
┌─  は  じ  め  に………─────────────────────────┐
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│  学童保育の中身が問われる時代                                            │
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└─────────────────────────────────────┘
  １９９３年度は、大事にしたいことの柱を次のように設定して取り組んできました。
    第１期（５～８月）『学童保育の基礎づくり』
    第２期（９～12月）『学童保育の改善と行政施策の改善』
    第３期（１～４月）『学童保育の内容充実を』
　この中に基本として貫かれていた思いは、８９年から始まった「公立化」の激動の
中で改めて、子どもたちのために親が自力でつくってきた学童保育の初心に返り、公
立・民間を問わず『中身』にこだわれる父母と指導員でありたいという事でした。こ
のことを『学童保育を「子どもを預ける所」から、「子どもを父母と指導員で育てる
所」に」と第３期はスローガンとして掲げました。
　このことは一朝一夕につくりあげられるものではありませんが、「箱物整備」に終
わりがちな「公営化」、運営に追われがちな民間学童保育の実情を見る時に、引き続
き私たちが一番大事にしなければいけない事ではないでしょうか。
　ことしは全国集会が埼玉で開かれます。身近に全国の経験を学び、内容を充実させ
る大きなチャンスであり、しっかり成功させていきましょう。

  市  単  独  事  業  の  実  現  と  公  立  の  改  善
　９３年度中に行政が費用負担しての「指導員の健康診断」、９４年度の市予算の中
に「生活困窮家庭の保育料補助金」が、大宮市の民間学童保育への市単独事業として
実現しました。長年の「国・県の補助ウラのないものは困難」（＝国・県がやってい
るから補助金を出す）という姿勢から、大宮市が国・県の補助事業に上乗せして、市
が単独財源で民間の学童保育に補助金を出すという姿勢に転換した点で、画期的な事
です。
　一方で、市の財政難の中で金額的には約１５０万円という、本当に「芽が出ただけ」
（福祉部長）のものであり、私たちの運営困難からすれば「  歴  史  的な  半  歩」
と言わざるを得ないものです。
　この芽がでた民間への単独補助金を、施設、指導員人件費へ拡げていけるかどうか、
これからの私たちの取り組みにかかっています。
　７月に春野児童象整に併設の育成室、来年４月に島小で独立施設の育成室の開設が
予定されています。９３年度の中で、一日保育の開始時間が９時から８時半に改善さ
れ、指導員会との話し合いで「指導員は正規職員が望ましいと思っている」と課長が
発言する等、少しずつ改善の展望が開かれています。

  中  身  に  こ  だ  わ  っ  て
　今放映されているＮＨＫの朝の連続ドラマ『ぴあの』に、学童保育が重要な舞台と
して登場します。童話作家をめざす主人公に、「子どもの心が一番わかる所」として
大学教授が紹介したのが学童保育で、そこにアルバイトに行っているという設定です。
　学童保育の法制化の動きなどを含め、ここ数年で学童保育の市民権は大きく広がっ
ています。このことを確信に、学童保育の施設作りだけではない、保育内容と子育て
運動の中身にこだわった「学童保育づくり」を進めていきましょう。

                                          
┌─  学  童  保  育  を  め  ぐ  る  情  勢────────────────┐
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│  学  童  保  育  の  法  制  化を求める動き                              │
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　昨年の秋から「学童保育の法制化」をめぐる新聞報道が繰り返され、９４年の２月
頃に法制化の提案がされる動きがありました。現在は、一緒に改正が検討されていた
保育園の措置制度の改正案（年収５百万程度を境に、措置入所と契約入所に分け国の
支出削る）が頓挫したために、一緒に先送りとなっています。

「  法  制  化」  の  動  き  の  背  景
　法制化を検討するまでに至った背景には、私たちの運動の反映で学童保育充実への
世論の高まりがあると共に、女性の労働力確保、少子化社会への対応が政府にとって
ものっぴきならない状況になっている事があげられます。
　★出生率の低下が、 いわゆる「1.57 ショック」として衝撃を与え、平成４年版の
    『国民生活白書』 では「少子社会の到来、 その影響と対応」がテーマとなり、
    「出産・育児に対するさまざまな支援体制を一層整備する」ことがうたわれてい
    ます。
　★経済企画庁の外郭団体の『総合研究開発機構(NIRA)』が「母親の就労と子ども」
    と題する調査報告をまとめ、提言の筆頭に「学童保育の制度化」をあげ、いくつ
    もの新聞に９２年秋ごろ大きく報道されました。
　★厚生省の児童家庭局は「エンゼルプラン餅旒⑯爪」と命名して９４年度予算を作
    成しましたが、
    1.就労と育児を両立させるための家庭支援  2.出産と育児のための家庭支援
    3.育児支援涙忿竪 4.q育て支援のための公益法人と基金の設置(300億）
    5.国際家族年記念事業の実施
    という内容のものです。中味は別としてタイトルだけを見れば、子育てと働く事
    の両立があたり前の時代に進んでいます。

