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再任用の職務内容を明確にした教職員課等交渉報告

2015年3月22日掲載

「短時間勤務職員は担任等の業務は担えない」を確認!

 2月2日に教職員課等に対する2014年度定期交渉を行いました。その交渉報告をします。今年度の定期交渉で特徴的なことは以下の通りでした。
1)来年度より再任用短時間勤務を希望している組合員の働き方に関わることで、「短時間勤務職員は担任等の常勤を前提とした業務は担えない」を確認できたことが大きな成果でした。
2)勤務時間短縮に関して従来要求してきた「業務削減」の要求に対して、高槻市教委はこれまで十分な対応策を取らなかったのですが、今年度の交渉では一定の前進した対応を示したことでした。
 交渉を終わって、組合交渉の意義をあらためて確認できました。以下、重点項目を中心に報告します。


A.地公法55条(交渉)に基づき、誠意と責任を持って交渉を履行されたい。(確認)
B.勤務時間短縮に伴う制度変更について
(1)市教委は、時短制度の遵守、追求のため学校の業務を削減する行程を作るプロジェクトチームを市教委各課を広く横断する形で立ち上げられよ。この取り組みがどこまで進んでいるのか、進捗状況を述べられよ。
→(市教委)組合の提起を受けとめ、教職員課、総務課、指導課と協議している。学校の統計等の仕事の負担軽減を考えている。
(2)市教委は学校内の業務削減に向けて、業務削減基準を作られよ。
 ①勤務実態調査の進行状況について述べられよ。どのような形で校長会に提案されたのか?
→(市)業務基準の削減基準の作成は進捗していない。35人学級の配置が業務削減つながっている。担任にアンケート調査をした。今後も3課で検証していきたい。
 【確 認】担任へのアンケート結果については組合に提示する。
 ②各教職員に、パソコンを貸与するとの事であるが、業務量削減や勤務実態把握とどう関わるのか?
→(市)パソコンの各人への貸与で勤務時間の把握ができ、業務の効率化につながる。
 【確 認】パソコンによる勤務時間把握は今年度中に実施したい。
 (組合)パソコンの導入が勤務時間削減につながるとの発想はまちがっている。超過勤務の解消をどのように実現していくかの視点が市教委にないことを強く批判した。また、パソコンによる勤務時間把握に「休憩時間」取得の把握を入れることを要求した。今後さらに「業務削減基準」を明確にされたいと要求した。
 2月19日に臨時校長会に勤務時間把握検討委員会の中間報告を文書で出すので、それを組合に提示する。また「休憩時間」の把握を入れるかどうかについては、今後検討していく。

C.再雇用制度及び高齢者部分休業について
◆「高齢者部分休業」について・・昨年度交渉での確認された
点を再確認した上で、次の事項を重点項目として交渉した。
(3)今年度、高齢者部分休業取得組合員の勤務校において、「休業日代替」が再任用短時間勤務職員で充当されたが、その際に大きな不都合が生じた。教職員課は2014年7月14日の交渉で、「原因をはっきりさせ、今後不都合が起こらないようにする。(不都合解消のため)教職員課として何ができるか考える」と回答された。そして、10月8日・15日に教職員課担当者が当該職員に電話で対応された。しかし、何ら不都合の解消には至っていない。職場の状況を把握し、緊急に対策を講じられよ。
→(市)再任用職員がいつ勤務できるかを踏み込んで聞くことが難しかった。来年度に向けて校長に丁寧なヒアリングを実施していきたい。
 (組)不都合が解消されないまま今年度が終わろうとしている。校長間のすり合わせがなされるよう市教委の指導が必要であることの認識を持ってもらいたい。
◆「再任用制度」について・・昨年度交渉での確認された点を再確認した上で、次の事項を重点項目として交渉した。
(2)再任用制度のルール作りについて
 ①今年度再任用職員の配置に関して、現場に教育上大きな不都合が生じ混乱を招く事案があった。「再任用希望者に対して丁寧なヒアリングを実施する」との方針では制度上の欠陥があると考える。従って再任用募集の希望調査にあたっては、新規・更新 全ての再任用希望者に対して高槻市独自の「意向調査」を実施し、再任用希望者の意 向・希望を正確に把握すること。
 →(市)再任用の意向調査は府教委が実施しており、市教委として実施の予定はない。校長とのヒアリングを充実し、再任用職員の配置を適切にしていきたい。
 組合は、高齢者部分休業(3)の要求との関連で、校長間のすり合わせの指導を強く要求した。
 
