2000年4月26日


盗聴法廃止署名第二次提出アピール

盗聴法は廃止するしかない
監視されるべきは市民活動ではなく、
警察の違法な捜査活動の方である

盗聴法の廃止を求める署名実行委員会 
(連絡先 日本消費者連盟 
電話3711−7766)

 ついに、さる3月21日参議院に民主党・共産党・社民党の野党三会派と中村敦夫さん、佐藤道夫さんらの無所属議員の合計97名の発議・賛同によって、8月に予定された施行前に盗聴法を廃止するという法案が議員立法として提案された。

 政府提案によって成立した法律が反対運動にもかかわらず成立した後に、野党勢力が一丸となってその法律を廃止すべきであるという法案を提出したということは、わが国の議会政治の上でも特筆すべき動きである。

 私たちは、この法案の成立を願って本日6万1000名の請願署名を国会に提出した。

 なぜ、私たちはあくまで、盗聴法の廃止を求めるのか。

 まず第1に底なし沼のような警察の腐敗現象を見ても、盗聴捜査によって収集された個人のプライバシーに関する膨大な情報を警察官が恐喝目的やわいせつ目的などの捜査目的以外の違法な目的に濫用することが防げるとは到底いえない。

 人権を尊重する態度の乏しいわが国の警察組織に盗聴制度のような人権を必然的に侵害する捜査手段を適正に運用する倫理観・能力があるとは到底思えないのである。

 第2に、公安警察や公安調査庁などの公安機関が人権擁護や環境保護などを目的とする市民的な活動を敵視し、これらの活動にスパイを送り込むなどの違法な情報収集活動を繰り広げてきたことが明らかとなった。この事実は盗聴捜査が市民活動に対する情報収集に利用される可能性があるという我々の指摘を裏付けている。

第3に、法案成立後に明らかになった警察の開発中の盗聴装置は審議において前提とされたカセットテープではなく、DVD−RAM等を使用するものであった。一台700万円というこの録音装置によって大容量のデジタル録音が可能となる。デジタル録音されたデータは検索によって、必要な情報を瞬時に呼び出すことが可能となる。

 市民生活の安全のために警察は必要である。しかし、今や盗聴制度やNシステムが改正住民基本台帳法によって導入された国民総背番号制度とリンクすることで、個人の内心の秘密まで含めたプライバシーに踏み込んだデジタル・個人データベースの構築が可能となってきている。この社会は安心して電話をかけたり、Eメールも送れない社会となろうとしているのである。警察組織によるプライバシーの侵害こそが市民生活の平穏そのものを脅かしているのである。

 今必要なことは、盗聴法ではなく、むしろ警察の違法な活動を監視することのできる情報公開制度と市民による警察の監視機関の設立である。我々は超党派国会議員が提出したこの盗聴法の廃止法案を支持し、この問題が来る衆議院選挙において大きな政治的な争点となることを願うとともに、今後も廃止法案の成立を期してともに闘うことをここにアピールする。