学労ネット

要  求  書 

2020年1月12日掲載

2019年12月16日 

高槻市長   濱 田  剛 史 様
高槻市教育委員会
教育長    樽 井  弘 三  様 

学校労働者ネットワーク・高槻
執行委員長   松 岡   勲 


2020年度の教育予算に関わる要求事項とともに、労働条件に関わる要求事項を提出し、市教委交渉を申し入れますので、要求内容を検討の上、文書での回答をお願いします。


A.地方公務員法55条(交渉)に基づき、誠意と責任を持って交渉を履行されたい。

B.勤務時間短縮に伴う制度変更について
( 1 )市教委は、時短制度の遵守・追求のため、学校の業務を削減する行程を作るプロジェクトチームを市教委各課を広く横断する形で立ち上げられよ。この取り組みがどこまで進んでいるのか、進捗状況を述べられよ。
①市教委は、昨年度(2018年度)の出退勤システムの集約結果を早急に示して、今後の展望を示されよ。
②昨年度(2018年度)の出退勤システムの集約結果のうち、過労死ライン80時間以上の実数と実態を示されよ。
③同システムは、適正な勤務時間管理に向けての一歩ではあるが、休憩時間が含まれていない。取得できなかった休憩時間を超過勤務として算定するシステムに改良されよ。

( 2 )昨年9月3日の交渉の場で、市教委は、時短に向けての業務削減の第一歩を示されたが、その後の進捗状況、課題等を示されよ。

( 3 )市教委は、学校内の業務削減に向けて、業務削減基準を作られよ。

( 4 )変形労働時間制について
「変形労働時間制の導入を柱とする教職員給与特別措置法(給特法)改正案」が国会を通過した。4,5、10、11月を繁忙期とし、その期間、週あたり3時間を勤務時間に上乗せする。上乗せした48時間を夏休み休暇として教員に与えるプランである。
 高槻市にあてはめると、繁忙期は、勤務開始8時半―終了18時15分となる(休憩時間1時間)。2学期制の高槻市には繁忙期が合致しない。また、18時15分から教員はクラスの仕事を始める事が増えることになる。超過勤務の実態をこのような形であいまいにするのは本末転倒であり、断固反対する。
 また、村尾文科省初等中等教育局企画官の回答(11月29日・参議院議員会館)によれば、「変形労働時間制は選択肢として導入される。地教委で条例が作られるが、変形労働時間制をする学校、しない学校は、職場で決める。また、繁忙期をいつにするかも職場で決める。」ということである。
 市教委は、これを周知され、見解を示されよ。

( 5 )労働時間とは、「労働者が使用者の指揮・命令の下に置かれている時間」であり、使用者の明確な指示の下で働いている時間は勿論のこと、仕事に付随する業務や仕事を行うのに必要となる準備時間や後片付け、着替えなどにかかる時間も労働時間に当たる(府下で過労死に至る残業時間把握など公務災害認定された労働時間を参照されたい)。出退勤把握システムの実施にあたり、使用者である校長および市教委は労働時間の把握をどうしているのか明らかにされたい。また、出退勤把握システムにおける労働時間の把握と給特法の超勤「限定4項目」との関係を明らかにされたい。

C.再任用制度について
( 1 )再任用制度について2019年1月31日の交渉で確認された以下の点について再確認されたい。
①非勤務日に行事等が行われた場合は、再任用職員には出勤の義務がないことを所属職員に周知徹底し、再任用職員が職場の同僚に気兼ねしないですむよう「適切な配慮」のもとに学校運営をするよう管理職を指導すること。

②非勤務日に再任用職員が勤務せざるを得ず、振替が授業時間にかかる場合は、充分な補充態勢をとるよう管理職を指導すること。

③非勤務日に勤務して「公務災害」に該当する事由が惹起した場合、
身分上通常の職 員と同じ扱いである事を確認すること。

④再任用短時間勤務職員が「介護休暇」や「病気休暇(休職)」を取得する場合、身分上通常の職員と同扱いである事を確認すること。

⑤「週23時間15分勤務を希望する再任用職員は、原則3日間勤務である。4日間勤務については、本人の了解が大前提であり、強制はない。」ことを校長に指導すること。
( 2 )再任用制度のルール作りについて
①再任用職員の配置においては、再任用希望者の意向・希望を正確に把握し、本人の 希望を最大限尊重すること。
ア.希望する勤務時間・勤務曜日
イ.希望する学校名(現任校での任用希望の有無)
ウ.今後取り組みたい職務内容、具体的な教育実践内容
エ.希望調査にあたっては、すべての職務内容を事前に周知すること。

