学労ネット

指導課交渉報告 (2月13日)

2018年4月7日掲載

  

「大阪府下、とりわけ近隣他市において、高槻市以外に職務命令を出したところは一つもない。それぞれの地教委は職務命令には馴染まないと考えているからだ。高槻市教委は何でも府教委に右へならえなのか?」・・・・沈黙する指導課。
「各教育委員会は、地方自治の観点からもそれぞれ独立した行政機関であり、地域の実情に応じた教育行政を行う必要がある。地方自治の矜持を持って仕事せよ。」 交渉大詰め、回答を続ける指導課は、言葉に詰まり始めた。

教育委員会!地方自治の矜持を持って仕事をせよ!
 地方公共団体における教育行政は、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会 均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、 国との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。(地方教育行政の組織及び運営に関する法律 第1条の二)

以下、抜粋です。

(2)2学期制について
 2学期制は問題点(デメリット)が露出し、続々廃止されている。
 2学期制の総括を明確にし、2学期制を高槻市は廃止されよ。

(交渉結果)「他市が2学期制を止めている事は把握しており、中学校での実施が難しいと聞いている。」と言いながら、「各校の課題解決につながるような教育課程を編成して頂きたい」と市教委は結ぶ。「運動会から前期終了の期間が短く、現場は厳しい。2学期制を止める検討をしてほしい」と例年と同じ要求を出した。

(3)連携型小中一貫教育について 施設一体型小中一貫校設立について
① 指導課は、教職員課と連携し、時短制度の意義を共有し、「連携型小中一貫教育」の業務削減に努められよ。また、連携会議がある時、休憩時間がほとんど取れていない実態がある。指導課は、休憩時間が取得されているか、教職員課と連携して把握に努められよ。
② 小学校の存在意義の矮小化、中学校文化の前倒しは危険である。小さい頃から規律を強め、うわべを飾っても、大局的な見地からはむしろ有害である。小学校でしか出来ない育ちの意味を再考されたい。
③ 「連携型小中一貫教育」によって勤務条件の変更を伴う場合は、組合との協議なしに導入を進めないこと。

④ 施設一体型小中一貫校設立について
 施設一体型の計画、実施年度、内容等の情報が未だ組合に呈示されていない。また、職場にも入って来ない。取り組みの進行状況について担当部署の説明を求める。また、各職場でも情報を共有できるようにされよ。
(交渉結果)①について・・「業務改善に努めてまいりたい」と十年一日の回答。業務削減の方法を考え、「削減」を課題としてほしい。現場の声を聞いてほしい。課題を教職員課と共有してほしいと要求、
④について・・数年前から取りざたされているが、まだ何も話が進行せず決まっていないとの事。その後の情報公開で施設一体型小中一貫校設立計画が一向に進んでいないことが判明した。

(4)特別支援教育について                         
 支援学級入級児童・生徒の増加に伴い、そのニーズは多様化している。また、「通常学級」在籍の支援を必要とする児童・生徒も増えてきている。しかし、現場では職員の数が足りず、児童・生徒への学習保障・安全保障は十分とはいえない。児童・生徒の教育や安全を保障するため、教員の定数増、実態に見合った加配・備品設備の整備を早急に実現されよ。
②特別支援コーディネーターについて
・支援学級担任以外で、コーディネーターの仕事が十分できる職員を各校1名配置すること。また、今年度の配置校と配置理由を明らかにされたい。
③備品や設備の整備について
・エレベーターを設置すること。
・プレイルームにエアコンを設置すること。
・市費購入可能な店舗を増やす等、教材を整備しやすくすること。
(交渉結果)「上記の中で、見通しのある項目はどれか」という学労ネットの問いに、
「支援員の派遣、医療ケアの看護師の配置、備品の支援などを考えていきたい」との回答であった。

