┌─ 9 4 年 度 方 針 の 1────────────────────┐ │ │ │ 学童保育の中身づくりの充実 │ │ │ └─────────────────────────────────────┘ 学童保育は「子守り」か「生活と発達の保障」か ・・・中味が問われる時代  私たちが学童保育を作り、求めながら努力してきた中身は、学校と家庭の狭間を埋 める「子守り」ではありません。指導員の『とらえる』『働きかける』『つたえる』 という仕事を通して、子どもたちの放課後の生活と発達の保障していくこと、また、 そのことを通して特に母親が働くことを保障していくことが、学童保育の原点であり、 役割だとしてきました。  91年から始まった公立の育成室の生活づくりは、一言でいえば「子守り」に押し 込められていく危険をはらんでいます。それは、児童象整併設での独自の保育活動が 規制をされていたり専任指導員は1名しかいない事、また、独立館でも指導員の親と がしっかりとした提携を図っていく事が尊重されなかったり、指導員は時給800円 の臨時職員で安定しないという現実から危惧される事です。  今、大宮の学童保育の「公立化」の中で問われているのは、放課後の留守家庭の子 どもたちにどういう「生活」を保障していくのか、その中身です。 ┌─────────────────────────────────────┐ │ │ │子 ど も た ち を め ぐ る 状 況 と 学 童 保 育 の 役 割│ └─────────────────────────────────────┘  学童保育の中味づくりをより充実させていくために、簡単に子どもたちの状況と、 そのなかでの学童保育の生活づくりや子育ての取組の課題を考えてみましょう。 ● 子 ど も た ち を 励 ま し 、 育 て よ う ひ と り で 生 き る 力 、 み ん な で 生 き る 力  大人のまじめな努力の中で、のびのびと育っている子どもたちは健在です。しかし 現状は、生活の中から、ホッとできる大人との関係、子ども同士の関係が奪われ、生 活体験が奪われ、追い立てられるような生活の中で、過度のストレスを抱え込まされ ている子どもが増えてきているのではないでしょうか。  私たちは8年前に、市連協として『子どもたちを励まし、育てよう−−ひとりで生 きる力、みんなで生きる力−−』を掲げていました。子どもたちの生きる力を総体と してとらえて、どう育むのか論議を深め、ひとりで自立して生きていく為の生活の力、 基礎学力を育むこと、人との関わりの中で育っていくための自律や共感する力、仲間 と力を合わせる事などを、一人ひとりの子どもたちに育てていきたいものです。 ● 子 ど も の 喜 び に 共 感 し な が ら 関 わ る  では、さまざまな背景を抱えた子どもたちの実態に、私たちはどう迫っていけばい いのでしょうか。親は毎日の忙しい生活のなかで我が子の弱点だけに目が行きがちで あり、また、保育現場の中で指導員は「手のかかる子」として捉えがちです。しかし、 子どもたちだけの側に原因を押しつけても何も変わらないということが、保育実践や 父母と指導員の子育ての話し合いから確かめられていることです。  私たちは「一人ひとりの子どもの抱えている課題」と同時に「困難を抱え込まされ ている子ども」としてとらえ、その子どもの抱える困難や、成長のためにもがいてい る姿に共感しながら心を寄せて、その子の抱える課題に関わっていくことが大事だと とらえてきました。  子どもには、親や指導員の大人の見せかけや、ごまかしや、同情では伝わりません。 「子どもの権利条約」の精神でもある、こどもを人間としてしっかり尊重しながら、 じっくりと関わる事が必要です。子どもが自分自身の課題を乗り越えていくためには、 失敗しても戻れるような安心できる親子関係、安心できる学童保育の指導員との関係 や仲間関係が必要です。押しつけにならないように、子どもたち自身の中にある「成 長する力」を、励ましていきたいものです。 ● 手 を つ な ご う 子 育 て  この事をすすめるためには、子どもと親との長い関わりを必要とします。「学習生 活」や「遊び生活」という子どもの生活の一部だけを見ているだけでは関われません。  私たち、親と学童保育の指導員は、「子どもたちの生活すべて」に関わる立場にい るからこそ、子どもたちに迫っていけるのではないでしょうか。そのことに父母と指 導員が手をつないで取り組んでいけるところにこそ、現在の子育て混迷の時代の中で の学童保育の価値があります。  「学習生活」を中心に関わる学校、「遊び生活」を中心に見る児童センターなどの なかでも、子どもをまるごととらえていく必要が語られ、追求はされてきていますが、 個人の努力に任されているのが現実です。  