【記者会見報告】「菅首相への緊急申入」
 沖縄の民意を踏みにじった「日米共同発表」及び閣議決定を撤回し、密約まみれ
 の「日米安保同盟」をやめるためにアメリカ政府と交渉せよ!
 
   


6月11日参議院議員会館第3会議につにて、
「菅新政権への申入」の記者会見を行った。

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 6月11日、菅首相への緊急申し入れ「沖縄の民意を踏みにじった『日米共同
発表』及び閣議決定を撤回し、密約まみれの『日米安保同盟』をやめるためにア
メリカ政府と交渉せよ!」の記者会見が、参院議員会館内で午後3時から行われ
た。

 この申し入れは昨年12月8日に「鳩山首相への緊急提案」として出された
「『移設』方式を放棄し、普天間基地の閉鎖のための対米交渉を」を引き継ぎ、
辞任した鳩山前首相の最悪の「置き土産」である「日米共同発表」・「閣議決
定」の撤回と、普天間即時返還を前提とした対米交渉をあらためて菅新首相に求
める申し入れだ。35人・18団体がこの申し入れの呼び掛けに名を連ねている。

 沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞の3社とフリーのジャーナリスト、編集者
が記者会見に参加。おりから菅新首相の所信表明演説が行われている最中であ
り、メディアの関心は「政局」問題と参院選に集中しているためか、前回12月の
記者会見と比べると参加した記者の数は大きく減った。

 記者会見では、呼びかけ人から寺尾光身、古荘暉、天野恵一、国富建治、上原
成信、大木晴子、杉原浩司の各氏が「申し入れ」」に即してそれぞれの思いを
語った。紹介議員の服部良一衆院議員(社民党)も、忙しい中を駆けつけていた
だいた。
 この申し入れへの賛同を6月17日をめどにつのり、6月19日の「もうやめよ
う!日米安保条約」集会の後の首相官邸申し入れ行動の際に提出されることも紹
介された。


■申入書本文■
内閣総理大臣 菅 直人 様

[緊急申入]
沖縄の民意を踏みにじった「日米共同発表」及び閣議決定を撤回し、
密約まみれの「日米安保同盟」をやめるためにアメリカ政府と交渉せよ!

 鳩山前政権は沖縄の普天間基地の「県外、国外移設」という公約を破棄し、5
月28日に、「代替の施設をキャンプ・シュワブ辺野古地区及びこれに隣接する水
域に設置する意図を確認」すると明記した日米安全保障協議委員会の「共同発
表」とその旨の閣議決定を行いました。私たちは怒りをもって、これに強く抗議
し、この「日米共同発表」及び閣議決定の撤回を求めます。
 あなたの前任者である鳩山首相は、これまで堅く閉ざされてきた日米安保軍事
同盟という「パンドラの箱」をあけました。私たちはそれを歓迎します。そこか
ら出現したのは沖縄への不当で差別的な基地の押し付けという事実であり、また
日米安保が重大な密約と抱き合わせになってきたという事実です。だが鳩山前政
権はこれらに正面から取り組むことを避け、普天間基地閉鎖の問題では、「迷
走」の果てに結局、沖縄(辺野古)に基地を押しつけるという最悪の結果に行き
着きました。また「密約」問題でも、封印を解き始めはしましたが、再び蓋を閉
めにかかるという「迷走」をここでも続けてきました。
 沖縄の島ぐるみの「米軍基地NO!」の声、徳之島をはじめ基地(および基地機
能)の移転候補地として名前の上がったあらゆる地域住民の圧倒的な「NO!」の
声は、この間マスコミでも広く伝えられています。しかし、鳩山前政権は、こう
した民意をもって、アメリカと正面から普天間基地撤去の交渉をすることなく、
アメリカの意向のみに配慮し、再び新たな基地を沖縄に押しつけるという最悪の
決定に至ってしまいました。私たちはそれを許すことが出来ません。ましてや先
の大戦での地上戦、72年までの米軍政による占領、復帰後も過重な米軍基地の存
在と、多くの苦しみを押しつけてきた沖縄の人びとに、これ以上の犠牲を負わせ
ようというのですか。
 私たちは、あらためて、あなたの政権が、地位協定と1996年のSACO(沖縄に関
する日米特別行動委員会)合意以来の自民党政権による沖縄基地関連取決めを見
直し、それらを沖縄の脱基地化へむけて抜本的に改訂するために、アメリカ政府
に対して交渉を申し入れ、開始するよう求めます。すべての密約は公表され、破
棄されなければなりません。密約をそのままにして、「対等な日米関係」などと
いうことはありえないのです。これまで一端が明らかになってきた密約の重大な
内容がハッキリとそれを示しています。第一次安保条約の行政協定に埋め込まれ
た米軍人・軍属(家族も含む)犯罪への裁判権の放棄、そして60年安保改定に向
けた「核持ち込みと朝鮮有事は事前協議なし」の容認、さらに72年の沖縄返還へ
向けた沖縄返還費用肩代り、核再持ち込み再貯蔵の事前協議承認などの秘密取り
決めは、密約が安保条約の裏の顔であることを示しています。核武装した米軍が
多くの民衆の意思を無視し、日本の税金を使って基地を勝手に使い続けるという
主権国家間の関係としては公然と認められない行為を裏で実現するために、密約
体制は維持されてきました。自民党政権は一貫して、アメリカに約束しているこ
とを列島住民に隠し、嘘をつきつづけてきたのです。そして、米軍人の犯罪を日
本の裁判所がきちんと裁けない事態が続いていることに象徴されるように、「密
約体制」は今でも生きています。
 私たちは、あなたが首相や外務省の官僚を含む歴代の密約関係者の責任を厳密
に問い、同時にアメリカ政府へ向けてすべての密約の公表とその破棄を要求すべ
きだと考えます。あなたの政権は、密約によって空洞化してしまった非核三原則
を法制化し、米国軍艦の核積載を効果的にチェックするシステムを導入し、核持
ち込み禁止の実質化に動き出すべきです。
 普天間基地の即時無条件返還、安保関連密約の公表と破棄、地位協定の見直
し、核持ち込み禁止の実質化へ向けて、あなたは、オバマ政権との交渉を開始
し、沖縄へ基地を強制している「日米安保同盟」そのものを拒否すべきです。そ
うでなければ、あなたも、歴代自民党政権の嘘まみれの政治の継承者にすぎませ
ん。いまさら、沖縄での米海兵隊部隊の存在が「必要な抑止力」などと、軍事の
専門家が口をそろえて否定している歴代自民党や前首相の論理でごまかすことな
どすべきでありません。戦後最大の大衆運動といわれる60年反安保行動から50年
たった今、民主党マニフェストに謳われたチェンジに向かってあなたが改めて歩
み出されることを、私たちは強く要求します。
 私たちは、あなたが以下の行動をとるように、そして、それを実現するため
に、アメリカ政府とまともな交渉を開始するよう申し入れます。

1.鳩山前政権の沖縄の民意への裏切りを正し、日米安全保障協議委員会の「共
同発表」と閣議決定を全面撤回し、辺野古新基地建設を断念すること
1 鳩山前政権発足時から「共同発表」にいきつくまでの協議の過程を米国から
の要請内容を含め全面的に明らかにすること
1.普天間基地の即時閉鎖と海兵隊の撤退を要求すること
1.日米安保に関連する密約のいっさいを明らかにし、その破棄と無効を宣言す
ること
1.核持ち込みをさせないことをあらためて宣言し、日本政府によるその検証を
実施すること


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