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小中一貫教育はほんとうに必要なのか?

2010年12月4日掲載

 高槻で上からの「教育改革」として出てきている問題に、「小中一貫教育」があります。今年2月の定期交渉からこの問題を取り上げ、指導課に対して問題点を提示してきました。

 これまでの経過は、昨年10月の校長会で、突然、小中一貫教育推進モデル事業の実施が下ろされ、連携型小中一貫教育を「従来の6・3制を基本としていながら、4・3・2制を取り入れて」実施するということでした。これをまず2010年度から第4中ブロックで2年度にわたり実施し、2011年度にモデル校区を数校区に拡充、同年度に連携型小中一貫教育の最終答申を確定し、2013年度より全市で実施する計画でした。この事業では、小学校5年・6年・中学校1年が焦点になり、理科・数学・社会等の教科教員が相互乗り入れし、教育指導します。

 この時の校長会の様子で漏れ伝わってきた話では、当該の第4中学校校長にも「詳しい内容は知らされていなかった」とのことでした。2学期制導入の時もそうでしたが、市教委からの「トップダウン」で、教職員の勤務内容が激変する施策が降りてくるという悪しき体制ができています。(ちなみに現教育長が五領中学校長時代、その中学ブロックは小中連携教育の文科省指定校であり、理科・体育科・英語科の教師が忙しく相互乗り入れしていました。)
 これに関わって、理科・数学・社会科免許所有教員の異動を容易にする人事異動が実施されるということでした。唐突な提案に現場は管理職も職員も混乱していました。

 今年2月の定期交渉での市教委の回答は、「小中一貫校を2013年度に全市で一斉実施する予定はない。9年間通したカリキュラムを作ることが基本である。2月の校長会で説明し直し、小中一貫教育推進モデル事業のプリントは書き直して、各校でもう一度説明する。」と変わっていました。その後、再提出されたプリントには「一斉実施の時期」は明記されていませんでした。

 そして今回、「高槻市における小中一貫教育の基本的な考え方について(骨子)」が出されましたので、10月5日に指導課と小中一貫教育について話し合いました。「小中一貫教育の基本的な考え方」では、高槻市における連携型小中一貫教育の定義を「同一中学校区の小中学校で、共通の①目標②指導内容③指導方法を9年間貫いて設定され実施される教育」としています。具体的には、「4・3・2制」で「(同一校地内の)一体型」でもなく、「(地域連携の取り組みのある)京都型」でもない「連携型小中一貫教育」をするというのです。(どんなものなのか?)それを「平成25年以降、条件が整った中学校校区から」実施、「平成28年(2016)度目途に全中学校校区において実施」と今度は実施時期が明記されています。

 しかし、基本的には指導要領で、「共通の①目標②指導内容③指導方法を9年間貫いて設定され」ているはずですから、いくら「中一プロブレム」問題があるからと言って、あらためて「小中一貫教育」を再設定する必要はほんとうにあるのでしょうか。市教委が進めようとする「連携型小中一貫教育」は、2学期制導入もそうであったが、学校現場の必要性から考えられたものではなく、ただ「流行」に乗っただけのものとしか思われない。

 この質問を指導課にぶつけてみましたが、明確な返答はありませんでした。 高槻では学校現場の根強い反対を無視して、2007年4月から2学期制が一斉導入されました。2学期制は現在各地で問題点が噴出し、「続々撤退」(朝日新聞7月2日)しています。しかし、市教委はロクすっぽその総括を行っていません。それなのにまたもや「流行」に乗り、小中一貫教育を実施しようとするのです。
 私たちは、極めて具体性に乏しいこの小中一貫教育の実施に疑問を持ちます。多忙を極める現場の負担をさらに強める小中一貫教育に反対する取り組みを今後とも進めていこうと考えています。

(松 岡)