学労ネット

教職員課交渉報告(2019.1.30)

2019年03月04日掲載


出退勤記録表、特殊勤務手当実績簿の打刻・申告齟齬が改善!
しかし、超過勤務月80時間100時間超の職員は、依然として多数!

 昨年度、手当の不正受給にもつながる大問題として指摘した「出退勤記録表と部活動手当請求簿の記入齟齬」は、大きく改善されていました。市教委としても逃げ場はなかった。しかし、依然として長時間勤務の実態は続いています。平均でしかデータを取らない市教委は、勤務の在り方や実態から目をそらしたままです。
 
 重点項目を中心に報告します。

◆B. 勤務時間短縮に伴う制度変更について
(1)出退勤把握システムについて

➡昨年度(2017年度)の出退勤把握システムの集約結果『H29 校種・職種別 時間外在校時間の月別平均』がやっと教職員課から出された。しかし、そのグラフは、市内全校の全職員の平均超過勤務時間である。そこからは、過労死ラインの超過勤務を何人がどれくらいしているかは読み取れず、適正な勤務時間に向けての資料にはなっていない。
 私たちは、情報公開で得た文書で集計した、市内中学校3校の超過勤務80時間/月・100時間/月超(年平均値)人数とパーセンテージを交渉の場で示した。A校59% B校63% C校21%(80時間超)、A校30% B校20% C校3%(100時間超)である。これほどの高い確率で過労死ラインの勤務をしている現実がある。
 さらに、集計して分かったことは土日祝日等の部活動時間(9~12月の4か月)が、8時間以上という人がどの学校でも半数ぐらいいるということだった。「部活も勤務時間である。」と文科省も明言しているのであるから、この実態も直視していく必要がある。(4頁・資料「高槻市中学校部活動ガイドライン」を参照)
 市教委に対しては、全体の平均ではなく、個々人の実態を把握して改善を進めていくよう強く要求した。

(2)市教委の時短に向けての業務削減、その進捗状況 
(3)学校内の業務削減にむけて

➡市教委は、「長時間勤務の解消は、課題ととらえている。業務改善を進めたい。」と回答している。前回の交渉で時短に向けてのいくつかの具体策が示された。が、学校現場では業務内容が削減されたという実感は、ほとんどない。今後は、各校の取り組みや業務改善研修の内容が共有できるよう、校長を指導せよと要求した。

(4)「変形労働時間制」について

➡市教委の回答は、「国の動向を注視していく」のみであった。具体的な考察は、全くない。私たちは、(業務削減をせずに)繁忙期に勤務時間が増えることで、超勤をごまかす、更に超勤が増えることになるのではないか。また、「繁忙期の決め方」「休憩時間」「育児時間等の対応」等具体的な運用について、国から下りてきた時の対応を考えておくよう要求した。

◆C. 再雇用制度について
(3)免許更新制

➡私たちは市教委に、免許更新の煩わしさから退職者等の免許失効者が増え、高槻市下においても人材確保が困難になることをどう考えるのか問うた。しかし、回答は「大阪府教育委員会が実施するもの」であった。今後の深刻な事態を考え、市教委としても考えていくべきだと要求した。

◆E. 労働安全衛生法の実施及び休憩時間の確保と勤務実態調査関係
(1)産業医健康相談の実績

➡今年度4月~9月の相談実績は、4名である。私たちが情報公開で得た文書の集計結果は、前記(B.(1)参照)の通りである。これだけ多くの職員が過労死ラインの勤務を強いられているにも拘らず、産業医にかかっている人数が少なすぎる。市教委に対して「校長が職員の超過勤務時間をきちんと把握し、超過勤務の多い職員に声かけをするよう指導せよ。」と要求した。

(2)ストレスチェックの活用

➡前回の交渉で市教委は、「集団分析の結果を生かせるよう、校長会で話す。」と回答した。今回は、どのような形で集団分析の活用がなされたのかを問ったが、校長に丸投げで把握していない。市教委が活用方法のひな型を示し、活用の結果を集約するよう要求した。

