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意見陳述書(末広・松岡)

2008年6月16日掲載



陳述書

控訴人 末広 淑子

控訴人の末広です。高槻市で小学校教員として勤務しています。今現場では、膨大な仕事量に加え、教育改革への対応や、児童・保護者の多様なニーズへの対応等で超過勤務があたりまえとなっています。さらに、教員の数が足りないための過重労働による疲労やストレスも限界にきています。私たち控訴人も5名のうち3名が、前後して長期の病休・休職を取るという厳しい状況に追い込まれました。私たちが健康、安全を維持し、意欲を持って労働するために、休憩はとても大切な時間です。取得できなかった過去の休憩時間はもう取り戻すことはできませんが、その違法状態が改善されることを願って、陳述をしたいと思います。

〈高槻市教委の怠慢 休憩時間「7年目の試行」は違法〉
「休憩時間」は労基法で定められ、罰則規定を伴っている強行法規です。それは労働者が健康で働くために、基本的で不可欠な条件であるからです。ところが、私が勤務している高槻市では大阪府に1年先立ち2002年度に休憩時間の試行を始めたにもかかわらず、7年目になる今年の2008年度も試行のままなのです。労基法に「7年目の試行」というものがあるのでしょうか。こんな状態はまず、考えられません。「7年目の試行」は違法です。毎年校長は、休憩時間を含む勤務時間の明示をしますが、「試行」に対する何の総括もありません。高槻市教委に至っては1年目の2002年度に休憩時間取得の実態調査をしたのみで、それ以降何の検証も見通しもないままで「試行」を続けているのです。1年目の休憩時間の実態調査で、71.8%は「休憩時間は全く取れていない・ほとんど取れていない」と回答しています。それに対する何の改善策もなく7年経っているのですから、今年度においても休憩時間が取れない実態はそのままです。実際には、矢継ぎ早な教育改革への対応や教育現場へのニーズの拡大等によって取得状況がさらに悪化しているのが現状です。今、残業などを含む労働時間の長時間化による病気、精神疾患、過労死が大きな社会問題になっているというのに、休憩時間の問題を放置し続ける高槻市教委の姿勢は無責任そのもので、労基法に違反しています。

〈校長の怠慢「休憩時間の明示、振替制度があることを知らせた、会議を入れないようにした」だけ〉
高槻市教委は、休憩時間取得のための手だてを全くしてきませんでしたが、被控訴人校長たちはどうでしょう。「休憩時間の明示をし、振替制度があることを知らせた、会議を入れないようにした」と、それで責任を果たしたかのようにことさらに主張しています。しかし、それをしなければ労基法違反ですから、校長としては当然のことをやっただけに過ぎません。校長らは、小学校において、正規の勤務時間を上まわるほどの仕事量があること、設定された休憩時間に緊急の事態が入ることがあり、休憩時間が「手待ち時間」になっていること、休憩時間に仕事をやらなければ残業や持ち帰り仕事が増えること、それらを知っています。休憩時間の取得が現実から乖離した状況だと知りながら、実質的に機能するような手だてなど打つことなく、その無責任さを隠すために「あたりまえのこと」をことさらに主張せざるを得なかったのです。1審の判決文には『(休憩時間が)取得できるように配慮していたことが認められる』とありますが、最低限の「あたりまえのこと」をしただけで、「配慮」は全くありませんでした。同じ現場にいて、実態を一番把握している校長が、違法状態を放置してきたのです。

