現代企画室

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別荘

ホセ・ドノソ/著
寺尾 隆吉/訳
2014年8月刊行
定価3600円+税
4-6上製・560頁
ISBN978-4-7738-1418-7 C0097

ガルシア=マルケスと並ぶ「ラテンアメリカ文学ブーム」の立役者、
チリの巨匠の代表作、待望の邦訳!!

1973 年チリ・クーデタに触発されたドノソが、類い希なる想像力を駆使し、
偏執的とさえいえる緻密な構成で書き上げた、理屈抜きに面白い傑作。
後続する作家や世界の批評家たちを今なお魅了しつづける、ラテンアメリカ文学の金字塔。

とある小国の政治・経済を牛耳るベントゥーラ一族の人びとが毎夏を過ごす、異常な繁殖力をもつ植物グラミネアと、「人食い」原住民の集落に囲まれた別荘。ある日、大人たちが全員ピクニックに出かけ、別荘には33 人のいとこたちだけが取り残された。日常の秩序が失われた小世界で、子どもたちの企みと別荘をめぐる一族の暗い歴史が交錯し、やがて常軌を逸した出来事が巻きおこる……。「悪夢」の作家ホセ・ドノソの、『夜のみだらな鳥』と並ぶ代表作にして、二転、三転する狂気をはらんだ世界が読む者を眩惑する怪作。

「ロス・クラシコス」:スペイン語圏文学の古典的名作を紹介する現代企画室の海外文学新シリーズ。企画・監修=寺尾隆吉

【著者紹介】ホセ・ドノソ(José Donoso)

1924 年、チリのサンティアゴのブルジョア家庭に生まれる。1945 年から46 年までパタゴニアを放浪した後、1949 年からプリンストン大学で英米文学を研究。帰国後、教鞭を取る傍ら創作に従事し、1958 年、長編小説『戴冠』で成功を収める。1964 年にチリを出国した後、約17 年にわたって、メキシコ、アメリカ合衆国、ポルトガル、スペインの各地を転々としながら小説を書き続けた。1981 年、ピノチェト軍事政権下のチリに帰国、1990 年に国民文学賞を受けた。1996 年、サンティアゴにて没。
代表作に本書『別荘』(1978 年)のほか、『夜のみだらな鳥』(1970 年、邦訳は水声社より近刊予定)、『絶望』(1986 年)などがある。邦訳書:『境界なき土地』(1966 年、邦訳2013 年、水声社)、『隣の庭』(1981 年、邦訳1996 年、現代企画室)

【著者紹介】寺尾 隆吉(テラオ リュウキチ)

1971年名古屋生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。メキシコのコレヒオ・デ・メヒコ大学院大学、コロンビアのカロ・イ・クエルボ研究所とアンデス大学、ベネズエラのロス・アンデス大学メリダ校など6年間にわたって、ラテンアメリカ各地で文学研究に従事。政治過程と文学創作の関係が中心テーマ。現在、フェリス女学院大学国際交流学部准教授。

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