無実のゴビンダさんを支える会

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再審をとりまく情勢と私たちのたたかい
国民救援会の支援運動の経験から

講師:小川国亜氏:日本国民救援会

2006年 10.7  学習会の報告とまとめ

2006年10月7日、渋谷の勤労福祉会館で行った学習会のレポートを武蔵さんが送って下さったので、掲載します。

国民救援会53回全国大会(7/29〜31・滋賀県大津市)に於いて「東電OL殺人事件」の再審開始を要請する決議が採択された。決議文は「…新規明白な証拠にもとづき、確定判決を根本的に見直し、ただちに再審開始を決定されますよう、ここに要請する」と結ばれている。
そして、私たち「支える会」でも、9月21日(木)、東京高裁に対して、第4回目の要請(署名265筆)を行いました。再審無罪に望みをかけて獄中生活を耐え忍んでいるゴビンダさんの悲痛な思いを裁判所に届け事実調べを即刻開始して欲しい事を訴えました。

しかし、周知のように再審開始は「開かずの扉」と言われているように極めて厳しい現状である。新しいところでは日野町事件・大崎事件が棄却。布川事件・名張事件では決定されたものの検察の妨害に遭っている。いま、司法の世界で何が起こっているのか。
「無辜の救済をするはずの再審制度」とは何かを改めて問い直し、その現状を明らかにして「ゴビンダ再審」の力にして行く力にと小川氏を招いて学習会を行った。

一審、控訴審、上告審を経た有罪判決は「確定」しそれ以上争うことはできない。三審制で被告人・弁護人・検察の審理はつくされて公正な裁判官が判決を下したのだから間違いはあり得ないという前提に立っている。従って有罪判決を見直す審理手続き(再審制度)があるが、「非常救済手続」として特段の関門を設けている。

だが、自白は有力な証拠、代用監獄での捜査、証拠隠しや捏造など公正な審理の担保に課題が残るばかりか裁判官の中立性にも疑問が指摘されている。実際に「なぜこれが合理的な判断なのか」理解出来ない多くの例に接しているし、明らかな誤判の事例にも遭遇する。「誤った裁判をやり直す」この単純明快な人権の基本に関わる再審の扉がなぜ開かないのか。

刑事訴訟法435条「無罪を言渡すべ明らかな証拠を新たに発見した時(新規性明白性=無罪の高度の蓋然性)」とされている。真犯人が名乗り出てこないと再審の扉は開かないよ、と笑い話のように言われていた。
ところが1949年の弘前事件(殺人:那須さん懲役15年)、1952年の米谷事件(強盗致死:米谷さん懲役10年)では共に真犯人が自ら名乗り出たのである。当然、再審開始のはずだが、前者の仙台高裁は<真犯人と名乗る者の証言が100%信用できる事を請求人側で証明せよ>、後者の青森地裁は<すべて証拠を精査しても米谷を犯人とする確定判決の結論に疑問をさしはさむべき理由はない>と再審請求を棄却してしまったのである。

これはもう屁理屈にもならない。再審制度そのものを裁判所が否定しているのである。<再審を認めると司法の権威が下落する><三審制の放棄に繋がる再審制度>など敵意さえ感じられる。「ラクダが針の穴を通るよりむずかしい」と言われる所以でもある。
ねばり強い「無辜の救済」のための再審請求の闘いは続けられ1975・76年の最高裁第一小法廷の「白鳥・財田川決定」にたどり着き、以後10件余の再審開始から無罪確定へとつながっていくのである。

そのきっかけとなる白鳥決定では「再審理由を規定する解釈」として「確定判決における事実認定に合理的疑いが生じれば足りるし、疑わしきは被告人の利益にという刑事裁判の鉄則が適用される」とした。そして財田川決定では「確定判決が認定した犯罪事実の不存在が確実であるとの心証を得ることを必要とするものではなく、確定判決における事実認定の正当性についての疑いが合理的な理由に基づくものであることを必要とし、かつ、これをもって足りると解すべきである」と具体的に判示したのだ。
その流れの中で免田・財田川・松山・島田事件など有名な死刑再審4事件で、再審が開始され、無罪が確定した。

その後、この「無辜の救済をすすめる本来の再審」が進められているのか。残念ながらこの流れは定着しきれず「確定判決の立場に立って再審を認めない見解・勢力」が激しくぶつかり合っているのが今日的情勢の特徴である。そのために運動の観点として
  1. 弁護団と協力し法廷でのたたかいを進める
  2. 国民の権利として裁判を監視・批判し多くの人に事件の真実を宣伝し訴える
  3. 家族を励ます手だてや本人の処遇改善の要求にも取り組んでいく事などが大切である。
最後に小川さんは「無実・裁判のやり直しを叫び続けている冤罪犠牲者の思いを受けとめ、再審開始・無罪を勝ち取るために力を合わせましょう。そして、ゴビンダさんを牢獄から救い出し、父母の待つネパールに送り届けましょう」と結んだ。
10/13 武蔵記