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指導課交渉報告

2013年4月20日掲載

指導課交渉報告(2月19日)

 今回交渉の重点項目の一つは「君が代」斉唱時の教職員・生徒へのピアノ伴奏等の強制を阻止することであった。(「等」は、中学校での吹奏楽演奏を想定) 学習指導要領にすら何ら規定がないにも拘らず校長の裁量権を盾に、教職員はおろか子どもにまで「ピアノ伴奏等」の強制をすることは、憲法が保障する基本的人権「思想および良心の自由」を侵害し憲法違反になるのは明白である。校長が強制しないように時間をかけ市教委に迫った。やっと「指導する」と返答したが、高槻市教育行政の危機的な状況があらためて浮き彫りになった交渉であった。

要   求   書


2012年12月3日

高槻市長  濱田 剛史 様
 高槻市教育委員会
  教育委員長 勝山 葉子 様
  教育長   一瀬  武 様

学校労働者ネットワーク・高槻
執行委員長  松 岡  勲

(1)夏休み水泳指導・管理運営規則改悪について
 今年度から実施された夏休み5日間の水泳指導は、昨年度市教委が、夏季休業中の勤務変更提案を、組合への事前説明もなく校長会に下ろし、その後、有馬指導課長が「組合差別であった」との謝罪文を組合に出したものである。その上、市教委は、校長会において、各職場での検討の指示も出さず、校長会役員の意見を聞くのみで、12月12日の校長会で同決定方針を下ろしている。(中略)
1 5日間の夏休み水泳指導を撤回されよ。
(回答)
→→夏休み水泳指導について子どもと教師の実態を調査して把握する。
→→母性保護等の軽減の必要な対象者に、校長がどのように配慮しているか把握する。体育軽減について調べる。

(2)2学期制について
1 今、通知票は補助簿を含め3回出し、長期休業前後は区切りの集会等を行う等、限りなく3学期制に近い状態にある。その上に、4月~7月までの課題を夏休み以降に繋ぐために詳細な資料作りが必要となる夏季休業前の個人懇談等が加わり、前期学期末には平常の6時間授業・会議等の合間をぬって通知票をつけることになる。このように労働は過密になり、余裕を持って子どもたちと接する時間は少なくなっている。
授業時間数のクリアについては始業式や終業式の後に授業を組み込むなどの工夫と、夏季休業中に授業日を入れることで3学期制でも同等の時間を確保し得る。又、長いスパンでの指導計画、長い休みの緊張感の持続ねらいは子どもにとっては逆に「メリハリのなさ」となり、モチベーションを保つ上で大きなデメリットとなって学習の不連続性を惹起している。このように2学期制は各地で問題点が露出し、続々撤退を余儀なくされている。デメリットしかない2学期制を高槻市はなぜ廃止しないのか?その責任を問いたい。
2 教職員への2学期制アンケートを実施すること。アンケートで出された疑問や不安・反対意見を課題として受けとめ、総括すること。
3 夏季休業中の水泳指導日に関して、警備員の配置、担任が産休・育休や傷病休等の場合の講師の配置を保障されたい。
(回答)
 →→教職員への2学期制アンケートについて検討する。
 →→2学期制の対応について市教委として検討する。
 →→警備員の配置について学務課へ申し伝える。

(3)連携型小中一貫教育について
1 「連携型小中一貫教育」に関する研究会の大幅な増加により、教職員が落ち着いて授業の準備・研究をしたり、子ども達の事を話しあう時間がますます失われてしまった。病気で倒れたり体の不調を訴える教職員が後をたたない。教職員も生身の人間である。指導課は、教職員課と連携し、時短制度の意義を共有し、「連携型小中一貫教育」の業務削減に努められよ。
2 「連携型小中一貫教育」に関して、校区連携会議が職員会議の承認やその方向性の議論なしに進められている。結果、先が見えず、責任所在がはっきりしない校区連携会議が重ねられている。これは、教職員が勤務する学校の教育を責任を持って築き上げていこうとする意欲をそぐ結果となり、逆効果といえる。市教委の見解は如何か?
3 「連携型小中一貫教育」は中学校的学校文化、教科教育及び生活指導の小学校への「前倒し」的導入となり、各小学校の取り組みの独自性を損ない、取り組みを画一化する危険性がある。市教委の見解は如何か?
4 学校での十分な論議なしに「平成28年度目途に全中学校区において連携型小中教育を実施する」というような拙速な一斉実施には反対する。また、「連携型小中一貫教育」によって勤務条件の変更を伴う場合は、組合との協議なしに導入を進めないこと。
(回答)
  →→勤務時間削減の方向で教職員課と指導課で話し合っていく。

(4)特別支援教育について
 支援学級入級児童・生徒の増加に伴い、そのニーズは多様化している。また、「通常学級」在籍の支援を必要とする児童・生徒も増えてきている。しかし、現場では職員の数が足りず、児童・生徒への学習保障・安全保障は十分とはいえない。また、教材作りや、児童・生徒の様子や保護者の思い等を交流する時間も十分に確保できていない。児童・生徒の教育や安全を支援し保障するため、教員の定数増、実態に見合った加配・備品設備の整備を早急に実現されたい。
◆サポート教室について
1 現状(職員数・入級児童・生徒の数と利用実態)について明らかにさ れたい。通級の際に必要な人的保障をすること。
◆特別支援コーディネーターについて
2 支援学級担任以外で、コーディネーターとしての仕事が十分できる 職員を各校1名配置すること。
 ◆児童・生徒に対する支援体制について
3 種別による学級設置を進める、重度自閉症児等在籍の
1クラスの定員を減らす等で、十分な人的保障をすること。
4 正規職員が配置されない場合、市の責任で人的保障をすること。その配置については、現場の要望を十分考慮して配置すること。
5 「通常学級」在籍の支援を必要とする児童・生徒に対する支援体制確 立のため、対応できる職員を配置すること。
 ◆備品や設備の整備について
6 プレイルームにエアコンを設置すること。
7 教材整備のために必要な物を、市の予算で購入しやすくすること。
(回答)
 →→プレイルームのエアコン設置の必要性を学務課へ要望する。

