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教員給与削減の2つの方向

2006年7月15日掲載

 7月から国家公務員の休息時間制度が廃止された。「公務員と民間の格差是正」が理由だという。逆に休息時間制度を民間に波及させてこそ意義があったのに。今後、地方公務員の休息時間制度廃止の動きが出てくる。新聞報道によると、これまで地方公務員が獲得していた「時短」が問題になり、拘束時間が増えると思われる。
 個人的な思いから言うと、2度にわたって休憩・休息時間について措置要求をし、(大阪府と宮崎県の県費負担教職員だけになかった休息時間制度を)2003年度から大阪府において、府費負担教職員に休息時間制度を導入させた経緯があり、せっかく導入された制度が実質化されないまま消えてしまうことはまことに残念である。(一作)

公務員の有給休息時間30分を廃止

 人事院は(3月)2日、国家公務員に1日当たり計30分与えられている有給の休息時間を、7月1日から廃止することを決めた。勤務時間は実質的に30分延びるが、役所の窓口業務の時間は当面変わらない見通しだ。

 有給の休息時間制度は、働かなくても給与がもらえる形。民間企業ではこうした制度はほとんどなく「公務員の厚遇」との批判を受け人事院は、労使交渉を経て廃止とした。人事院規則を3日に改正する。

 同様な制度を持つ地方公務員には、終業直前に休息時間を設け早く帰れるようにしている不適切なケースもある。総務省は近く自治体にも、休息時間の廃止を求める通知を出す方針だ。

 公務員には国、地方とも49年から順次、無給の「休憩」に加え、有給の「休息」が勤務4時間ごとに15分認められてきた。

 国の場合、8時間勤務のときは、休憩30分の前後に休息15分ずつを足し、計60分の昼休みを取っていた。今後は昼休みはすべて無給に変更する。勤務に算入されていた休息時間がなくなる分、いわゆる「職場拘束時間」は30分延びることになる。

 一方、総務省によると、地方公務員は、無給の休憩45分に休息15分を合わせて昼休みを取り、午後3時などにもう一度15分の休息を設けている自治体が多かった。休息の廃止で「拘束時間」は15分延びることになる。

 休息時間を使って遅く来たり早く帰る不適切なケースがある自治体は、同省によると04年4月時点で全体の23%に上っていた。
[2006/3/2/19:41]日刊スポーツ

8時間勤務、府・堺のみ  国並みか時短か
市町村 休息時間廃止に迷い
労 組 「時流に逆行」と反発
(毎日新聞大阪本社版 06・6・6朝刊)

国家公務員や全国のほとんどの自治体で8時間勤務を実施している中、府内で8時間勤務は府と堺市のみで、そのほかの市町村は8時間未満だ。国家公務員などの「勤務時間」には、給与が支払われる「休息時間」も含まれているため、一部の自治体では「8時間に満たなくても実質的な勤務時間は同じ」と説明してきた。しかし、7月から国家公務員の「休息時間」制度が廃止され、地方公務員にも制度廃止が求められているため見直しが急務となっている。労働時間の延長には抵抗があるものの、ほかの自治体との「実労働時間」に差を生じさせたくないという思いもからみ、担当者は頭を悩ませている。(歌野清一郎)

 総務省によると、昨年4月時点で、全国の都道府県、市町村のうち8時間勤務を実施している団体は82・8%にのぼる。多くの自治体では、無給の休憩時間とは別に給与の支払われる「休息時間」が計30分含まれている。「休息時間」は職場によって差があるものの、自席での待機が原則で、窓口対応など業務を優先させているのが現状だという。

 府市町村課などの調べでは、8時間勤務を実施している府と堺市が休息時間を計30分認めているほか、38市町村が休息時間を15分認め、勤務時間7時間45分としている。

 休息時間を設けていないのは4市で、今春勤務時間を15分延長して7時間45分とした大阪狭山市以外の吹田、高石、岸和田の各市の勤務時間は全国でも最短の7時間30分だ。

 枚方市では02年に15分の休息時間を導入することで勤務時間を7時間30分から15分延長した。今回の休息制度廃止に伴い、休息時間を10月から廃止することで組合側の合意を取り付け、6月定例議会に提案する。だが、市側が打診した8時間勤務は組合側が折れず、今後の協議事項として積み残された。

 市職員労働組合の幹部は「休息時間は所属部署によって取得に差が出るうえ国の動きもあって廃止はやむを得ないが、労働時間延長は国際的な時短の流れに逆行する。市職員の待遇が民間企業の労働条件にも影響を及ぼしかねない」と主張する。

 勤務時間を7時間30分としてきた吹田市の人事課の担当者は「これまでは休息時間の15分を除いた実労働時間で府内の多くの市町村と変わらないと説明できた。だが、他の自治体で休息時間の廃止が進めば、実労働時間に差が生じてしまい、見直しも検討しなければならなくなる」と打ち明ける。

 府市町村課の担当者は「政令都市になった堺市以外に8時間勤務を先行して実施する自治体が一つでも出てくれば、見直しの機運は高まるのだろうが…」と話している。

休憩・休息時間に関する見直しについて

平成18年3月2日
職 員 福 祉 局

 国家公務員の勤務時間制度においては、昭和24年以来、職員の休憩・リフレッシュについて、休憩時間(無給)及び休息時間(有給)の制度が設けられてきたが、民間企業の通常の勤務形態の従業員では、休息時間(有給)に相当する制度はほとんど普及していないこと等を考慮して、今般、休息時間を廃止し、休憩時間で一本化するための改正を行うこととした。
 今回の措置のポイントは次のとおりであり、これらの措置のために、人事院規則15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇)の一部を改正する人事院規則を3月3日に公布することとしている。
 
1 休息時間は廃止する。

2 8時間勤務の場合の休憩時間は、60分を基本とする。ただし、業務の運営、職員の健康・福祉を考慮して必要と認める場合は、45分とする。
※  具体的には、各職場における業務の実態、昼休み時間等を総合的に勘案して判断

3 原則にしたがうと能率を損ね職員の健康・福祉に重大な影響を及ぼす場合には、休憩時間について特例を定めることができる。
<特例として想定している内容>
 小学校就学前の子の育児又は学童保育の児童の託児のために必要があると認められる職員、要介護者を介護する職員等について、職員から申出があった場合で公務の運営に支障がないと認められるときは、休憩時間を30分とすることができる。
 なお、こうした職員のうちこれまで時差通勤のため休憩時間を15分とされていた職員で、育児等の必要があり、公務運営に支障がないと認められるものの休憩・休息時間については、施行日から3か月間は、なお従前の例によるものとする。

4 交替制勤務職員等については、当分の間、なお従前の例によるものとする。
 これについては、民間事業所における動向を把握しつつ検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。

5 所要の準備を行った上、平成18年7月1日から施行する。

                                  以   上