学童保育では、父母と指導員が手を携えて子どもの生活にまるごと関わっていく実 践が系統的に追求されていますが、まだ途上にあります。子どもたちの全生活を見通 して、父母と指導員が手をつないでいく学童保育の実践は『教育』の原点を示すもの であり、本当に輝く時に、学校、保育園、地域教育に大きな影響を与えうるものでは ないでしょうか。 『手をつなごう子育て−親・指導員・教師、そして地域…』 という私たちのスローガンは、子どもたちの幸せを願う人ならば誰でもが一致できる ものです。  我が子を語り、悩みながらの子育てを語り、その中から、学童保育の中味を充実し ていく取り組みを、公立も民間も一番大事にして取り組んでいきたいと思います。 具 体 的 な 取 り 組 み 1 . 保 育 内 容 の 充 実 子どもたちが毎日学童保育に通い続けてくれなければ安心して働けません。  父母と指導員がそれぞれの子育ての願いを出しあい、子どもを育てるところでの信 頼関係を築きあげながら、一緒に学童保育の保育内容を作りあげていくことは、私達 が最も大事にしてきたことです。 ┌─────────────────────────────────────┐ │ │ │すべての学童保育の会で、父母と指導員がしっかりとした信頼関係を結びあい、 │ │ │ │“どの子も育つ、豊かな生活づくり”をすすめましょう。 │ └─────────────────────────────────────┘ 1. 指 導 員 と し て 1.父母の労働実態に心を寄せて、子育てへの願いや要求を受け止めていきます。 2.連絡帳、学童保育だより、定例会などで、子どもの生活の実態や指導員としての 子どもへの関わりを伝えていくことを、特別に大切にしていきます。 2. 父 母 と し て 1.子どもの学童保育での生活に関心をはらい、通い続ける事を励ましましょう。 2.子育てへの願いや要求を指導員にしっかり伝え、指導員を励ましましょう。 2 . 父 母 会 活 動 の 充 実 公立の父母と指導員の会は 1. 父母・指導員がそれぞれの条件を生かしながら、子どもたちのよりよい成長を めざして、学びながら子育てをしていく場。 2. 保育内容向上への条件整備の改善・改良していく運動の母体となる場 民間の学童保育の会は、それに加えて 3. 行政に学童保育の公的責任を促しながら、父母・指導員が知恵と力を出しあっ て共同で運営の責任を持っていく場です。  『子育ての話し合いを中心に』ということが、定着してきていますが、定例会への 父母の参加の少なさも多くの学童保育の悩みとなっています。また、公立の父母会の 活動はまだまだ軌道に乗っているとは言えません。子どもたちのために、みんなが知 恵と力を出し合える場へと、父母会活動を活性化させていきましょう。 ┌────────────────────────────────────┐ │ │ │定例会にみんなが参加し、充分な子育ての話し合いができるよう工夫・努力し、│ │ │ │みんなでつくる会の活動を前進させましょう。 │ └────────────────────────────────────┘ 子 育 て の 話 し 合 い の 充 実 の た め に 1. 指導員は、子どもたちの生活の実態と抱えている課題、どのような点に力点を おいて指導と援助をしているかをすべての父母がわかるようにし、父母・指導 員が共同でとりくむべき課題を具体的に提起できる力をつけていきます。 2. 父母は、ひとりで子育ては出来ないという立場で、父母一人ひとりが抱えてい る悩みを出しあい、みんなで考えあえるような話し合いをすすめます。 み ん な の 力 で 運 営 す る た め に 1. 運営委員会(役員会)を確立し、子育てを中心とした会運営の基本方向を検討 し全員の力で知恵を寄せ合い、会の運営を進めていきます。 3. 地 域 と の 関 わ り 留守家庭の子どもたちに生き生きとした放課後を保障していく私たちの取り組みは、 すべての子どもたちが大切にされるまちづくり一環として位置付けられるものです。 ┌─────────────────────────────────────┐ │ │ │学校の教師との提携を強めましょう │ └─────────────────────────────────────┘ 学童保育に通う子どもたちの担任の教師と話し合いを深め、学校ー学童保育ー家庭 での子どもたちの生活を立体的・連続的にとらえる 3.『第4回トークイン大宮学童保育』の成功を 1月下旬に、ブロックを超えて交流を深める場としてとりくみます。 4.学校との提携と大宮市青少年団体連絡協議会への加入 各会で教師との提携が進むよう、教育委員会、教職員組合へ働きかけます 教育・福祉団体との提携を深め、青少年団体連絡協議会への加入をすすめ ます