2002年3月13日

盗聴法国会報告に関する声明
2年間「実施ゼロ」報告は、盗聴法が不要であることの証明

盗聴法の廃止を求める署名実行委員会

 私たちは盗聴法の制定に反対し、法成立後はその廃止のための活動に取り組んできた市民団体・労働団体・ネットワーカーなどでつくる実行委員会です。私たちのもとに寄せられた盗聴法の廃止を求める国会請願署名は、すでに22万人を超えています。

 政府・法務省は2月8日、「平成13年中の通信傍受の実施状況等は、『検察官又は司法警察員において,傍受令状を請求し、傍受令状の発付を受け,又は傍受の実施をしたことはなく,傍受が行われた事件に関して逮捕された者はない』というものである」と国会に報告、公表しました。

 これにより、01年(00年の実施報告)、02年(01年の実施報告)と、2年連続して「実施ゼロ」が報告されたことになります。私たち「盗聴法の廃止を求める署名実行委員会」では、この報告について以下の3点を表明します。

●実施ゼロという事実は、依然として強い市民の反対の声、そして廃止法案を出し続ける超党派国会議員の主張が正しいことを裏付けるものである。また、警察もその監視の眼を重視せざるを得なかったことを示している

●成立から2年4か月、施行から約1年4か月が経ちながら、1件も実施していないという事実は、「緊急の課題」とする趣旨自体と矛盾する結果であり、その必要性・有効性がないことが、事実をもって示されたことになる

●警察がまったく信頼を欠く組織であり、もはや自浄さえ望めないことは、「警察改革関連法」成立後も埼玉県や富山県など警察中枢がからむ二重もみ消し事件が起きるなど、一連の不祥事から明白である。腐敗しきった警察に盗聴権限を与えることは絶対にできない

 私たちは成立前から、「従来の捜査手法では犯罪の実体に対応しきれない。このままでは市民の安全が守れない。盗聴法は今すぐ必要」という警察の主張に大きな疑問を抱いてきました。しかし、その主張にもか関わらず、2年にわたり盗聴捜査は1件も行われていません。警察の主張に沿うならば、施行と同時に数件の実施があってもいいはずです。何のためにほしがったのか、その意図が疑われます。

 いま緊縮財政、財政再建がいわれる中、2年間に8億円以上の予算を盗聴装置の整備等に要求しておきながら、1件の実施もないとは、まさに税金の無駄遣いです。これは、小泉内閣が目指すとされる行政の効率化と完全に相反する事態でり、医療費削減などの「痛み」を国民に押しつける前に、この無駄な歳出をまず廃止すべきです。

  一方、今回の報告は、単に盗聴法に則った盗聴の実施がなかったことを示すだけです。警察がまったく信頼を欠く組織であり、緒方宅盗聴事件の前歴もあることを考えると、令状を請求しない非合法盗聴捜査が本当になかったのか、厳格な調査が求められます。警察は、緒方宅盗聴事件について未だに謝罪せず、責任を取ろうともしていません。

 以上の理由から、私たちはこの憲法違反の盗聴法の廃止を要求します。