(3)労働安全衛生組織
➡設置すると約束しながら放置されたままである。未設置は労働安全衛生法違反であることを指摘。必要な予算を確保する努力をするよう要求した。

◆H.宿泊を伴う学校行事に関わる勤務時間の割り振りについて
(1)1泊2日の宿泊行事の「勤務の割り振り変更」
➡例年通り(校長裁量含む)で確認。

(2)休憩時間の明示
(3)「勤務時間の割り振りに関する実態調査」

➡市教委は、「(2)(3)について、平成30年度は実施しない。」と回答した。この開き直りの回答は、B.勤務時間短縮に伴う制度変更についての「長時間勤務の解消を課題と考え、勤務条件の改善に前向きに取り組んでいく。(一部略)」という回答に反するものである。一番超過勤務となる宿泊行事での休憩時間、勤務の割り振りの実態を把握することが、まず、やらねばならないことであろう。それなのに「校長会で周知している」だけで校長に丸投げである。私たちは、労基法違反の実態がないか把握するよう要求した。

◆K.施設一体型小中一貫校について

➡市教委回答は「敷地の確保ができていない。震災等で手が回らなかった。いろんな事情で、事実上進んでいない。」である。当初からほとんど進んでいない。断念したらどうか。

◆L.日の丸常時掲揚について

➡市教委は「施設管理上の観点から行っている。」の一点張り。私たちは、ブロック塀の法定点検を怠り、一方で法的根拠のない日の丸常時掲揚をする市教委に対して、市教委の根本的欠陥であると追及した。法にない日の丸常時掲揚を直ちにやめるよう強く要求した。

◆M.学校環境衛生について
(1)ブロック塀事故後の老朽化対策

➡市教委は毎年数校ずつ校舎の老朽化対策をしているが、今回のブロック塀事故を受けて、老朽化対策の見直しの必要性を指摘した。「より包括的・計画的に検討を進め、予算確保に向けて動いている。」との回答であった。

(2)理科室エアコン設置

➡長年の要求が実現し、未設置校すべてにエアコンが設置される。回答「工事着手の時期は分かれるが、来夏6月20日のエアコン稼働日には使用可となるよう工事を進めている。」

 業務改善、出退勤把握システムの実施、産業医健康相談、ストレスチェックなど、勤務時間の適正な管理に向けての取り組みが動き出しているのは事実である。 しかし、職員の実態を把握することをまずやらなければいけない。また、今は取り組みそれぞれが、それぞれにやっている感が大きい。私たちがずっと要求している「時短制度の遵守、追求のため学校の業務を削減する行程を作るプロジェクトチーム」の立ち上げが必要である。
 市教委は、「教職員の勤務条件の改善、環境整備については、前向きに取り組んでいく。」と明言している。やるのは、今でしょ! 
                                    (末 廣)

 資 料 「高槻市 中学校部活動ガイドライン」より
2018年9月に高槻市教委から出された、中学校対象のガイドラインです。

<(2)バランスのよい部活動より抜粋(本文11頁)>

部動時間の設定
●平日の放課後の活動時間については、2時間程度とすること。
●学校の休業日(学期中の週末を含む)の活動は、大会を除き、3時間程度とすること。
●始業前の朝練習を行う場合は、疲れにより授業に支障が出ることがないよう注意するとともに、生徒の安全や健康、教員の負担についても十分に配慮すること。

活動時間については、生徒の体力や技能を考慮するとともに、バランスのとれた生活やスポーツ障害等の預合に配慮する②②②など、生徒の過重負担にならないように設定し、できるだけ短時間に、合理的でかつ効率的・効果的な活動を行うことが大切です。
こと。 ※活動とは、運動部ではスポーツ活動の②ことをいう。文化部においても同様の考え方をする。
 
 以上のように、高槻市は、「平日は2時間程度」「休業日は、大会を除き3時間程度」と指針を出しています。実際にはどうなのでしょうか。
 学労ネットは、教員の過労死を防ぐにはどうすればよいかという見地から、市内中学三校で、教員が休業日部活動のために勤務した時間数を調べました。
 その結果、休業日に8時間以上勤務した教員は、1校が全体の約20%、2校が全体の約60%。さらに、1日10時間以上の勤務日が4ヶ月間に3日以上あった教員は、各学校2~5名もいた。「大会を除き、3時間程度」という指針は、有名無実化していると言えます。スポーツ部だけでなく吹奏楽部など文化部の活動時間の多さも目を引きます。
 この責任は、中学校の先生たちにあるとは思えません。京都府はすでに、大会の上限時間を決め、それに合わせて試合の形式を変えています。市の大会では、高槻市教育委員会が采配をふるうことができます。市が府へ要請ができないと言うのなら、市教委は、出来るところから教員と子どもの健康を守る責任と気概を見せるべきでしょう。                              (長谷川)