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休憩時間訴訟 第13回口頭弁論報告

2007年1月18日掲載

 1月15日の第13回休憩時間訴訟口頭弁論は、原告の病気で一部反対尋問延期というこれまでの訴訟中最大のピンチを抱え、新年あけの新学期という出にくい時期にも関わらず十数名の傍聴者の支援に支えられ行われました。
 最初の大門大阪府教委教職員課長補佐への反対尋問は、被告が提出した書証の「休憩時間自由利用の制限の判例」は「文書配布(ビラまき)等の政治活動の制限」であり、「府費負担教職員の場合も自由利用の要件は満たさなければならない」と反証しました。さらに、「休憩時間の一斉付与の除外と分割」は「例外=原則」となっており、「労基法違反」にあたると追及しました。これに対して、大門証人は「休憩時間確保のための措置」と言うだけで充分な反論はありませんでした。
 また、大阪府教委の休憩・休息時間実態調査、高槻及び吹田市の休憩時間実態調査、文部科学省の勤務実態調査(06年7月分結果)をあげ、休憩時間が取得できていない実態を示しましたが、大門課長補佐は「大阪府教委は服務監督者でないので、充分把握していない」と逃げるだけでした。府教委の実態調査に回答しなかった「2教委中1教委は高槻市教委」であることも答えさせ、回答しなっかた高槻市教委は「裁判で係争中」を理由にしたことも明らかにさせ、高槻市教委を証人尋問する必要性を浮かびあがらせました。

 大阪府教委の地教委に対する指導が「周知・啓蒙活動」のみとしているおかしさについても「実態把握なくして周知・啓蒙活動はない」と追及しました。府教委の「休憩・休息時間確保に向けての運用についてのプログラム」でその完全実施の時期を2005年度(平成17年度)としているにも関わらず、高槻市教委は現在も「試行中」であること、それに対して府教委は「何も指導していない」ことも明らかにさせ、ここでも高槻市教委を証人尋問する必要性を裁判所に示すことができました。
 尋問時間が30分という時間の制約上、「給特法」を盾に「休憩時間に勤務が発生した事態への給与措置は考えていない」という大門課長の返答にさらなる突っ込みをできなかったことを残念に思いますが、予定した尋問をまずまずの出来で遂行できたと思います。
 続けて竹下元柳川中学校長への反対尋問は、「高槻市準備書面(1)」での「原告松岡以外の教員は、これらの事務を勤務時間内に休憩時間を使わないで処理している」という記述について、「これはその通りですね」と尋問すると、予想通り「その通りです」と竹下被告は答え、竹下証人の実態に反する証言が浮き彫りになった。ここから俄然好調に尋問が進み、柳川中学校の休憩時間実態調査、校長のコメント、文部科学省の実態調査(7月分)の「休憩・休息 平均9分」などの実態等を突きつけていきました。そして、被告が管理職として休憩時間が取得できるようになんら努力をしなかったことが明らかなりました。(後段の校長尋問になって「裁判長の顔が暗くなった」とは傍聴者の観察である。)
 山口元大冠小学校長の尋問は被告側の主尋問のみになり、「いずれ反対尋問でこてんぱんにやってやるぞ」と聞き流しましたが、その後、今後の審理の方向について、延期になった反対尋問は「他の原告でやってもらっていい」との裁判長の判断が出て、代理人を立てなくてよくなり「ほっとした」。最後に被告高槻市の証人採用を強く裁判長に訴えて終わり、難関の今回尋問をクリアーできました。その後の交流会で今後の方向について傍聴者の貴重な意見を聞かせていただき、次回に尋問への原告の決意を固めました。(松岡)