〈休憩時間に労働実態があったと被告校長は認めている〉
2002年度、被控訴人佐竹校長は高槻市教委の休憩時間に関する調査に対して「電話、来客対応、教材研究等のため、取りにくかった」と回答しています。この年は試行初年度だったこともあり、佐竹校長としては休憩時間の様子を意識的に観察した結果のコメントだと思います。また、2003年度、被控訴人大西校長は本人尋問の中で「休憩時間になにも入らないという事態は学校ではちょっと想定しにくい」「休憩時間に勤務をしている教育の実態があることを認識している」と答えています。これは大西校長自身の現場経験をふまえ、小学校における休憩時間の実態を正直に述べていると思います。二人の被控訴人校長ははっきりと休憩時間に労働実態があったことを証言しているのです。ところが、二人の被控訴人校長は、「休憩時間に労働実態があった」ことを証言しながら、「私(控訴人)が休憩時間を取得できなかった」ことを否認しています。この二つの証言は明らかに矛盾しています。被控訴人校長らは、理由として「私からの『振替の申し出がなかった』から休憩時間が取れていた」と述べていますが、「私が休憩時間を取れていた」と断言できる証拠はなく、『振替の申し出がなかった』から休憩時間が取れていただろうという全くの憶測にすぎません。膨大な仕事量からいって、その日の内に休憩時間の振替をする時間があるはずもなく、取れない振替を誰が申し出るでしょうか。また、他の教員は休憩が取れず、私だけは取れていたとでもいうのでしょうか。そんな状況はまずありえませんし、証拠もありません。従って、被控訴人校長らが偽証していることは明らかです。また、1審の判決文にも『(職員会議が)校長の黙示の職務命令に基づき、休憩時間中に開催された』『休憩時間において、相当時間にわたり勤務に従事していた』とはっきり書かれています。

〈休憩時間中にしている仕事はやらざるを得ない仕事〉
現在、私は高槻市立寿栄小学校の支援学級担任をしています。クラスには何らかの支援が必要とされる子どもたちが11名在籍しており、担任は4名です。人的に十分な保障がないので、担任以外の職員7名から数時間ずつ補助をしてもらっています。以下は、私の最近の1日の状況です。勤務時間は午前8:30~午後5:15、休憩時間は午後2:45~午後3:30です。

2008年5月28日(水)

出 勤   8:10→勤務時間は8:30
(行事や時間割の変更がないかチェックし、その対応をする。児童出迎え後は職員室に帰ることが出来ないので、全ての準備物を用意しておく。)

児童出迎え 8:25(出迎え担当教員が用事で遅れるため、替わりに出迎えた。)

児童とともに教室待機(児童支援のため職員の朝の打ち合わせには出られない)

1限目 10分休み 2限目 20分休み 3限目 10分休み 4限目
(1~4時間目は支援学級の授業。休み時間は児童の安全確保等のため、学級から離れられない。自分のトイレや水分補給などは思うようにできない)

給 食   (児童の給食介助。介助しながら自分の食事をする)

掃除・昼休み(給食に引き続き、掃除の支援。昼休みも児童の安全確保のため、学級から離れられない。)

児童見送り (昼休みに引き続き、帰り支度の支援。校門まで一緒に行き、保護者に引き渡す。)

5時間目  (児童の行動がスムーズにいかず、校門に行くまで多くの時間がかかった。保護者に引き渡した後は大急ぎで4、5、6年生のクラブ活動の授業に向かうが、5時間目には間に合わなかった。)

休憩時間  14:45~15:30
(担当クラブが「もの作りクラブ」なので使用した道具の片づけで10分。その後、初めて職員室に戻る。配られたプリント等を見た後、支援学級の片づけや掃除、明日の教材準備)

会 議   15:30~17:30→勤務時間は17:15
(各学年の今年度の課題を確認し、共通理解する校内研究会)

残 業   17:45~18:30
(支援学級の畑のキュウリの支柱立て、明日の教材準備)

支援学級の担任は、1日中児童に張り付いて支援、介助をしています。一時も離れることはできませんので、トイレ、水分補給、電話、物を取りに行く等も出来ません。どうしてもの時は、児童の安全確保ができる状況であれば近くにいる教員に頼んだり、インターホンで職員室から誰かに来てもらったりして大急ぎで用事を済ませます。児童が帰るまでは仕事に切れ間というものがなく、体力的にも精神的にもかなりの緊張状態が続きます。そして、この日のスケジュールでみると、私は朝と残業で1時間35分、休憩時間中45分の時間外労働をしています。もし、これらの時間外労働をしなかったらどうなるでしょう。たちまち、今日、明日の授業等に影響が出てきます。また、やらなかった仕事は、持ち帰り仕事になります。ここでしている仕事は、1審で述べられているような「自発的・創造的」な余地のある仕事ではありません。4月の職員会議で校長から校務分掌された仕事の一環で、休憩時間であろうが、残業であろうが、どうしても今日中にやっておかなければいけない仕事なのです。休憩時間に「勤務」せざるを得ない、膨大な仕事量があるというのが実態です。この状態は2002年度、2003年度も同じで、休憩時間にも校長から校務分掌された仕事をせざるを得なかった、すなわち「勤務」をしていたのです。休憩時間の取得ができない違法状態が、延々と続いているのです。

