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2018年度指導課要求書

2018年2月7日掲載

要  求  書


2017年11月30日 

高槻市長   濱田 剛史 様
高槻市教育委員会
教育委員長 深堀 基子 様 
教育長   一瀬 武  様
学校労働者ネットワーク・高槻
執行委員長  松 岡  勲

教育指導に関する要求事項を提出し、市教委との協議を申し入れますので、要求内容を検討の上、文書での回答をよろしくお願いします。

要   求   事   項

(1)夏休み水泳指導における人員配置について
   私たちは、夏休み5日間の水泳指導に対して「職員の勤務実態を考えず、不当な経過で決定された管理運営規則改悪を受け入れることはできない」という立場である。
実施にあたっては、以下の配置を来年度も保障されよ。
   ・警備員
   ・産休、育休、傷病休職、病気休暇等の講師
   ・支援学級にかかわる非常勤講師、特別支援教育支援員

(2)2学期制について
   2学期制は問題点(デメリット)が露出し、続々廃止されている。
2学期制の総括を明確にし、2学期制を高槻市は廃止されよ。

(3)連携型小中一貫教育について 施設一体型小中一貫校設立について
① 指導課は、教職員課と連携し、時短制度の意義を共有し、「連携型小中一貫教育」の業務削減に努められよ。また、連携会議がある時、休憩時間がほとんど取れていない実態がある。指導課は、休憩時間が取得されているか、教職員課と連携して把握に努められよ。

 ② 小学校の存在意義の矮小化、中学校文化の前倒しは危険である。小さい頃から規律を強め、うわべを飾っても、大局的な見地からはむしろ有害である。小学校でしか出来ない育ちの意味を再考されたい。

③ 「連携型小中一貫教育」によって勤務条件の変更を伴う場合は、組合との協議なしに導入を進めないこと。

④ 施設一体型小中一貫校設立について
   施設一体型の計画、実施年度、内容等の情報が未だ組合に呈示されていない。また、職場にも入って来ない。取り組みの進行状況について担当部署の説明を求める。 また、各職場でも情報を共有できるようにされよ。

(4)特別支援教育について                           
   支援学級入級児童・生徒の増加に伴い、そのニーズは多様化している。また、「通常学級」在
籍の支援を必要とする児童・生徒も増えてきている。しかし、現場では職員の数が足りず、児童・
生徒への学習保障・安全保障は十分とはいえない。児童・生徒の教育や安全を保障するため、教
員の定数増、実態に見合った加配・備品設備の整備を早急に実現されよ。
① サポート教室について
・現状(職員数・入級児童・生徒の数と利用実態)について明らかにされたい。
・通級の際に必要な人的保障をすること。

② 特別支援コーディネーターについて
・支援学級担任以外で、コーディネーターの仕事が十分できる職員を各校1名配置すること。
また、今年度の配置校と配置理由を明らかにされたい。

③ 児童・生徒に対する支援体制について
・種別による学級設置を進めること。
・クラス定員の見直し(重度自閉症児等在籍クラスの定員を減らす)、定員の遵守(1名超でも
増設)を府に強く働きかけること。
・正規職員が配置されない場合、市の責任で人的保障をすること。その配置については、現場の要望を十分考慮して配置すること。特に、医療的ケアが必要な場合の看護師の配置においては、十分な人的保障をお願いしたい。また、今年度の配置校と種別配置人数を明らかにされたい。
・「通常学級」在籍の支援を必要とする児童・生徒に対する支援体制確立のため、対応できる職員を配置すること。
・ダブルカウントを復活させること。

④ 備品や設備の整備について
・エレベーターを設置すること。
・プレイルームにエアコンを設置すること。
・市費購入可能な店舗を増やす等、教材を整備しやすくすること。

(5)道徳教育・日の丸・君が代・元号
① 今年度は小学校道徳教科書採択がなされ、2018年度は中学校道徳教科書の採択がなされる。道徳の教科化は排外主義・ナショナリズムの強調、「愛国心教育」の強制等非常に問題がある。また文章表記であれ、「道徳の評価」は「内面」の評価であり、思想・良心の自由」の侵害である。よって道徳教育の押しつけに反対すること。