  検  討  さ  れ  て  い  る  中  身
　現在検討されているのは、放課後児童対策事業をベースに、指導員の資格と研修、
施設等の環境の向上などを含め、法的位置付けの明確化です。
　具体的には、法制化で補助金が大幅に増える事は考えられていない。指導員につい
ては児童館の職員である「児童厚生員」と同格の位置付けを検討し、施設には「第二
種福祉施設」としての位置付けを行い、土地提供の免税等が考えられています。

　児  童  館での  学  童  保  育  の  義  務  化と  民  間  保  育  園
　法制化と合わせて、 児童館の位置付けの改正も検討されており、 児童館の機能に
「児童クラブ（学童保育）、子育て相談等の拠点としての、家庭と地域の子育ての支
援機能」を加えていく事とされています。このことで、具体的には児童館を設置する
時には学童保育も合わせて設置する事が義務化される見込みです。
　また、厚生省の新規事業として、保育所併設型の社会福祉法人経営のモデル児童館
への運営費をつくりました。また、３百億円で新たに『児童環境基金』（民間が行う
子育て、家庭支援事業の助成）をつくり、その融資事業に「学童育成型保育所」（保
育園＋学童）があげられ、民間の社会福祉法人が学童保育に乗り出す道を開きました。

　法制化は学童保育の充実していく為に前進には違いありませんが、大宮の「公立化」
と同じように、問題はどのような内容で制度が作られるかであり、大宮で抱えている
指導員の正規職員化や父母と指導員の提携などの内容充実は全国的な課題でもありま
す。
                                          
  国  の  放  課  後  児  童  対  策  事  業
  現在、全国で約7700所の学童保育  ┌────────────────────┐
があります。政府は「留守家庭児童  │放課後児童対策の概要                    │
対策は児童館で」として来ましたが  │委託金額    │９４年度は  1,090,000 円  │
国民の声の高まりに「都市児童健全  │            │新  41名以上に指導員加算※│
育成事業」を発展解消し、91年度か  │事業の目的  │留守家庭児童の健全な育成  │
ら『放課後児童対策事業』として、  │対象児童    │小学校低学年、            │
専用施設と指導員を認め「児童館」  │            │その他健全育成上必要な児童│
と「学童保育とは同格の事業にな  │指導員      │専任指導員（非常勤職員）１│
りました。※94年度から複数指導員  │補助要件    │おおむね２０名程度の児童数│
を認めましたが、埼玉はすでに３人  │            │  と２名＋１名の指導員    │
の補助金があり金額は増えません。  │補助対象経費│飲食費を除く運営費        │
                                  └──────┴─────────────┘

  県  の  学  童  保  育  施  策
  県内には５１６ヶ所の学童保育があります。┌──      県単独加算分    ───┐
  国が一貫して「学童保育の制度化」に背を  │1.人件費補助金  （県  、市  ）  │
向けている状況の中、埼玉県では７３年から  │  ＊指導員一人当たり            │
『学童保育事業運営費補助』として、指導員  │      119,000 円ｘ12ヶ月        │
の人件費への補助金制度を県単独事業で作り  │      一学童保育２人以内の指導員│
学童保育事業の発展に大きく寄与してきまし  │  ＊障害児４人以上の学童保育への│
た。その補助金水準は県斃湶 では全国一です │             指導員の加配       │
  92年、国と県の事業を一体化させ、放課後  │2.障害児の在籍する学童保育への  │
児童対策事業は「基本分」、県単独事業の    │    賠償責任保険料              │
人件費補助金は「加算分」としました。      │      一学童保育  10,000円      │
                                          │3.養護学校学童保育（県  、市  ）│
                                          │    月膨重度39700 軽度19900 円│
  大  宮  市  の  学  童  保  育          └────────────────┘
　大宮市には公立の「留守家庭児童育成室」が１０ケ所、民間の学童保育が２５ケ所
あります。民間には、昭和５０年から要綱に基づき県の基準で（９４年度で１学童保
育あたり  3,946,000 円）補助金を出し、その運営を支えてきました。また、９４年
度から市単独での補助金事業も加え、その拡充が期待されています。
　また、91年から開設された険た取り組みを進めていく必要があります。