〈空き時間は勤務時間・年次休暇は権利〉
被控訴人らは、私たちが「休憩時間の取得ができていた」とする理由として「空き時間」があったことを挙げています。しかし、「空き時間」とは勤務の何も無い時間ではなく、授業がないというだけです。教員の仕事は授業だけでありませんから、授業がないから休憩できるなどと考えるのは、現場を知らない人の間違った主張です。また、被控訴人らは「年次休暇を取得することが少なくなかった」と言っていますが、年次休暇は権利として認められているもので、どんな理由で取るなどと申し出る必要もありません。心身を休めるために取ることもあれば、用事や看護など様々な理由があり、たとえ休憩時間が取得できていなくても休暇を取らなければいけないこともあるのです。年次休暇は、休憩とは全く次元の違うものであり、これもまた、苦し紛れの間違った主張です。

〈終わりに〉
私の勤務した竹の内小学校でも寿栄小学校でも休憩時間は、朝8時過ぎの勤務開始から6~7時間連続勤務をした後(児童が下校した後)に設定されています。この設定自体、本来の休憩時間の意義からは逸脱していますが、取得でるとできないでは、心身への負担はかなり違うと思います。私は、今までの積もり積もった疲労で、自分の健康状態にいつも不安を感じています。違法な「7年目の試行」を平然と実施する被控訴人高槻市教委、校長の無責任さには、強い怒りを持ちます。貴裁判所に対しては、私たちが「健康で働き続けられる」勤務条件が保障されるよう、労基法に則った正しい判断をお願いしたいと思います。


陳 述 書
控訴人 松 岡  勲

 控訴人の松岡です。私は高槻市立柳川中学校を2004年3月にの定年退職し、2006年3月まで高槻市立五領中学校で非常勤特別嘱託員をした後、現在は教職課程の非常勤講師として2校の私立大学で教えています。
 私は2002年、2003年当時の中学校現場で休憩時間が取れなかった実態と現在の教職員の勤務実態について文部科学省の調査で明らかになっている事実を述べ、併せて被控訴人である高槻市及び校長らが、教職員の休憩時間の保障を放棄してきた責任について述べたいと思います。