(5)道徳教育・日の丸・君が代・元号
1 新指導要領で企図される国家主義の道徳教育を押しつけないこと。
「道徳教育推進教員」を機能させないこと。
2 昨年度から「心のノート」はウェブ掲載になり、配布されていない。「心のノートは副読本ではなく、資料である。」との従来の確認は今年度も変更がないことを確認されたい。
3 学校に「愛国心」を押しつけないこと。引き続き「愛国心の評価」を入れないこと。
4 2011年6月13日に公布・施行された、「大阪府の施設における国旗の掲揚および教職員による国歌の斉唱に関する条例」は、第4条第1項において、「府立学校及び府内の市町村立学校の行事においておこなわれる国歌の斉唱にあっては、教職員は起立により斉唱をおこなうものとする。」と定め、府内公立学校の入学式や卒業式などで「君が代」を斉唱する際、教職員に起立・斉唱を義務づけている。しかし、同条例は、日本国憲法が基本的人権として保障する自由と権利とりわけ教職員の良心の自由を侵害しており違憲である。したがって、同条例の廃止を大阪府に求めること。
5 昨年度卒業式における山田組合員への懲戒処分及び再任用取消は「思想・良心の自由」の侵害及び再雇用の機会を奪う不当なものであり、強く抗議する。今後、職務命令によって「日の丸・君が代」を強制しないこと、如何なることがあっても「処分による強制」をおこなわないこと。また、今年度の卒・入学式において、職務命令を背景にして、事前に「国歌斉唱」時の起立・不起立などについて個別に態度表明を求めるなど、教職員の「内心の自由」および「良心の自由」を侵害する行為を校長に求めないこと。また、思想・信条の自由を侵害し個人情報保護条例に違反する「不起立調査報告」などを校長に求めないこと。
6 市は、教職員に「日の丸・君が代」指導を強制しないこと。また、卒業式・入学式においても式場内の子ども・保護者・教職員に対して「日の丸掲揚・君が代斉唱」を強制しないこと。また、「国家斉唱」時の教職員・生徒へのピアノ伴奏等の強制を行わないこと。
7 「日の丸・君が代」の取り扱いについては、これまでの卒業式・入学式に見られたような児童生徒、保護者や教職員の「思想・良心の自由」を侵すことのないよう、また人権侵害のないよう最大限の配慮をすること。日の丸常時掲揚をやめること。大阪弁護士会勧告(05・3・10)を尊重し、児童・生徒および保護者に対して「思想・良心の自由」についての、事前説明を実施するなど最大限の配慮をすること。
8 元号の強制をしないこと。また、卒業証書の発行年月日表記で、元号を強制しないこと。また、卒業証書の年月日表記は個々の児童・生徒及び保護者の意向を確認し、尊重すること。
(回答)
 →→「心のノート」は副読本ではなく資料である。
→→愛国心に関わる指導は、「数値化による評価ではない」という基本姿勢を大切にする。
 →→「国歌斉唱」時の「ピアノ伴奏等」を教職員・子どもに強制するものではないと校長に指導する。
 →→組合との労使関係は大事にしていきたい。今後情報は提供してい   きたい。

(6)新学習指導要領に関して
1 授業時間数・学習内容の増加や「基礎・基本、活用も」の指針は、「教員の多忙化の加速」「児童・生徒間の学力格差の拡大」「児童・生徒の疲れの増加」を招き、児童・生徒や教職員への過度の負担となっている。それをなくすための条件整備の内容や見通しはいかがか。
・学校内の業務量削減に向けて、指導課が取り組むべき内容を明らかにすること。
・児童・生徒の理解を深め、教育内容を豊かに保障するために、教職員に授業研究や準備をするための充分な時間を確保すること。
・土曜授業は実施せず、長期休業中の授業をへらし、なくすこと。
・習熟や補充のための放課後等の授業を新たに設けないこと。
・3回前の貴指導課との話し合いで、「新指導要領に対応する授業時間数は充足されている」ということであったが、標準授業時数に沿った授業時間を超過しないこと。
2 「道徳教育の充実」・「伝統文化尊重」が重点化されているが、「国家統制的内容」として特定の価値観を道徳教育推進教師が中心となって画一的に押しつけないこと。
3 総合的な学習の実施にあたり以下の点を各学校長に指導すること。
・児童・生徒に必要以上の時間で学習負担にならないようにすること。
・教職員の準備や他機関との調整、事後対応等が過重労働にならないこ と。
・総合的な学習の内容充実や安全保持のために、人員確保の予算措置を すること。
4 外国語学習にあたり、担任の教材準備や打ち合わせの時間保障や人的配置をすること。また、来年も、都市交流員の体制を保障されよ。
5 本年度より保健体育科において武道が必修化されたが、その実施に関しては特に生徒の安全面について多くの問題点が指摘された中でのスタートとなった。武道の授業とりわけ柔道の授業を実施するにあたり、特に安全に関する市教委独自のガイドライン作成の有無、安全対策に関する研修計画等を明らかにすること。
(回答)
 →→後日『〈武道〉中学校学習指導要領解説に対する高槻市の考え方』  を作成した文書で情報提供し必要なら説明もする。