②再任用者への、市独自の「意向調査」内容を充実させるとともに、校長へのヒヤリングにおいては、より正確にきめ細やかに聞き取りをされたい。

③再任用希望者(新規・更新)の意向に基づき、在任校と配置校の校長間のていねいなすり合わせがなされるよう、指導されよ。

④再任用短時間勤務職員は、「再任用制度について」(平成26年10月1日付)において、「4職務内容等」の項に『短時間勤務職員は担任等の常勤を前提とした業務は担えない』に基づき、今後も原則に沿った配置を維持されたい。

⑤2019年度の人事日程の情報を提供されたい。

( 3 )教員の人材確保について
 教員の人材確保が困難になる事態が続いている。その上再来年度から、65歳で教員免許が失効する教員が増えると思われる。高槻市下の学校において深刻な事態になると予想される。
 長谷総合教育政策局教育人材政策課教員免許企画室長の回答(11月29日・参議院議員会館)によれば、「現実的な教員不足のため、65才の再任用や、育休明けの対象者等に、臨時免許(3年間)を都道府県の判断で出す。」(通知済。H31、1月16日 発出者・文部科学省総合教育政策局教育人材政策課長)と、臨時免許が出される事がすでに通知されているが、このことをどのように考えるのかお聞かせ願いたい。
 また、この通知は、労働条件の変更案件であるにもかかわらず、市教委は未だに同通知を学労ネットに情報提供していない。即時に提供されたい。

( 4 )再任用職員の個別の問題については組合と協議すること。

D.労働安全衛生法の実施及び休憩の保障と勤務実態調査関係
( 1 )2019年度の産業医の健康相談の実績データを示されたい。学校長は毎月の80時間以上超勤の教員を把握し、翌月市教委に報告し、医師との面接を希望する者を市教委に報告すること。また月1回の産業医の面接では厳しい超過勤務、過重労働の実態には対応できない。来年度は月2回の配置ができるよう予算要求されたい。

( 2 )2018年夏の交渉で、市教委は調査機関から返信されるストレスチェックの「集団分析」について「集団分析を生かせるよう、校長会で話す」と積極的な回答をし、その後の交渉でも同様の回答であった。各校で集団分析の「活用」はどのように進んでいるのか。

( 3 )労働安全衛生法改正後、一度はその実施を約束しながら、市教委は労働安全衛生組織を設置していない。これは労働安全衛生法違反であり、早急に労働安全衛生組織を確立されたい。

E. 評価育成システム関係
( 1 )評価育成システムは、教職員の自主性やモチベーションを下げ、ひとを育てるべき教育に悪影響を及ぼす。また授業アンケートは、高槻市保護条例・学習指導要領(中学校)にも違反している。評価育成システムに引き続き断固反対する。

( 2 )授業アンケート改悪について
現場の声や現場の状況からみれば、教員の授業力向上は、授業アンケートをやらなくても改善することが可能である。また、授業アンケートを廃止すれば、準備や集計等にかかる時間をなくすことでき、業務削減となる。市教委は、市教委の主体性を持って「授業アンケート廃止」を府教委にあげ、業務削減の一端となるようにされよ。

( 3 )評価は、勤務時間内の事由のみであることを確認されよ。

( 4 )評価育成システムに関わって問題が生じた場合、随時組合と協議をすること。

F.勤務場所を離れた研修について
教育公務員特例法22条2項の「勤務場所を離れた研修」について、長期休業中において今後も変更がないことを確認されたい。また、それ以外においても変更がないことを確認されたい。


G.週休日服務の振替に関して
  2004年度大阪府「週休日における教職員の教育活動等に係る服務の取り扱いについて」の通知の運用については、これまでの交渉の場で確認されてきた以下の(1)~(6)までの再確認をされたい。(7)については、出退勤調査(「週休日に行われた教育活動等」も勤務時間としてカウントする)との整合性において、確認されたい。

( 1 )業務の拡大につながらないこと。

( 2 )一方的に命じるものではなく、参加者の同意が必要であること。

( 3 )「週休日に行われた教育活動等」については、別の日に振り替えられねばならないこと。

( 4 )「週休日における教育活動等に係る実施報告書」の作成・管理の徹底をはかり、事前に振替日程の設定が確実に為されること。

( 5 )対象となるのは教職員(講師も含む)であり、非常勤講師も含めて、この制度を管理職に都合良く利用させてはならないこと。

( 6 )これに関わる服務が週休日(非勤務日)においてである以上、「評価・育成システム」の「評価」対象ではなく、システムとは無関係であること。

( 7 )「週休日に行われた教育活動等」は、出退勤調査において「勤務時間」としてカウントすることになっている。従って当該日には出退勤調査に打刻し、出勤簿に捺印すること。