<生徒の昼休み時間に設定された休憩時間は取得不可能>
 私の勤務校であった高槻市立柳川中学校の休憩時間は、生徒の昼休みである午後0時45分から1時30分に設定されていました。この時間帯は生徒が在校しており、休憩時間を取ることは不可能です。高槻市内のほとんどの中学校の休憩時間は、昼休みに設定されており、休憩時間が取れない同様の実態が続いています。(甲8号証)また、柳川中学校の休憩時間取得実態は、「ほとんど取得できなかった(C)と全く取得できなかった(D)」の率を合わせると72.4%にものぼります。さらに明示した休憩時間を変更して休憩時間が取得できなかった率はC、D合わせると82.2%にもなります。被控訴人竹下柳川中学校長も「明示した休憩時間は取れていないという予想はあったが、実態はそれを超えるものであった。制度の抜本的な改善か、人的配置を施す以外に方法はない」(甲2号証)と高槻市教委へのアンケートで答えています。
 2002年度は、3年生の担任でしたが、週の3日ほどは教室で生徒たちと一緒に弁当を食べ、生徒の状態の把握とさまざまな対応に努めました。また、この年度には、小学校時より不登校だった生徒が相談室登校をしており、その生徒への対応を昼休みにし、高校進学へ向けての指導をするのが日課でしたし、さらに私の学級が原学級であった情緒障害児生徒等との対応も必要であり、めまぐるしい毎日でゆっくり休憩を取ることはできませんでした。2学期中頃よりは進路(進学)関係の事務作業等が連日続き、朝はコンビニでパンと缶コーヒーを買い、昼休みにはパンをかじりながら職員室で仕事をし続けるのが常態でした。昼休みには生徒と進路に関する二者面談をし、放課後に保護者と生徒との三者面談をするという連続で、特にこの時期には教室で食事も取れませんでした。
 2003年度は1年生担任でしたが、朝にクラスの様子をすばやく把握することから仕事が始まりました。クラスには友達関係がうまく取り結べない「高機能自閉症」の男子生徒がおり、しょっちゅう学級や学年の生徒とトラブルが起こりました。朝の段階で何か問題がおこっていないかを把握し、また、事前に母親から連絡があった場合は友達関係の調整のために話をする予定を立てました。この年度も週に3日ほど私は教室で昼食をとり、食事をしながら関係の生徒に手短に事情を聞き、昼食後に個別にそれぞれ話をしたり、放課後に本人と関係の生徒を集め、トラブルの解消のための話こみをして1年間が過ぎました。その他にも人間関係がうまくいかず、トラブルがよくある男子生徒、「茶髪」に関係しての生活指導の対応が必要な女子生徒などがおり、同様にきめ細かく休憩時間に対応してきました。職員室で食事を取っていても、いつトラブルが起こり、生徒が呼びに来るか、生徒が泣きながら飛びこんで来るか分かりませんので、落ち着いて食事をすることはできませんでした。実際に昼休みは生徒のトラブルが一番起こる「魔の時間帯」でした。また、昼食時間以外にも生徒の指導、生徒の相談事への対応、学年会議、教科会議、教員の打ち合わせ、班ノートの点検、教材準備等席の暖まる余裕のない2年間でした。
 そもそも生徒が学校にいる時間帯に教員が休憩時間を取ることは不可能なのです。教職員の休憩時間はまさに「手待ち時間」であり、労働時間です。高槻市内の中学校では、生徒の昼休みに休憩時間が設定されているのが多数なので、特にそうなのです。
 手待ち時間・・・「休憩時間とは単に作業に従事しない手待ち時間を含まず、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として取り扱うこと」(労働基準局、22.9.13基発17号)
 手待ち時間とは、現実に作業に従事はしていないが(学校の場合は作業に従事している時間が多いですが)、使用者から就労の要求があれば直ちに就労しうる態勢で待機している時間のことを言います。労働基準法の監督局が「手待ち時間=労働時間」と認定している基準は、生徒の昼休みを休憩時間と設定している高槻の中学校の実態とぴったり一致しています。このような実態にあえて目をつむり、休憩時間に生じた労働を「自主的・創造的労働」とした原判決は、「ただ働き」(=サービス残業)の奨励になっており、原判決に心底からの怒りを覚えます。裁判所がサービス残業を容認してよいものでしょうか。

<現在の教員の勤務実態は超過勤務と休憩時間の労働により成り立つ> 
 文部科学省が40年ぶりに行った教員の勤務実態調査結果は、朝日新聞2007年6月3日の特集記事によると、「公立小中学校の勤務時間は夏休みを除いた5ヶ月の平均で、1日10時間45分だった」「残業時間は40年前の5倍前後に増えた」、また、休憩・休息時間の取得状況については、「休息・休憩は8分」と報道しています。(甲100号証)休憩時間(45分)+休息時間(30)分=1時間15分中のたった「8分」です!同記事で、この調査の研究代表者である小川正人東京大学教育学部教授は「先生の長時間勤務なしには、学校経営が成り立たなくなっている。こんなに休息時間(*休憩時間の間違いと思われる)が少ないのは明らかに労働基準法違反の状態だ」と述べています。文部科学省ですら認定したこの休憩時間の実態を原判決はあえて無視したのです。 さらに文科省の実態調査によれば、「病気休職者数」は平成9(1997)年に4171人だったのが、平成18(2006)年には約7655人になっています。病気休職者数のうち「精神性疾患者数」も、1997年の約1609人から2006年には4675人となっています。そして、病気休職者数中の精神疾患者数の割合が教職員では特に多いことです。その割合は1997年では38.6%でしたが、2006年では61.1%にも増加しており、病気休職者数の過半数を優に越えています。(甲111号証)
 こうした実態の中で、労働の時間だけが延びているのでなく、その密度も極めて濃くなっています。ますます、労働条件の改善が必要になっています。休暇、休憩、休息、また、時間外労働の縮減は控訴人らの学校現場においては、まったくといっていいほど改善されていないことは、文科省も実態調査で認めるにいたっています。

