■名前のない新聞 2018年1・2月号
■毎日新聞 2018年1月17日
■ニッケイ新聞 2018年1月5日
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名前のない新聞 2018年1・2月号
「持続的な開発と民衆の運動」という副題がついた本で、小池・田中両氏の他にも何人ものライターが様々な角度からアマゾンの森林破壊や環境問題、そして先住民など現地で暮らす民衆の運動について書いている。地球の反対側にあるアマゾンの破壊に日本に住む我々の消費行動が大きく関わっていることがわかるし、先住民など社会的弱者を切り捨てなオルタナティブな発展の知恵というのは日本の我々こそが学ぶべきだろう。
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毎日新聞 2018年1月17日
大河が流れ、密林が生い茂り、サルなど多様な生物が生息するアマゾン。最近では、豊富な自然だけでなく、ジャングルの伐採による自然破壊など、開発の負の側面にも関心が向けられるようになってきた。本書は、その開発の影響を受け続けた先住民に焦点を当て、歴史と現状、生活の変容などをリポートする。「人と森との共生」「地域文化の回復」など突きつけられた課題は大きく、そして重い。
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ニッケイ新聞 2018年1月5日
〈民衆運動から持続的開発の糸口を〉
『抵抗と創造の森アマゾン 持続的な開発と民衆の運動』(小池洋一、田村梨花共編、現代企画室)が、昨年11月に日本で刊行された。
本書は、アマゾン熱帯雨林で進行する深刻な森林破壊の現実と、それに抵抗し、社会経済の新たな在り方を展開する民衆の動きに焦点を当て、消費主義に替わり得る持続的開発の在り方を展望した労作だ。
アマゾンには、横断道路が建設された60年代から本格的な開発の波が押し寄せた。70年代以降は鉱業、農牧開発が進み、それに伴う鉄道建設や電力開発等で大規模な森林破壊が起こった。
90年以降、社会民主党、労働者党政権の下、環境政策が強化された。だが、その保全政策は後退し、減少傾向にあった森林破壊面積も15年に増加に転じた。テメル政権下では、それを反故にする動きが加速しているという。
そんな中、最新のテータと現地調査に基づき、アマゾンの環境問題の詳細に踏み込んで現実を伝えると共に、共に先住民など現地で暮らす民衆の動きに着目し、10章立てで紹介している。
アグリビジネスと闘い生態との共生を目指すアグロエコロジーや、森の恵みを活用する採取経済や森林農法。持続的経済を提案する先住民運動、土地なし農民運動の大規模牧畜への抵抗、デザインや公正取引により生産物の価値を高める運動や、人々の生活と社会を強化するコミュニティ教育などが取上げられる。
序章では、アマゾンの民衆運動について「市場経済の根底からの変革、すなわち労働や自然を含めあらゆるものを市場取引の対象とする経済を揚棄し、自然と人間の共生や連帯を目指す運動である」と総括し、持続的開発の在り方を一考するヒントとなりそうだ。
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