②「私たちの道徳」が児童・生徒に配布されているが、「私たちの道徳」の使用の押しつけ、道徳教育の押しつけはしないこと。

 ③学校に「愛国心」を押しつけないこと。「愛国心の評価」をしないこと。

④ 2011年6月13日に公布・施行された、「大阪府の施設における国旗の掲揚および教職員による国歌の斉唱に関する条例」は、第4条第1項において、「府立学校及び府内の市町村立学校の行事においておこなわれる国歌の斉唱にあっては、教職員は起立により斉唱をおこなうものとする。」と定め、府内公立学校の入学式や卒業式などで「君が代」を斉唱する際、教職員に起立・斉唱を義務づけている。 
   しかし、2016年3月18日、大阪弁護士会は府教委とA高校の校長に対し、(「君が代」を立って歌えという)「職務命令の前提となる大阪府国旗国歌条例については、そもそも違憲・違法の疑いがあり・・・懲戒処分をもって対応することは、思想良心の自由を侵害し、許されない」と勧告した。大阪弁護士会が勧告したように、同条例は、日本国憲法が基本的人権として保障する自由と権利、とりわけ教職員の思想良心の自由を侵害しており違憲である。したがって、同条例の廃止を大阪府に求めること。

⑤ 2011年度卒業式における山田組合員への戒告処分は、人事委員会の裁決によって取り消された。現在、合格していた再任用取消は「違法」だとして山田組合員他3名が大阪高裁に控訴し、係争中である。再任用について新たな採用だからという理由で、人事委員会が再任用合格取消しを認めたことは、行政の判断を追認するだけのもので不当というしかない。高槻市教委は山田組合員の再任用の取消を撤回するよう大阪府教委に要望を上げられたい。
9月27日付のサンケイスポーツは、「9月24日に開かれたプロフットボールNFLの試合では全米で200人以上の選手やオーナーが国歌斉唱の際に片膝をつき腕を組んで」、「黒人や有色人種に対する差別に抗議」すると共に、「国歌斉唱で起立しないならクビだ」と発言した「トランプ大統領に抗議の意思を表明した」と伝えた。これに対し、かつての名選手マイケル・ジョーダンは「この国の基本的な権利の一つは言論の自由。平和的に自分の意見を表明する権利を行使する人を悪者扱いすべきではない」と談話を発表。また、このトランプ発言に対して、プロバスケットボール(NBA)やメジャーリーグでも、抗議の輪が拡がっている。(資料1)
しかし、「国歌斉唱で起立しないなら、お前はクビだ!」と言うアメリカのトランプ大統領と同じく、驚くべきことに大阪府教委は「君が代」の起立斉唱の職務命令に従うという「意向確認書」に署名・捺印しない者はクビだとしている。大阪府教委・高槻市教委がトランプ大統領と同類であっていいはずがない。「意向確認書」の不提出を最大の理由として、山田組合員の再任用を取り消したことを撤回するよう、高槻市教委は大阪府教委に要望を上げられたい。
   また、2016年3月18日、大阪弁護士会は「『君が代』斉唱時の起立斉唱を義務付け、さらに当該義務違反に対して懲戒処分をもって臨むことは、教職員の思想及び良心の自由を侵害するものである」と勧告した。大阪弁護士会の勧告を尊重し、職務命令によって「日の丸・君が代」を強制しないこと、「君が代」の起立斉唱を強制しないこと、そして、教職員に「君が代」のピアノ伴奏を強制しないこと、いかなることがあっても「処分による強制」をおこなわないこと。「教職員の思想及び良心の自由を侵害」しないこと。 
   2012年1月16日の最高裁の判決は、「君が代」不起立は「個人の歴史観ないし世界観等に起因するものである」と述べて、「君が代」不起立は「歴史観ないし世界観」であり、「思想・良心」の内容を形成すると認定している。また、宮川裁判官は同判決の補足意見で「君が代」不起立は、「思想・良心の核心の表出である」と述べている。それゆえ、「君が代」で立つか座るかを聞くことは教職員に対する思想調査であり、また、「君が代」不起立かどうか、その意思を表明するかしないかは、その人の自由意志に任せられるべきである。また、そのような調査に、どのような法的根拠もない。今年度の卒・入学式において、職務命令を背景にして、事前に「国歌斉唱」時の起立・不起立などについて個別に態度表明を求めるなど、教職員の「内心の自由」および「良心の自由」を侵害する行為を校長に求めないこと。また、思想・信条の自由を侵害し個人情報保護条例に違反する「不起立調査報告」などを校長に求めないこと。

