学校から

2学期制推進委員会委員長が「採択教科書」(公民)の編集者!

2005年10月28日掲載

 今回の教科書採択で採択された公民教科書。なんとその編集陣に2学期制推進委員会委員長が入っていた。これは何かあったな!と思うのが世間の常識。火のないところに煙はたたない!今回の教科書採択過程を振り返ってみた。

<現場教員の意見を軽視する制度改悪>
 前回の採択で採択制度の改悪があった。選定委員から「学校代表」をなくした(校長代表4名に変更)。学校意見書の制度は残ったが「学校意見書」の取り扱いが軽視されるようになった。
 前回から調査委員に教頭と教育委員会事務局が入り、調査に一定の誘導が為されるようになった。調査委員の委嘱については前回までは市教育研究会教科部会の推薦の上なされたが、昨年の小学校教科書採択よりこれがなくなり、「校長推薦」となった。調査委員が誰かも秘密となった。
 前回から市教育研究会教科部会の意見が取り入れられなくなった。それまでは調査委員が最終報告をまとめる前に教科部会の意向を聞き、報告内容の変更をしてきた。総じて学校現場(教科担当者)の意見が軽視されることになった。

<密室審議の徹底>
 前回より調査委員会、選定委員会、採択の教育委員会も会議非公開、文書非公開であり、今年は採択決定後の9月に情報公開解禁となり、採択期間の情報提供は選定委員、調査委員名簿、採択日程も墨塗りだった(採択日程は日時のみ公開、会場は非公開、採択の教育委員会は日時さえ非公開)。総じて密室審議が徹底された。

<「情実による選定」>
 調査委員会及び選定委員会での「2社絞り込み」で扶桑社教科書は入らなかったが、前回は教育委員会の「政治的判断による選定」で東京書籍(歴史・公民)、今回は「情実による選定」で日本文教出版(公民)が採択された。
 今回公民で採択された「日本文教出版」は、今まで候補にも採択にもなったことのない教科書であった。全く唐突な採択である。なんと「日本文教出版」歴史・公民教科書の編集陣には、高槻市教委・2学期制推進委員会委員長の野口克海氏(園田学園女子大学教授)が入っていたのである。後日この問題が、高槻市議会で追及されると、教育長は「今はじめて、この教科書の著者が推進委員長であることを知りました。うかつであったと思う。」と回答せざるを得なかった。
 以上から、もしトップ(市長)が変われば、教科書採択で扶桑社教科書が採択されることもあり得る、極めて危険な採択であったと考えられる。

<資料>9月市議会一般質問から
(森田市議)
 この野口(*2学期制推進委員会委員長)さんは、日本文教出版と深く関係を持っており、歴史教科書も編集・執筆されておられるだけではなく、何冊かこの出版社から本を出されていることを教育委員会は知らなかったのか?もし、そうであるならば、これは野口さんにも失礼な話ではないか。教育委員会議事録では、この公民教科書を8社の中から選定し、選定委員会の選定した大阪書籍と日本文教出版の2社から採択したのは教育長である。
 もし、このことを知っていたらならば、市民との関係であまりに緊張感を欠如している。これは教科書採択での不透明性からくることである。また、知らなかったということであれば、各教育委員自身が、本当に各教科書に対して真剣に立ち向かったかどうかと問われることなのだ。教育長自身いったどうであったのか?答弁を。
(教育長答弁)
 教科書の採択は、あくまでもその中身に関して十分に検討を行った結果で採択を行ってきました。今はじめて、この教科書の著者が推進委員長であることを知りました。うかつであったと思う。