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文部科学省の勤務実態調査速報値(7、8月分)が出る

2006年11月25日掲載

 文部科学省が実施(7月~12月まで)している教員の勤務実態調査の2006年7、8月分の結果が出された。それによると「小学校では平均勤務時間は10時間37分、平均残業時間は1時間47分。残業とは別に、テストの採点など自宅での業務時間は53分。中学校では平均勤務時間が11時間16分、平均残業時間は2時間26分、自宅の業務時間は27分」だった。(読売新聞)また、休憩時間については、「1日に45分設けられている休憩時間のうち、平均9分しか使っていなかった」(小学校)実態はこれ以上だと思うが、厳しい勤務実態が浮き彫りになっている。最終結果がどうなるか興味深いところだ。なお、この実態調査から教員の給与削減の方向を決めると文科省はいうが、どんなことを考えているのだろうか。(一作)<以下、新聞記事のため転載禁止>

教員の残業、1日平均2時間 文科省が勤務実態調査
(朝日新聞 2006年11月25日01時07分)

 教員給与制度の見直しを進めている文部科学省は24日、40年ぶりに実施した教員の勤務実態調査の暫定的な集計結果を発表した。7月の1日平均の残業時間は、調査対象になった公立小中学校の教員の平均で2時間8分だった。教員の「時間外手当」については現行は一律支給だが、実態調査を踏まえこれをやめるかどうかが焦点となる。

 集計結果は、この日開かれた中央教育審議会の作業部会で示された。7月分と8月分について、無作為抽出された170校前後の延べ約1万5000人から回答を得た。

 7月分でみると、小学校教員の残業時間は平均で1時間48分、中学校は2時間25分。中学校は部活指導の影響が大きいとみられる。

 週あたりに換算すると、小学校は9時間、中学校は12時間5分。単純比較は難しいものの、66年の調査では7月の最も多い週で小学校が5時間強、中学校が8時間強となっており、大幅な増加と言えそうだ。

 また、集計には含まれていないが、テストの採点など自宅持ち帰り分は平日で小学校が47分、中学校が25分で、実際の「残業」はさらに増えるとみられる。

 教員の「時間外手当」については、「教職調整額」(基本給の4%)が毎月、校長、教頭を除く全員に一律支給されている。文科省は、この一律支給の見直しを含め、教員の能力や業績に応じてメリハリのある処遇をする方針を固めている。

小中学校の先生の残業、平均は2時間8分…文科省調査
(2006年11月24日23時20分 読売新聞)

 文部科学省は24日、公立小中学校の教員を対象に行った勤務実態調査の結果を、中央教育審議会の作業部会で公表した。

 教員一人の平日の勤務時間は平均10時間58分、平均残業時間は2時間8分だった。今回の調査は、政府が昨年に打ち出した公務員の人件費削減方針に伴って実施されたもの。中教審は今後、一般の公務員より高めに設定されている教員の給与水準が妥当かどうかの検討を進める。

 教員の基本給は、優れた人材を確保する目的などから、一般の公務員より高めで、残業手当はないものの、基本給の4%にあたる金額が毎月「教職調整額」として一律に支給される。これらを合わせた給与は、大学卒の42歳平均で毎月約41万円で、一般公務員より約2・7%高い。

 今回の調査は、全国延べ約5万人の教員の今年7~12月の勤務実態を調べ、この日は7、8月分が暫定結果として公表された。

 それによると、小学校では、平均勤務時間は10時間37分、平均残業時間は1時間47分。また、1日に45分設けられている休憩時間のうち、平均9分しか使っていなかった。残業とは別に、テストの採点など自宅での業務時間は53分だった。

 中学校では平均勤務時間が11時間16分、平均残業時間は2時間26分、自宅の業務時間は27分だった。夏休み期間の8月は、小中学校とも平日に毎日平均8時間以上勤務していた。

 個人別に見ると、平均残業時間が7時間42分(中学校)に及ぶ教員がいる一方で、ゼロの教員も2、3%いるなど、個人差が著しいこともわかった。

 このため、この日の作業部会では、「教職調整額を一律に支払うのではなく、残業時間に応じて変えるべき」などの意見が出た。

公立小中の教員 勤務時間は平均1日11時間
(産経新聞 2006年11月24日21:24)

 教職員給与を見直すために文部科学省が実施している公立小中学校教員の勤務実態調査の7、8月分の集計結果が24日、まとまった。7月は夏休み前のため、年間を通じてみても“繁忙期”にあたる。先生たちの残業の実態は…。

 調査は7-8月、無作為に抽出された全国の公立小中学校計671校の計約1万5000人の校長、教頭、教員、常勤講師らを対象に実施。中央教育審議会(中教審)の教職員給与に関する作業部会で結果が示された。

 調査結果によると、7月の1日の平均勤務時間は小学校が10時間37分、中学が11時間16分で、小中平均は10時間58分。学期末のため、小中ともに成績処理に費やした時間が1時間強を占めた。

 1日の平均残業時間は小学校が1時間48分、中学は2時間25分で、小中平均は2時間8分。残業時間で最も多い時間帯は小学校が「1時間~1時間半以下」(19・0%)、中学で「2時間~2時間半以下」(15・3%)だった。持ち帰って自宅で仕事した時間は小中平均で、35分(休日を除く)あった。

 小学校に比べて、中学のほうが勤務時間が長いのは部活動の顧問を務めていることが影響しているため。特に運動部系の顧問の残業は平均2時間41分で、文化部系の顧問の2時間5分や、顧問をしていない教員の1時間31分を上回っている。

 教員の「職種」別では、教頭や副校長の残業時間が平均3時間18分で、教員(同2時間8分)や校長(同1時間45分)に比べて圧倒的に長かった。

 8月は夏休みのため勤務・残業時間ともに大幅に減っている。

 7月分から始まった月ごとの勤務・残業時間の調査は今後、12月まで実施。中教審で各月の結果を踏まえ、今年度内に給与見直しの結論を出す方針だ。