⑥ 市教委は教職員に「日の丸・君が代」指導を強制しないこと。また、卒業式・入学式においても式場内の子ども・保護者・教職員に対して「日の丸掲揚・君が代斉唱」を強制しないこと。
 
⑦「日の丸・君が代」の取り扱いについては、これまでの卒業式・入学式に見られたような児童生徒、保護者や教職員の「思想・良心の自由」を侵すことのないよう、また人権侵害のないよう最大限の配慮をすること。大阪弁護士会勧告(05・3・10)を尊重し、児童・生徒および保護者に対して「思想・良心の自由」についての、事前説明を実施するなど最大限の配慮をすること。

⑧ 高槻市教委が私たちはじめ市民の声をいっさい聞かず、6月1日から小中学校に「日の丸」常時掲揚を行ったことは、毎日、子どもたちに「日の丸」を仰ぎ見させることによって、「日の丸」に表される「国家に対する肯定的受容、すなわち国家忠誠」という「特定の思想」を、子どもたちに「刷りこむ」ものになっている。「教育の場での権力的な強制という方法による国家忠誠意識の注入」は許されない。(『法律時報』80巻9号、市川須美子論文)ただちに、小中学校での「日の丸」常時掲揚をやめること。

⑨ 元号の強制をしないこと。また、卒業証書の発行年月日表記で、元号を強制しないこと。また
卒業証書の年月日表記は個々の児童・生徒及び保護者の意向を確認し、尊重すること。

(6)学習指導要領に関して
 ① 授業時間数・学習内容の増加や「基礎・基本、活用も」の指針は、「教員の多忙化の加速」「児童・生徒間の学力格差の拡大」「児童・生徒の疲れの増加」を招き、児童・生徒や教職員への過度の負担となっている。それをなくすための条件整備の内容や見通しはいかがか。
・学校内の業務量削減に向けて、指導課が取り組むべき内容を明らかにすること。
・児童・生徒の理解を深め、教育内容を豊かに保障するために、教職員に授業研究や準備に充分な時間を確保すること。
・土曜授業は実施せず、長期休業中の授業を減らし、なくすこと。
・習熟や補充のための放課後等の授業を新たに設けないこと。
  ・標準授業時数に沿った授業時間を超過しないこと。
 
② 英語の教科化によって時間数の増加、授業準備等教師の負担が増加している。その負担解消について、市教委はどのように考えられているか。
  また、都市交流員の体制のAETが廃止されたが、都市交流員による英語教育は内容が充実し、
成果があった。都市交流員の体制を復活されよ。

③ 来年度から「特別な教科」となった「道徳教育」が小学校で始まる。道徳教育は「22の徳目」
を児童・生徒に刷り込み、他者への関心や社会への批判的見方を奪い、法と秩序を守り、国家に従属する国民を作ろうとするものである。社会的視野と他者との共存の感性を持つ次代の大人を形成する役割を果たす教員は、道徳教育を批判的にとらえ、教育活動を進めていかねばならない。

④ 昨年度の武道必修の取り組みの総括について説明をされたい。また今年度の必修状況と、安全対策について明らかにすること。
 
⑤学力テストについて
来年度以降も、学力テストの学校別結果公表をしない事を確認されたい。

(7)その他
  今年度小学校道徳教科書採択において、選定委員会「答申」の「2社絞り込み」が廃止された。教科書採択において、「答申」が学校意見、教員の意見反映したものとなるようにされたい。高槻市はこれまで教科書採択の情報公開について積極的に取り組んできたが、今年度小学校道徳教科書採択においては一部文書不存在による非公開があり、来年度の中学校道徳教科書採択時には完全な情報公開をされたい。