学労ネット

それは許せん!
君が代起立条例反対緊急集会

2011年5月31日掲載

 5月26日、大阪府庁前「教育塔」前広場で、君が代起立条例反対集会(主催:「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪)が行われました。同条例は、橋下大阪府知事と大阪維新の会が5月府議会で強行可決しようとしているもので、府立学校、府下の公立学校すべての卒入学式の君が代斉唱時に教員が起立することを職務命令によって義務づけようとしています。悪天候、緊急の集会にもかかわらず300人が参加。抗う気持ちを明らかにしました。

 大阪弁護士会の冠木弁護士は、「政府は『個人通報制度』を批准する方針。この制度で闘うことができます。」(1)と闘う道筋を示唆。大阪教育合同の竹林さんは、「子どもの前では嘘はつけない。良心を貫いていきたい」、子どもの貧困ネットワークの小野さんは、「橋下や維新の会を支えている多くの人々は彼らの本質を知らない。彼らのようなファシストは、合法的に彼らの革命を行う。絶対この条例を通さないようがんばっていきたい」、他に、なかまユニオン、新勤評裁判原告団、門真三中教員他たくさんの決意表明がありました。

 最後に主催事務局から以下の行動提起です。

①条例案が27日に上程され、教育常任委員会に付託。教育常任委員会は31日と6月2日に審議をする予定。(おそらく3日の本会議が危ない!)
②条例反対アピールへ(2)の賛同が400通を超えた。これ以上に賛同を増やしていきたい。
③励ましのメールが事務局へ、抗議ファックスが府教委へ、各々山のように届いている。もっと抗議行動を広めていきたい。
 
 右翼のがなりたてる野次とエンドレスの大音量「君が代」の中、私はかえって元気になって集会場をあとにしました。こんなに「君が代」が下品に聞こえた事はありませんでした。あんな下品な歌とファシスト橋下体制を受け入れる訳にはいきません。この報告をみなさんがお読みになる頃、たとえどのような結果が訪れていようと、おそらく私は希望を捨てていないと思います。気長にがんばっていきたいです。                   

(1) 人権救済 国連に個人申請 政府、条約を年内受諾へ 
5月26日 読売新聞夕刊

 政府は26日、人権侵害を受けた人が国連などの国際機関に直接、人権救済を申し立てることができる「個人通報制度」を導入する方針を固めた。

 法務、外務両省を中心に制度の細部を詰め、年内の閣議了解を目指す。

 同制度は、人権保護に向けた各種条約で規定され、国内の司法手続きで手を尽くしても権利が回復されない場合、個人からの申し立てを受けた国際機関が審査して認定すれば、各国政府に見解や勧告を通知する仕組みだ。

 政府は、既に日本が締結している条約のうち、人種差別撤廃条約や拷問等禁止条約、強制失踪条約は、閣議了解により受け入れを宣言することで同制度を導入することを検討している。

 同制度をめぐっては、民主党は「人権侵害の救済機会が広がる」として、長年、導入を求めており、2009年衆院選の政権公約(マニュフェスト)で制度実現を明記した。

 江田法相も「国際ルールに合わせる必要がある」と導入を強く主張している。

 ただ、政府の一部には≪司法の独立とのバランスが難しい」「国際機関に改善を要求された場合、日本の法体系との整合性をどう解決するのか」などの慎重論もある。

<個人通報制度とは>
 個人が国際機関へ人権侵害を通報し、機関が締約国に見解を示して注意喚起する。締約国は、見解に対する事後点検と報告を求められる。付属する選択議定書に批准するか、受諾を宣言することで適用される。1966年に国連総会で採択された自由権規約の選択議定書は、欧州を中心に韓国など113か国が批准している。



(2)アピール文
「君が代」起立条例に反対しよう!
2011年5月23日

 橋下徹大阪府知事と大阪維新の会は、開会中の大阪府議会に「君が代」起立条例を提出し、卒業式・入学式において教職員に「君が代」斉唱時の起立を義務化しようとしています。さらに、9月府議会には「複数回の不起立で懲戒免職」を含むと言われている教職員処分条例を提出し、大阪維新の会の多数の力で、強引に成立させようとしています。加えて、不起立者の氏名、所属校を公表することも検討するとしています。
 「起立条例」や「処分条例」は、あの石原都政や東京都教委ですら行っていない暴挙であり、何としてもやめさせなければなりません。
 こうした動きの直接のきっかけは、入学式での不起立教員2名に対して、職務命令違反であるとして5月6日に戒告処分が出され、その新聞報道の中で不起立者のいる府立高校は他に26校あると報じられたことにあると言われています。橋下知事は、「君が代」斉唱時に起立しない教職員を自分に対する反逆であるととらえ、我慢ならなかったのでしょう。
 橋下知事は、5月7日と8日に府幹部などに出したメールの中で、「論理的な問題ではなく、社会常識の問題ですから、最後は政治が決することです、(中略)何が社会常識かは、価値判断にかかわること。意見が割れたときには、最後は公選職が決めることです。組織のルールに従えないなら、教員を辞めてもらいます。」などと述べて、起立強制の条例と処分のルールつくりを打ち出しました。
 橋下知事は、「起立は社会常識」「ルール違反」などと問題をすり替え、「君が代」強制の歴史的、現代的問題点を一切捨象して、何が何でも教職員に起立を強制しようとしているのです。そこには、悩みながらも不起立を選択せざるを得なかった教職員の心情はあえて無視し、ひたすら自分に逆らっている者へのあからさまな敵意があるだけです。
 そもそも「君が代」斉唱は、侵略戦争を担ってきたその役割や信仰上の理由などから、きわめて個人の思想・良心の自由にかかわる問題です。教職員への起立強制は、子どもたちが社会には多様な価値観が存在することを知り、自己の人格を自由に形成するのを阻害するものです。
 今回の動きの背景には、「大阪都構想」をめぐる橋下知事の政治的戦略があるとする新聞報道もありました。実際に、記者会見では「(教育行政についての)問題提起のネタを探していた」と発言しています。
 大阪、そして全国の人々に訴えます。このまま条例の制定を許してしまうならば、将来にわたって大きな禍根を残すことになります。橋下知事によるこの歴史的な暴挙に対して、今こそ反対の声を上げていこうではありませんか。

呼びかけ:「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪
代表:黒田伊彦