学労ネット

卒業式における2度目の職務命令発出への抗議のお願い

2013年3月29日掲載

 昨年の卒業式において、高槻市教育委員会は学校労働者ネットワーク・高槻の4名の組合員にのみに「国歌斉唱に当たっては、起立して斉唱すること」との職務命令が出し、大阪府教育委員会はそのうちの不起立の組合員に対して懲戒処分・再任用取消という不当な処分を下しました。現在、処分取消と再任用拒否取消の不服申立をし、人事委員会審理に入っているところです。
 今年の小学校卒業式は3月19日に行われましたが、その前日、高槻市寿栄小学校大角真理子校長は学労ネット・高槻の組合員に対して2度目の職務命令を出しました。これは、
(1)昨年度に引き続き職務命令が出されるという「職務命令の乱発」は寿栄小学校のみであり、高槻市内でも突出した行為である。
(2)3月18日の話し合いにおいて、組合員から「斉唱時、式場から出る」という選択もあるという提案があったにも拘わらず、校長は提案を受け入れず「(先生の)意思が聞きたい」と執拗に「内心の告白」を迫っという不当なものであった。
 当該組合員の抗議と斉唱時の退出通告によって、職務命令は卒業式開始直前に取り下げられたものの、高槻市教委指導課に指示されたことを理由に、校長は卒業式で「起立するか、着席するか」の態度表明を執拗に迫り、組合員の内心の自由を著しく侵害したことになり、これは言語道断の人権無視の行為である。
 3月26日、組合は校長に対して、寿栄小学校卒業式での職務命令の発出に対して厳しく抗議の申し入れを行ったが、校長からは軽々に職務命令を出したことの反省の言はなかった。また、卒業式前日にあった当該組合員よりの退出の提案を受け入れることで、「職務命令発出は回避されたのではないか」との組合の指摘に対しても反省の言葉はなかった。組合はこのような校長の言語道断の人権無視に対して、また、校長に職務命令発出を指導した高槻市教委に満腔の怒りをもって抗議するものである。
 以下の高槻市立寿栄小学校大角真理子校長ならびに高槻市教育委員会教育長に対して、みなさんに抗議の電話ならびにファックスをお願いします。

<抗議先>
高槻市立寿栄小学校長 大角真理子
TEL 072−694−8171
FAX 072−694−8173
高槻市教育委員会教育長  一瀬 武
TEL 072−674―7601
FAX 072−674−7032



2013年3月26日
高槻市教育委員会教育長 一瀬  武 様
高槻市立寿栄小学校長  大角真理子 様
学校労働者ネットワーク・高槻
執行委員長  松 岡  勲

抗 議 文

 高槻市立寿栄小学校の卒業式が3月19日に行われたが、貴職は卒業式前日の3月18日17時19分に同校職員である学校労働者ネットワーク・高槻の組合員に「平成24年度卒業式における国歌斉唱に当たっては、起立して斉唱すること」との職務命令を発出した。
 3月8日(金)昼頃、休業日であるが6年生を送る会のために出勤していた当該組合員に対して、貴職は、「君が代」斉唱に際して起立して斉唱するかどうかの意志表示をするようにと、求めてきた。組合員は、昨年度の卒業式と同じ気持ちであり同じ対応にならざるを得ない旨のことを述べた。3月15日(金)の20時25分に組合員の携帯電話に貴職からの留守電が入っていた。週休日である翌16日(土)昼頃、卒業式準備のために出勤していた組合員に対して、貴職は携帯電話で再び意思表示を求めてきたので、組合員は、前校長から引き継いでいると思うが昨年度の卒業式と同じ気持ちであり同じ対応にならざるを得ない旨のことを再び説明した。それに対して貴職は、前校長から引き継いでいないので改めて起立不起立について本人が意志表示することを繰り返し求めた。
 組合員は、事前に起立不起立の態度表明を求めるのは内心を明らかにすることの強要であり、憲法で保障された「内心の自由」を侵すことになるので答えられないこと。また、本人の意志と関係なく支援学級児童の補助のため、卒業式では児童の状態に合わせた動きを取らざるを得ない状況であり予測不能なことが生じる可能性がある旨のことを伝えた。貴職はその状況を承知しているにも拘わらず、組合員に内心を明らかにさせることを目的に職務命令を発出したのである。
 貴職の行為は、校長として職員に対し粘り強く指導するのではなく、教育委員会と共謀して職務命令を発して職員を従わせることを目的にしたものであり到底認めることはできない。
 また、「君が代」の起立斉唱を強制する職務命令を発すること自体が職員の思想・良心および信教の自由を奪う基本的人権の侵害行為である。直近の最高裁判決においてさえ、その「起立」とりわけ「斉唱」の強制については、慎重な対応が求められているところである。それにも拘わらず、①昨年度に引き続き職務命令が出されるという「職務命令の乱発」は寿栄小学校のみであり、高槻市内でも突出した行為である。②3月18日の話し合いにおいて、組合員から「斉唱時、式場から出る」という選択もあるという提案があったにも拘わらず、貴職は提案を受け入れず「(先生の)意思が聞きたい」と執拗に「内心の告白」を迫った。
 これについては、橋下徹大阪市長でさえも、立つか座るかのみではなく「立ちたくなければ欠席という選択をするのは大人の知恵」、「式に出ないという選択もありうる」などの発言をしている。貴職はそれをも無視し、組合員に「内心の告白」を繰り返し迫ったのである。
 3月19日(火)8時5分、組合員からの抗議と「君が代」斉唱時の退出通告によって職務命令は8時20分頃取り下げられたものの、市教委指導課に指示されたことを理由に、貴職は卒業式で「起立するか、着席するか」の態度表明を執拗に迫り、組合員の内心の自由を著しく侵害したことに何ら変わりはない。したがって、貴職は軽々に職務命令を出したことを猛省すべきである。
 組合は、寿栄小学校卒業式での職務命令の発出に抗議するとともに、貴職ならびに高槻市教育委員会の謝罪を求めるものである。
以上、満腔の怒りを持って厳重に抗議する。