H.宿泊を伴う学校行事に関わる勤務時間の割り振りについて
( 1 )1泊2日の宿泊行事の「勤務の割振り変更」は、1日の「勤務を要しない日」と1回の「半日勤務日」とする(合計は1.5日)。さらに場合によっては2日の「勤務を要しない日」の割振り変更もあり、という前回の確認を再確認されたい。

( 2 )市教委は、各校で休憩時間を明示するよう校長会で周知しているという事であったが、各校でどのように明示されたか、また取得の状況についても把握していないというのは無責任である。以下の点について、責任をもって把握されたい。

(休憩時間について)
 ① 休憩時間の明示は書面で出さなければならないことを校長に指示し、各校の明示方法を確認すること。
 ② 休憩時間の明示内容を把握し、どの時間に当てたのか明らかにすること。
 ③ 休憩時間の取得状況を把握すること。取得できなかった場合の措置についても把握すること。
(勤務時間の割振りについて)
 ④ 別の勤務日への割振り変更の取得状況を確認すること。

( 3 )「勤務時間の割振りに関する実態調査」を実施し、労基法違反の勤務実態がないか精査すること。

( 4 )児童生徒の安全確保を第一に、労働基準法に基づく適法な休憩時間を付与 するために交代勤務が可能な引率人員の増員をはかること。

I.学校警備員の配置について
学校警備員配置に対する2020年度の方針を明らかにされたい。
また、夏休み5日間の水泳指導日の配置を確認されたい。

J.夏期休業中の勤務について
教職員の夏期休業中の勤務については、従来からの市教委回答「格段の理由が無く勤務を強制すべきものではない。また、『日直・宿直』の復活ではない。」を再確認されたい。

K.施設一体型小中一貫校について
( 1 )これまでの交渉および前々回の交渉では、平成28年度に答申が出て以来、研究・視察をしているが進捗はない、という回答であった。施設一体型小中一貫校については断念をしたのか。現在の進捗状況を答えられよ。
( 2 )同一貫校によって、勤務条件の変更を伴う場合は、組合との協議なしに導入を進めないこと。

L. 日の丸常時掲揚について
高槻市教委は、2016年6月1日に 突如、高槻市の小・中学校に「日の丸」の常時掲揚を行った。しかも、市民やPTAにも知らせず、また、議会にも教育委員会会議にも諮らず、市の広報にも載せず、「そこにポールがあるから」と「日の丸」の常時掲揚を始めた。そして、驚くべきことに「日の丸」の常時掲揚には「法的根拠はない。市の規則にもございません」と平然と言い放った。さらには、「日の丸」を毎日仰ぎ見ながら学習する子どもたちの教育内容に関わることであるのに、教育指導課は関与しない、施設課の問題だと責任転嫁と問題のすりかえまで行った。
「日の丸」常時掲揚は、毎日、子どもたちに「日の丸」を仰ぎ見させることによって、「日の丸」に表される「国家に対する肯定的受容、すなわち国家忠誠」という「特定の思想」を、子どもたちに「刷りこむ」ものとなる。「教育の場での権力的な強制という方法による国家忠誠意識の注入」は許されない。(『法律時報』80巻9号、市川須美子論文)高槻市教委は「日の丸」常時掲揚による子どもたちへの「内面」の強制に対してどのように教育指導の責任を負うのか明らかにされよ。

M.学校環境衛生について
高槻市内の教育関係諸施設において、安全な環境が整えられているのか、次の点についてデータ等を示して明らかにされたい。
( 1 )2019年度に校舎の老朽化対策がなされた学校名と、2020年度の計画を示されたい。また、危険なブロック塀撤去と安全な塀の設置の進捗状況をお聞かせ願いたい。
( 2 )少人数授業教室、家庭科室等の特別教室に、エアコンを設置されたい。
( 3 )特別支援教育関係
・プレイルームにエアコンを設置されたい。
・必要な学校にエレベーターを設置されたい。

N.休養室関係
( 1 )職員の健康を守るため、エアコン未設置の休養室に早急にエアコンを設置すること。

( 2 )更衣室を男女別完全別室に改善されたい。
休養室は、体操服に着替えたり洗濯したりする所ではない。休養ができなければ役目を果たしている事にならない。また、教員の健康を守るために学校の施設を改善するのが教育委員会の仕事ではないか。その仕事に真摯に取り組まれる事を強く要求する。

O.組合事務所
組合結成以来、長年に亘り組合事務所の貸与を求めてきたが、未だ具体的措置がない。他組合同様に組合事務所を至急貸与されたい。この市教委の対応は組合差別と考える。

P.その他