読者から

心のノートガラガラポン編集の方々へ

2005年9月28日掲載

新田 晴男
興味深く、HPを覗かせていただいております。心のノ-トの批判の箇所や、教育改革の名の下で行われる改悪への手口など、職員室でも「正論」という名の殺し文句が踊っていて、どうやら無批判というより、教師自らが進んでそれに手を貸しているかのようで、従来の組合的な批判では、その状態を乗り越えられるとも思われず、憂慮しています。
そのような状況下で知った、このHPですが、共感することが多く、その存在を知るのが少し遅すぎた(すでに退職してしまったのです)と感じる事もありました。それほど、このHPで書かれている内容には、賛成することが多いのです。「物言えば唇寒し秋の風(芭蕉)」とは、人の短所を言った後は淋しいというのが原意なのですが、「物言えば禍を招く」というような状況下に、私がいたためにどうにも我慢できず、退職してしまったのです・・・。
という話しはさておき、とうとう河合さんに対する批判が掲載されたこと、何とか、研究者あるいは専門家がとりあげて総合的な批判をしないのかと思っていたのですが、林さんのが掲載されていて、非常に興味深く読ませてもらいました。ユングとナチスの関係については、小俣さんという精神医学者が講談社新書等で書かれていたので、読んではいたのですが、河合さん自身をとりあげて、真っ向から批判した論文は余り目にすることなく、彼の政治力におそれをなしてか・・・と本当に残念に思っていました。あれだけの数の出版物を全部目を通して、口述筆記の論文なども多々あり、カウンセリング批判(小沢さんや社会臨床学会の方々)以上のものがでないかと、本当に願っていました。その取っかかりとして、林さんのこの論文は優れ、政治主義的な部分だけにとどまらず、理論的な批判の見通しもあり、私にとってもとても有益でした、ありがとうございます。書かれた林さんも、そして掲載して下さった学労ネットの方々に感謝致します。
なお、文中に、日本ユング協会の会長名として「林直道」があげられていますが、「林道義」だと思いますので、訂正方宜しくお願いします。多分、マルクス経済学者の林直道との混同かとも思います。優れた論文ゆえ、私の周囲の方々に研究資料として学びたいと思います。私自身の不勉強ゆえまたつまらぬ質問等をするやも知れませんがこれからも、お付き合い宜しくお願いいたします。

(付記)最近、河合さんの著書を読み返していくにつれ、彼のあげるクライエントの秘密、まるで自分の手柄のように、カウンセラ-の守秘義務などなんのそのとうとうと語るその語り口に何か違和感を感じることがあり、読者はクライエントのことが事実かどうか確かめる術も無く、ある夜、ふと彼の著書に登場するその例が・・・本当か!・・と考え始めると、怖いものを感じる日々です。そのように考えるのが、私だけなのか、一介の中学教師あがりの私にはそれを追求する方法も思いつかず、また思い過ごしかなとも考えるのですが、私の違和感が違和感にとどまらず、事実だとすれば大変なことではないかと、背筋を寒くすることもありますが、如何でしょうか。またまた、現実ではなく、カウンセラ-やクライエントの「心的事実」と誤魔化されそうですが、三百代言のようなカウンセラ-(臨床心理士)の講義を、退職後の大学の教室で、多々聞き、そこでも同様のことを感じました。
私は退職してしまい、十分な支援は出来ませんが、あなた方の運動(在職中は知らなかった)をに対する関心を忘れず、党派的なものの言い方に慣れすぎていた自らの姿勢を反省することを通して、何らかのアクションを起こしたいと思っています。全くひとりですが・・・・。