学労ネット

教員の「心の病」過去最多(文科省発表)

2008年1月28日掲載

<昨年暮れに病気休職者数、精神疾患による休職者数の文科省調査結果(2006年度分)が発表されました。精神疾患による休職者数は過去最多で、学校現場の超過勤務実態やさまざまなストレスが相乗した深刻な学校現場の状況を反映しています。>

「平成18年度 教育職員に係る懲戒処分等の状況について」

上記資料のなかに以下の病気休職者数、精神性疾患による休職者数が掲載されています。

「表12 病気休職者数等の推移(平成9年度~平成18年度)」

なお、同日に各都道府県・指定都市教育委員会毎の懲戒処分基準の作成及び懲戒処分の公表に関する状況についても発表されています。

「懲戒処分に関する処分基準の作成及び懲戒処分の公表に関する取組状況について」

<以下、新聞記事のため転載禁止>

教員の「心の病」過去最多 公立校で4675人
(2007年12月28日 産経新聞)

 平成18年度に精神性疾患で病気休職した公立学校教職員は4675人で前年度より497人増加し、14年連続で過去最多を更新したことが28日、文部科学省のまとめで分かった。懲戒処分や訓告などの処分を受けた教職員も前年度比445人、10・9%増の4531人に上り、過去10年間で2番目に多かった。昨秋に発覚した未履修問題に絡む処分者490人が全体の数を押し上げた格好だ。

 同省が毎年行っている教職員の懲戒処分に関する調査で明らかになった。

 精神的疾患による病気休職は4連続で前年度比1割以上の伸びとなっており、病気休職者全体に占める割合も初めて6割を超えた。

 文科省では「生徒、保護者、教員間での人間関係や、勤務の多忙化など複雑な要因が絡んでいるのではないか」としている。

 未履修問題で処分を受けた490人のうち28人が懲戒処分となった。最も厳しいのは過去にも未履修があった広島県で校長ら2人の減給。処分者数が最も多かったのは、道立28高校で発覚した北海道の96人だった。

 文科省では「厳正な処分を求めた方針を踏まえ、地方の現場が対応をとった」としている。

 処分者(当事者責任のみ)4531人のうち、セクシュアルハラスメントを含めたわいせつ行為は190人で前年度比48人増。過去10年では15年度の196人に次いで多く、再犯者が7人いた。処分者は40歳代が最も多く43%、対象は自校の生徒が42%を占めた。内容は「体に触る」が3割で最も多かった。

 そのほか、交通事故2390人▽未履修490人▽体罰424人▽国旗掲揚、国歌斉唱の取り扱い98人▽公費の不正執行や手当の不正受給25人▽争議行為17人-など。

 これとは別に監督責任を問われた校長や教頭らは1093人で、処分者数は計5624人。このうち懲戒処分は、監督責任を問われた205人を含め1364人だった。

公立教員、心の病10年で3倍 200人に1人、4675人が休職
(2007年12月29日 読売新聞)

 うつ病などの精神性疾患で昨年度中に休職した全国の公立小中高校などの教員は、前年度比497人増の4675人に上り、過去最悪を記録したことが、文部科学省のまとめでわかった。

 10年前の1996年度(1385人)に比べると3・3倍という急増ぶりで、今回初めて、病気休職者全体の6割を超えた。

 文科省は原因として、教師が多忙になっていることに加え、保護者の理不尽な要求で、ストレスを抱える教員が多いことなどを挙げている。

 昨年度1年間に病気で休職したのは、全教員の0・83%にあたる7655人。精神性疾患による休職者も全教員の0・51%で、200人に1人以上が心の病で学校を離れた計算になる。

 心の病で休職する教師は92年度の1111人から14年連続で増加しており、特に2003年度からは毎年400~600人ペースで増え続けている。文科省は「年齢別の統計はない」としながらも、〈1〉職場の人間関係などになじめない新人教員〈2〉私生活や自分の健康に問題が出る40~50歳代――などが悩みを抱えやすいと分析している。 一方、昨年度にわいせつ行為やセクハラで懲戒処分を受けた教員は、前年度比46人増の170人だった。

教員の「心の病」急増=精神疾患の休職最多に-履修漏れ処分490人・文科省調査
(2007年12月28日 時事通信)

 うつ病などの精神性疾患で2006年度中に病気休職した公立学校教員が、4675人と過去最多を更新したことが28日、文部科学省の調査で分かった。前年度より497人増え、10年前の約3.4倍に達した。保護者や子どもとの関係で悩みが高じたケースなどが多いとみられる。
 同省が毎年度実施している教員の懲戒処分に関する調査のうち、適格性を理由とした「分限処分」を受けたケースをまとめた。
 精神性疾患による休職者数の増加は14年連続。特に過去4年間はいずれも、対前年度で1割以上の伸びを示し、病気休職者全体(7655人)に占める割合も初めて6割を超えた。
 各教育委員会に原因を聞いたところ、保護者や児童生徒との人間関係の悩み、多忙によるストレスなどが原因との回答が多数を占めた。各教委はメンタルヘルスの研修を充実させたり、復職支援のためのプログラム策定などに取り組んでいるという。
 一方、今回の調査では、全国の公立学校教員約91万7000人のうち、懲戒や訓告、諭旨免職などの処分者が4531人となったことも明らかになった。
 この中で490人は06年末、全国規模で発覚した高校必修科目の履修漏れが原因。大半は校長、教頭などの管理責任で、最も厳しかったのは減給処分。過去にも履修漏れがあった兵庫、広島両県で12人に上った。

教職員の病気休職 61%が精神疾患 14年連続で増加
(2007年12月29日 東京新聞)

 二〇〇六年度に病気で休職した公立の小中高校などの教職員は、前年度より六百三十八人増えて七千六百五十五人に上り、このうち、うつ病など精神性疾患による休職は61%を占める四千六百七十五人(前年度比四百九十七人増)だったことが二十八日、文部科学省の調査で分かった。いずれも過去最多を更新した。

 十四年連続の増加となり、歯止めがかかっていない精神性疾患による休職について、文科省は「仕事の多忙化、複雑化に加え、保護者や同僚らとの人間関係など職場環境が厳しくなっていることが背景にあり、対策を急ぎたい」としている。

 〇六年度に懲戒処分や訓告など何らかの処分を受けた教職員は、高校必修科目の未履修問題による処分者が四百九十人いたことから、前年度比四百四十五人増の四千五百三十一人。懲戒処分は同九十六人減の千百五十九人だった。わいせつ行為などによる処分は懲戒処分百七十人を含む計百九十人で、前年度比四十八人増。四十歳代が八十二人で最多だった。多くは勤務時間外の行為だったが、授業中に教え子の体を触るなどしたケースも八件あった。

 体罰での処分は四百二十四人。秋田県の高校で生徒を棒で殴って打撲傷を負わせたり、沖縄県の中学校で生徒をけって骨折させたりするなど十七人が停職処分となった。

 日の丸掲揚・君が代斉唱反対に絡む処分は前年度比三十一人増の九十八人。東京都が最多の四十一人、新潟県三十五人、広島県十七人と続いた。

 教職員の懲戒処分については都道府県、政令市の計六十四教育委員会のうち準備中の北九州市を除く教委が何らかの基準を作成していた。