 ④再任用短時間勤務職員の担任配置について
 該当者に配布された「再任用制度について」(平成26年10月1日付)において、「4 職務内容等」の項に(短時間勤務職員は担任等の常勤を前提とした業務は担えない)と明記されている。しかし、高槻市では、短時間勤務職員(週3日勤務)が担任配置されている事例があると聞く。事実かどうかお答え願いたい。
 →(市)再任用短時間勤務職員に担任等は望ましくない。
   しかし、今の状況では担任をせざるを得ない。
  (組)それは間違いである。「望ましくない」状況が起こっているなら、校長をきちっと指導すべきであり、そうしなかった市教委に責任がある。
 【確 認】市教委は再任用短時間勤務職員は担任はできないと校長を指導していく。組合員が校長に「市教委交渉で担任はできない」と市教委と確認したと伝えていいと市教委は認めた。短時間勤務職員が担任をしているかどうかの実態調査をしていく。

D.病欠者の実態・・口頭で報告。新年度に文書で組合に提示する。

E.労働安全衛生法の実施及び休憩の保障と勤務実態調査関係
 B.勤務時間短縮に伴う制度変更についての所で主に議論をする。
(1)産業医の健康相談は4、7、8、9月各1件。5月は学校巡視。新年度に文書で提示。(2)退勤調査については、休憩時間を入れた出退勤調査になるよう要求した。(3)労働安全衛生組織の確立について引き続き要求した。退勤調査結果については新年度提示する。

F.評価・育成システム関係
(1)授業アンケートの以下の問題点についてどのような解決策をとられているか答えられよ。
①15歳以下の個人情報収集には本人の承諾と保護者の了解がいるが、了解をとっていないことについて。また、対象者(児童生徒)が反対する保障をしていないことについて。 7月の交渉では、「未成年については条例に規定がない。条例上問題がないか 法務課とも検討している。」と回答されたが、法務課との検討の結果を述べられよ。
→(市)高槻市個人情報保護条例では未成年者からの個人情報の取得に関しての規定は設けられていない。
 (組)この場合、個人情報の収集に当たり、「お知らせ」で本人の承諾を求めるべきである。市の法務課に再度本人の同意の手立てを相談せよ。

(3)評価育成システムに関わって問題が生じた場合、随時組合と協議をすること。
 組合は、今回の府教委の評価・育成システムの制度変更について組合に説明がなかったのはこの項目の約束違反に当たると抗議した。
→(市)府教委から各地教委に示されたのは(案)の段階なので、組合に示さなかった。
 【確 認】府教委の(案)を組合に提供する。

G.勤務場所を離れた研修について(確認)
H.週休日服務の振替に関して(確認)
I.宿泊を伴う学校行事に関わる勤務時間の割り振りについて(確認)
 宿泊行事での休憩時間確保の体制(引率人員の増員)を作るよう要求した。各校が休憩時間を明示しているかどうかを確認し組合に報告する。
J.学校警備員の昼休憩問題について(確認)
K.夏期休業中の勤務について(確認)
L.学校環境衛生について   
 このなかで特に(5)回収された実験用セラミック金網については、「理科実験で石綿労災」の新聞記事を提示し、市教委のこの問題に対する認識の甘さ、無責任な対応を強く批判した。

 以上、今年度の定期交渉は高槻市教委が安易な方向に流れようとすることに対して、ブレーキをかけ、再度基本的な立脚点を明らかにし、市教委を覚醒させた意義が大いにあったと思います。
(松岡)