<高槻市教委の服務監督権放棄・・いつまで試行なのか!>
 このような教職員の超過勤務実態、有名無実の休憩時間の実態を放置してきた被控訴人高槻市教委及び校長らの責任は重大です。私たちの所属している労働組合(学校労働者ネットワーク・高槻)の2008年度の予算要求に関する交渉での高槻市教委の要求書への回答は次の通りでした。(甲115号証)
(要求)2002年度の休憩時間試行以来、高槻市教委はなんら休憩時間取得実態改善の措置を取らず、休憩時間の取り組みは弛緩しているため、休憩時間中に会議を平然と入れる学校も出てきている。休憩時間の取り組みがどのような状態になれば、また、いつになれば本格実施できるのか答えられたい。もし、今年度も試行ならば、労働基準法に試行はないと考えるが、市教委の考えはいかがか。(中略)
 市教委は2002年度に休憩時間取得実態調査をして以来、実態調査は一切為さず、実態を把握できていない。また、休息時間については、いかなる調査も為されていない。休憩・休息時時間も含め、職員の勤務実態全体を明らかにするため、勤務実態調査を実施することは労働安全衛生法の一部改正の指示内容であると考えるので、早急に勤務実態調査を為されたい。また、実態調査の方法を検討するために組合と協議をされたい。
(回答)休憩・休息に関し、府費負担教職員については、府下統一して実施されるものが望ましいと認識している。平成18年7月10日付で、文部科学省から「教員勤務実態調査」について依頼があり、全国的な調査がなされましたので、市教委として現在のところ調査をする予定はない。
これは7年目も「試行」という回答です。「7年目の正直」という言葉がありますが、その逆です。7年目も「試行」って常識を疑います。このような無責任な回答を高槻市教委は2002年の「試行」以来し続けてきましたし、職員が休憩時間を取得できるための措置をなんら取ろうとしてきませんでした。被控訴人高槻市教委は服務監督責任を放棄していると断言できます。また、文部科学省の「勤務実態調査」があったから、「市教委として現在のところ調査をする予定はない。」といいますが、文科省の勤務実態調査には市教委は一切関与していませんから、なんの実態把握もした訳ではないのです。その上、試行初年度の休憩時間取得実態調査結果に恐れを為した高槻市教委はそれ以降一度も実態調査をしていません。従って、被控訴人校長らも、高槻市教委の服監督責任放棄の尻馬に乗り、休憩時間の明示以外になんら責任ある措置を取らず、休憩時間の保障を為していません。このような高槻市教委の服務監督責任放棄に対して、原判決は、「原告らは、高槻市教委が、平成15年度以降、休憩時間の取得に関する実態調査を行わず、また、休憩時間の試行を継続していることを論難するが、これらの事実は、その当否はさておき、以上の判断を左右する性質のものではない。」としました。そもそも裁判所は使用者に労働基準法を守らせてこそ社会的存在意義があるのです。原判決は使用者責任を不問に付すものであり、これでは弱者である教職員は救われません。このような社会的責任を放擲した原判決に対して、とても落胆しました。労働基準法では、休憩時間を職員に保障しなかった使用者は刑事罰に処せられるます。労基法は強行法規です。この労基法を遵守させ、7年目の「休憩時間試行」と嘯く高槻市教委の責任を明確にした、貴裁判所の厳正な判断を望むものです。

以上