head

アジアを見つめて    植民地と富山妙子の画家人生―日韓併合100周年記念―

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

富山妙子は1930年代、日本の植民地「旧満州」で育ち、戦後炭坑や鉱山をテーマに画家として出発した。1960年代、南アメリカ、西アジア、中央アジアを旅し、非西欧の文化に出会い始めた。

世界に変革の風が吹く1970年代、富山妙子は軍事政権下の韓国を旅し大きな衝撃を受けた。植民地支配が残した深い傷跡。朝鮮戦争が刻み付けた民族分断の亀裂の悲劇の数々が胸に突き刺さる。当時、獄中にいた詩人の金芝河の詩によせて、富山妙子は「深夜」と題するリトグラフ作品群の制作を始める。それはアジアと日本が落とした影の深さとの出会いだった。

1976年に新しい芸術運動として、絵と音楽によるスライド作品の自主制作をするため、富山妙子は一人「火種工房」を立ち上げた。それから30数年にわたる富山妙子と高橋悠治による火種工房の活動とスライド作品の制作は、まさに21世紀における新たな美術への評価と展開を期待させるものであり、単なる人道主義や資料の集積ではないイメージである。そこから絵画という形式は、近代美術、純粋美術というカテゴリーへの懐疑となり、音楽や言葉という異なるジャンルとの結びつきとなった。富山妙子と高橋悠治が取り組んだ朝鮮は、スライドフィルムからデジタルへの変換という段階を迎えることで、それまでの活動もマルチメディアとネットワークを活用した表現の本質を予期したものであったと示唆してくれる。

2009年新潟で開催された『大地の芸術祭    越後妻有アートトリエンナーレ』の特別企画として、「アジアを抱く    富山妙子の全仕事展1950〜2009」が開かれた。その中より韓国をテーマとした以下の6つのシリーズより選ばれた作品が今回展示される。(チラシより)

「金芝河の詩によせて」(1976年、版画)
「倒れたものへの祈祷  1980年5月光州」(1980年、版画)
「はじけ鳳仙花」映画原画(1984年、油彩)
「海の記憶    慰安婦に捧げる」(1986年、油彩)
「20世紀のレクイエム・ハルビン」(1995年、版画)
「きつね物語    菊と桜の幻影に」(1998年、油彩)
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

会期=2010年11月26日(金)〜12月11日(土)11:00〜17:00(金・土は20:00まで)/日曜休館
会場=東京YWCA会館カウフマンホール    会場地図
入場無料
主催=東京YWCA
講演=日本YWCA/日本キリスト教協議会/在日本韓国YMCA/財団法人日本キリスト教婦人矯風会/女たちの戦争と平和資料館(WAM)
協力=高麗博物館/多摩美術大学美術館/火種工房

イベント
※イベント開催中は作品鑑賞できません。

●ピアノとトーク
日時=11月27日(土)16:00〜18:00
出演=
高橋悠治(たかはし・ゆうじ/ピアニスト・作曲家)
崔善愛(チェ・ソンエ/ピアニスト)
鄭有河(チョン・ユハ/光州在住女性ピアニスト・作曲家)
参加費=2500円

●映像とトーク
12月11日(土)16:00〜18:00
『はじけ鳳仙花    わが筑豊わが朝鮮』上映
トーク=富山妙子
参加費=1000円

▼イベントチラシ





com 現代企画室 〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町15-8高木ビル204
TEL 03-3461-5082 FAX 03-3461-5083

Copyright (C) Gendaikikakushitu. All Rights Reserved.