義と平和広島協議会 共育・共生を進める広島連絡会 呉教育労働者研究会  呉ピースサイクル 呉YWCA79女たちから  8.5広島集会世話人会 芸南火電阻止連絡協議会 原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会 在日韓国青年同盟広島県本部  更紗の会 市民運動交流センターふくやま 障害者サポートセンター OGETHER広島 ストップ・ザ・戦争への道!ひろしま講座 全国水平運動研究会 第九条の会ヒロシマ 毒ガス島歴史研究会 トマホークの配備を許すな!呉市民の会 広島キリスト者平和の会 広島平和と生活を結ぶ会 日本キリスト教団広島西分区牧師会  日本軍「慰安婦」問題を考える会・福山  広島YWCA ピースサイクル広島ネットワーク  日本キリスト教西中国教区基地問題特別委員 平和を考える市民の会・三次 米兵犯罪を許さない岩国市民の会  わたしたちの性と生を語る会・広島  リムピース岩国


■市民運動ネットワーク長崎
福田康夫内閣総理大臣、石破茂防衛大臣 殿
名古屋高裁判決に従って 直ちに自衛隊をイラクから撤退させることを求めます。 2008年5月10日 市民運動ネットワーク長崎代表  舟 越 耿 一  ブッシュ大統領は国連憲章を無視してイラク戦争を開始し、小泉首相は日本国憲法を無視してイラク特措法を成立させ、自衛隊をイラクに派遣しました。このような無法な試みが成功するはずがないと考えていましたが、案の定、イラクはベトナム化して収拾のめどが全くつかない無政府状態に陥っています。いまも日々、罪のないイラクの民衆が犠牲になっていることを思うと、米英軍・自衛隊をはじめとする多国籍軍の罪深さとその蛮行を止めきれなかった私たちの無力さに胸がつぶれる思いがします。  このたび4月17日、名古屋高等裁判所は、いまだバクダッドが戦闘地域であり、航空自衛隊による多国籍軍武装兵員のバグダッドへの空輸は、他国の武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ず、イラク特措法に違反しかつ憲法9条1項に違反する活動を含んでいるとの判決を下しました。まことに真っ当な判断であると言わざるを得ません。そしてこの判決は確定する見通しであります。  そこで私たちは、イラクに派遣されている全自衛隊員の即時撤退を要求します。日本は立憲主義の国であり、法治国家でありますから、すべての公権力は憲法と法律、裁判所の判決に従わなければなりません。防衛省田母神俊雄航空幕僚長が18日の記者会見で、現地で活動する隊員に与える影響を問われて、「そんなの関係ねえという状況だ」と答えたと報道されていますが、これに加えて防衛省が航空自衛隊の即時撤退を決断しないとすれば、日本の自衛隊はかつて中国大陸で勝手に戦線を拡大していった関東軍と同じ過ちを犯すことになります。  かかる事態にならないように、イラクの自衛隊はただちに日本に引き揚げさせなければなりません。立法権・行政権の行使をチェックするのが司法権の仕事であります。この三権がお互いにチェックし合って均衡を保つシステムが三権分立であり、これは立憲民主主義の基本原則にほかなりません。この基本原則が機能しないとすれば日本は立憲主義も法治主義もかなぐり捨てた国家に堕落することになります。  米国の大統領ももうじき代わり、ユニラテラリズムもイラク政策も転換することになります。したがって日本政府の判断が早すぎることはありません。高裁判決を奇貨として日本政府が劇的にイラク政策を転換し、憲法の平和主義に立ち返ることを私たち国民は心から歓迎します。いまこそ英断を求めます。




連絡先
新しい反安保行動をつくる実行委員会
東京都干代田区三崎町3-1-18 近江ピル4階 市民のひろば気付 
FAX:03-3234-4118
e-mail:hananpojitsu@jca.apc.org
URL:http://www.jca.apc.org/hananpojitsu/

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