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不充分極まりない「退勤時刻調査結果」
府教委同様に「勤務時間の適正な管理」を実施せよ!

2010年7月17日掲載

 我々が長年要求してきた「勤務実態調査」に対して、労働安全衛生法からの必要もあり、高槻市教委はやっと重い腰を上げ、昨年度、「退勤時刻調査」を試行しました。(11月16日~20日、2月15日~19日、小学校各4校・中学校各2校の調査)
 この調査は、ごく一部の学校しか対象にしていないこと、また、退勤時刻しか調査していず、出勤時刻が調査されていないこと、持ち帰り仕事が調査されていない等極めて不充分なものでした。(文科省調査でさえ持ち帰り仕事を調べている。)
 それでも小学校(4校平均)で1時間23分(11月16日~20日)、1時間47分(2月15日~19日)、中学校(2校平均)で1時間45分(11月16日~20日)、2時間18分(2月15日~19日)の超過勤務時間が明確になっています。

 退勤時刻が遅くなった理由も挙げられていますが、この調査結果をどう生かし、超過勤務の解消をどのように進めるのか、市教委は方向性を出せていません。何のための調査か疑問になります。(なお、市教委の説明では、教職員の世代分布で非常に人数の少ない年齢があるため、実態が充分反映されていない部分もあるとのことです。) 私たちのこの部分に関わる今年度の要求は次の通りです。さらに実態把握を求めます。「今、各職場でどの程度休憩時間が取得されていると市教委は把握しているか答えられたい。また、市教委は昨年度退勤調査を実施したが、その結果と分析を示されたい。昨年度の調査は退勤時間のみであり、不十分である。2010年度は、出退勤調査として実施されたい。さらに、職員の超過勤務実態を明らかにするため、前記調査に休憩時間取得実態調査を含めたものにされたい。」 
(参考)>>>「平成21年年度 退勤時間調査結果」(高槻市教委) クリックするとPDF書類を表示します。

 一方、府教委は本年5月24日、府立学校および各地教委に「勤務時間の適正な把握のための手続き等に関する要綱」等の制定についての通知文を出しています。
 通知文の内容は次の通りです。
1、府内の公立学校においては、府立学校と同様に教育職員の勤務時間の管理が十分になされているとは言い難い状況にある
2、労働基準法上、使用者には、労働時間の管理を適切に行う責務があり、厚生労働省から、2001年4月6日付けで、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について(労基発第339号通知)」が示されている。
3、文部科学省が、2006年度に実施した「教職員の勤務実態に関する調査研究事業」の結果によると、全国的に教職員の時間外勤務が前回調査時よりも増加しているという状況にある。
4、2009年10月に、大阪高裁において、「公立学校の校長には、教育職員の勤務内容・態様から、生命や健康を害する状態であることを認識・予見し得た場合に、当該職員が勤務により健康を害しないように管理すべき義務があるところ、校長が事務の分配等を適正にする等の措置をとらなかったことは、安全配慮義務違反である」とされた判決が出されている。
5、早急に使用者としての責務を果たしていくことができる環境を整備する必要がある。
 として、府教委は「勤務時間の適正な把握のための手続き等に関する要綱」「同実施要領」を制定し(本年6月1日実施)、勤務時間管理に取り組むとしています。
 私たちは、7月14日の市教委交渉で高槻市教委に対して、同様の勤務時間管理の取り組みを早急に行うよう要求しました。
(参考)
>>>「大阪府教委残業報告を義務づけ」(朝日新聞 2010・6・24) クリックするとPDF書類を表示します。
>>>「勤務時間の適正な把握のための手続き等に関する要綱」等(大阪府教委) クリックするとPDF書類を表示します。 

(松岡)