(5)道徳教育・日の丸・君が代・元号

①今年度は小学校道徳教科書採択がなされ、2018年度は中学校道徳教科書の採択がなされる。道徳の教科化は排外主義・ナショナリズムの強調、「愛国心教育」の強制等非常に問題がある。また文章表記であれ、「道徳の評価」は「内面」の評価であり、思想・良心の自由」の侵害である。よって道徳教育の押しつけに反対すること。
③学校に「愛国心」を押しつけないこと。「愛国心の評価」をしないこと。
④2011年6月13日に公布・施行された、「大阪府の施設における国旗の掲揚および教職員による国歌の斉唱に関する条例」は、第4条第1項において、「府立学校及び府内の市町村立学校の行事においておこなわれる国歌の斉唱にあっては、教職員は起立により斉唱をおこなうものとする。」と定め、府内公立学校の入学式や卒業式などで「君が代」を斉唱する際、教職員に起立・斉唱を義務づけている。
 しかし、2016年3月18日、大阪弁護士会は府教委とA高校の校長に対し、(「君が代」を立って歌えという)「職務命令の前提となる大阪府国旗国歌条例については、そもそも違憲・違法の疑いがあり・・・懲戒処分をもって対応することは、思想良心の自由を侵害し、許されない」と勧告した。大阪弁護士会が勧告したように、同条例は、日本国憲法が基本的人権として保障する自由と権利、とりわけ教職員の思想良心の自由を侵害しており違憲である。したがって、同条例の廃止を大阪府に求めること。
⑤2011年度卒業式における山田組合員への戒告処分は、人事委員会の裁決によって取り消された。現在、合格していた再任用取消は「違法」だとして山田組合員他3名が大阪高裁に控訴し、係争中である。再任用について新たな採用だからという理由で、人事委員会が再任用合格取消しを認めたことは、行政の判断を追認するだけのもので不当というしかない。高槻市教委は山田組合員の再任用の取消を撤回するよう大阪府教委に要望を上げられたい。
 9月27日付のサンケイスポーツは、「9月24日に開かれたプロフットボールNFLの試合では全米で200人以上の選手やオーナーが国歌斉唱の際に片膝をつき腕を組んで」、「黒人や有色人種に対する差別に抗議」すると共に、「国歌斉唱で起立しないならクビだ」と発言した「トランプ大統領に抗議の意思を表明した」と伝えた。これに対し、かつての名選手マイケル・ジョーダンは「この国の基本的な権利の一つは言論の自由。平和的に自分の意見を表明する権利を行使する人を悪者扱いすべきではない」と談話を発表。また、このトランプ発言に対して、プロバスケットボール(NBA)やメジャーリーグでも、抗議の輪が拡がっている。
 しかし、「国歌斉唱で起立しないなら、お前はクビだ!」と言うアメリカのトランプ大統領と同じく、驚くべきことに大阪府教委は「君が代」の起立斉唱の職務命令に従うという「意向確認書」に署名・捺印しない者はクビだとしている。大阪府教委・高槻市教委がトランプ大統領と同類であっていいはずがない。「意向確認書」の不提出を最大の理由として、山田組合員の再任用を取り消したことを撤回するよう、高槻市教委は大阪府教委に要望を上げられたい。
 また、2016年3月18日、大阪弁護士会は「『君が代』斉唱時の起立斉唱を義務付け、さらに当該義務違反に対して懲戒処分をもって臨むことは、教職員の思想及び良心の自由を侵害するものである」と勧告した。大阪弁護士会の勧告を尊重し、職務命令によって「日の丸・君が代」を強制しないこと、「君が代」の起立斉唱を強制しないこと、そして、教職員に「君が代」のピアノ伴奏を強制しないこと、いかなることがあっても「処分による強制」をおこなわないこと。「教職員の思想及び良心の自由を侵害」しないこと。
 2012年1月16日の最高裁の判決は、「君が代」不起立は「個人の歴史観ないし世界観等に起因するものである」と述べて、「君が代」不起立は「歴史観ないし世界観」であり、「思想・良心」の内容を形成すると認定している。また、宮川裁判官は同判決の補足意見で「君が代」不起立は、「思想・良心の核心の表出である」と述べている。それゆえ、「君が代」で立つか座るかを聞くことは教職員に対する思想調査であり、また、「君が代」不起立かどうか、その意思を表明するかしないかは、その人の自由意志に任せられるべきである。また、そのような調査に、どのような法的根拠もない。今年度の卒・入学式において、職務命令を背景にして、事前に「国歌斉唱」時の起立・不起立などについて個別に態度表明を求めるなど、教職員の「内心の自由」および「良心の自由」を侵害する行為を校長に求めないこと。また、思想・信条の自由を侵害し個人情報保護条例に違反する「不起立調査報告」などを校長に求めないこと。

⑥ 市教委は教職員に「日の丸・君が代」指導を強制しないこと。また、卒業式・入学式においても式場内の子ども・保護者・教職員に対して「日の丸掲揚・君が代斉唱」を強制しないこと。

⑧高槻市教委が私たちはじめ市民の声をいっさい聞かず、6月1日から小中学校に「日の丸」常時掲揚を行ったことは、毎日、子どもたちに「日の丸」を仰ぎ見させることによって、「日の丸」に表される「国家に対する肯定的受容、すなわち国家忠誠」という「特定の思想」を、子どもたちに「刷りこむ」ものになっている。「教育の場での権力的な強制という方法による国家忠誠意識の注入」は許されない。(『法律時報』80巻9号、市川須美子論文)ただちに、小中学校での「日の丸」常時掲揚をやめること。

⑨元号の強制をしないこと。また、卒業証書の発行年月日表記で、元号を強制しないこと。また卒業証書の年月日表記は個々の児童・生徒及び保護者の意向を確認し、尊重すること。
(交渉結果)・「『大阪府の施設における国旗の掲揚』および『教職員による国歌の斉唱に関する条例』については、府の議会で決定されたことであり、市の行政側は意見を述べる立場ではない。」という指導課の冷たい回答に、おどろいた。
「高槻市教委は、同条例に拘束されるものではない。(冒頭の地教行法のとおり、)
地方自治を守る側として、独自の考えを持てる立場をわきまえてほしい、原点に戻り問題点をとらえ直してほしいと主張。市教委は黙ってしまった。上意下達の世界に彼らは居ると言うかのように。
・「意向確認書」で制限される条項は、地公法§32(職務命令)のみとなった。その事を正しく把握してほしいと要求。
・また、君が代日の丸は、憲法に定められている「思想信条の自由」を制約するものではないことを再要求。
(6)学習指導要領に関して
②英語の教科化によって時間数の増加、授業準備等教師の負担が増加している。その負担解消について、市教委はどのように考えられているか。
 また、都市交流員の体制のAETが廃止されたが、都市交流員による英語教育は内容が充実し、成果があった。都市交流員の体制を復活されよ。
(交渉結果)英語実施にあたり、時間割変更が準備されている。無理のある時間割で子ども達がふりまわされていると委員会が判断した時は、適切な工夫提言をしてほしいと要求。(長谷川)