●p5● 2.厚生省関係 1)保育対策の充実 ┌────────────────────────────────────┐  │・ 現行の保育所は、戦後、子供があっても、貧困のために両親とも働かざる │  │ を得ない家庭が増えたこと等を背景としてスタート。 │  │・ 現在では女性の社会進出が進み、女性もキャリアの継続を当然とする男女 │  │ 共同参画型社会へ移行しつつあり、保育需要が多様化している。 │  │・ しかし、望めば産休明けから預けられる乳児保育や低年齢児の受け入れ枠、│  │ 延長保育のサービスは、絶対的に不足。 │  │・ さらに、地域の子育て支援や一時的保育サービスなど、新たな機能が求め │  │ られている。 │  │・ 保育システムの多様化・弾力化を進めるため、保育所措置制度や利用料金 │  │ 体系の見直しが必要。 │  │・ 昭和40年代から昭和50年代にかけて多数整備された保育所が、随時耐 │  │ 用年数を迎えつつあり、保育所の多機能化に対応した改築整備が課題。 │ └────────────────────────────────────┘  (1)保育需要の状況   ア 保育所入所児童数(平成6年4月 厚生省調査)  (単位:人)  ┌──────┬──────┬──────┬──────┬──────┐  │ 0歳児  │ 1・2歳児│  3歳児 │ 4歳以上児 │ 合 計 │  ├──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤  │ 47,638  │  352,516 │ 366,315 │  788,543 │ 1,555,012 │  └──────┴──────┴──────┴──────┴──────┘  イ 保育所入所待機児童数(平成6年4月 厚生省調査) (単位:人)  ┌──────┬──────┬──────┬──────┬──────┐  │ 0歳児  │ 1・2歳児│  3歳児 │ 4歳以上児│ 合計 │  ├──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤  │ 4,653  │  12,654 │ 4,704 │ 4,408 │ 26,419 │  │ (9.8%)  │  (3.6%) │  (1.3%) │   (0.6%) │  (1.7%) │  └──────┴──────┴──────┴──────┴──────┘  注:( )は、入所待機率=保育所入所待機児童数/保育所入所児童数。   ウ 無認可保育所数・入所児童数(平成5年2月 厚生省調査)    (ア)無認可保育所数(事業所内保育施設・ベビーホテルを除く) 4,112か所 ●p6●   (イ)入所児童数(事業所内保育施設・ベビーホテル入所者を除く)(単位:人) ┌────┬─────┬─────┬─────┬─────┬────┐   │0歳児 │1・2歳児│ 3歳児 │4歳以上児│ 年齢不詳│ 合計 │ ├────┼─────┼─────┼─────┼─────┼────┤   │10,989 │ 37,600 │ 27,314 │ 51,282 │ 1,272 │128,457 │ │(23.1%) │ (10.7%) │ (7.5%) │ (6.5%) │     │ (8.3%) │ └────┴─────┴─────┴─────┴─────┴────┘  注:( )は、無認可保育所入所児童数/保育所入所児童数の割合。   エ 特別保育等(国庫補助事業)を実施している保育所の数(平成5年度)   ┌──────────┬───────────┬───────────┐  │ │ 実施か所数 │ 実施割合 │  ├──────────┼─────┬─────┼─────┬─────┤  │ │  公営 │ 民営 │ 公営 │ 民営 │  ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤  │乳児保育 │  2,514 │ 4,470 │ 18.9% │ 48.0% │  ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤   │延長保育 │ 356 │ 949 │ 2.7% │ 10.2% │  ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤   │一時的保育事業 │ 74 │ 266 │ 0.6% │ 2.9% │  ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤   │地域子育てモデル事業│ 30 │ 34 │ 0.2% │ 0.4% │  └──────────┴─────┴─────┴─────┴─────┘ (注)実施割合は、公民別の全保育所(公営 13,276か所,民営 9,309か所)     に対する実施か所数の割合である。  (2)保育料   ア 保育所措置費の負担状況(平成6年度予算)    ┌───────────┬──────────┐┐    │ │ 都道府県(1/4) ││   │ 国(1/2) │ 1,339.5億円 ││   │ ├──────────┤│   │ 2,679億円 │ 市町村 (1/4) ││   │ │ 1,339.5億円 │├ 10,779億円   ├───────────┴──────────┤│   │ ││   │ 保護者負担 ││   │     5,422億円 ││   │ ││   └──────────────────────┘┘ ●p7●   イ 国の平成6年度保育料水準 ┌──┬─────────┬───────┬─────┬────────┐ │階層│ 定 義 │ 推定年収 │3歳未満児│ 3歳以上児 │ │区分│ │(子供2人世帯)│ (月額) │ (月額) │ ├──┼─────────┼───────┼─────┼────────┤ │第1│生活保護世帯 │ − 万円│ 0円 │ 0円 │ ├──┼─────────┼───────┼─────┼────────┤  │第2│市町村民税非課税 │  〜 292 │ 5,000 │ 3,000 │ ├──┼─────────┼───────┼─────┼────────┤  │第3│市町村民税課税 │ │ │ │ │ │ (均等割) │  〜 322 │ 12,000 │ 9,000 │ ├──┼─────────┼───────┼─────┼────────┤  │第4│市町村民税課税 │ │ │ │ │ │ (所得割) │  〜 354 │ 16,000 │ 13,000 │ ├──┼─────────┼───────┼─────┼────────┤  │第5│所得税課税 │ │ │ │ │ │税額 30,000円未満│  〜 375 │ 21,000 │ 18,000 │ ├──┼─────────┼───────┼─────┼────────┤  │第6│所得税課税 │ │ │ 保育単価 │ │ │税額 90,000円未満│  〜 439 │ 30,000 │(限度額27,000円)│ ├──┼─────────┼───────┼─────┼────────┤  │第7│所得税課税 │ │ │ 保育単価 │ │ │税額 150,000円未満│  〜 524 │ 40,000 │(限度額37,000円)│ ├──┼─────────┼───────┼─────┼────────┤  │第8│所得税課税 │ │ │ 保育単価 │ │ │税額210,000円未満 │  〜 634 │ 49,000 │(限度額46,000円)│ ├──┼─────────┼───────┼─────┼────────┤  │第9│所得税課税 │ │ │ 保育単価 │ │ │税額430,000円未満 │  〜 766 │ 57,000 │(限度額54,000円)│ ├──┼─────────┼───────┼─────┼────────┤  │第10│所得税課税 │ │ │  │ │ │税額430,000円以上 │  828 〜 │保育単価 │ 保育単価 │ └──┴─────────┴───────┴─────┴────────┘ (注1)第3〜第9階層の推定年収は、各階層の平均。   (注2)同一世帯から2人以上の児童が措置されている場合、      2人目については1/2、3人目については、1/4に保育料を軽減す      る。             (参考)平成6年度保育単価    ┌──────┬──────┬──────┬──────┐   │ │平均保育単価│最高保育単価│最低保育単価│    ├──────┼──────┼──────┼──────┤    │0歳児 │ 144,519円 │ 185,430円 │ 130,620円 │    ├──────┼──────┼──────┼──────┤    │3歳未満児 │ 85,359円 │ 120,230円 │ 72,740円 │    ├──────┼──────┼──────┼──────┤   │3歳児 │ 40,817円 │ 71,620円 │ 29,240円 │    ├──────┼──────┼──────┼──────┤    │4歳以上児 │ 34,879円 │ 65,100円 │ 23,460円 │   └──────┴──────┴──────┴──────┘ ●p8●  (3)保育所の多機能化に対応するための保育所の改築   ア 過去3年間の保育所の改築数  ┌──────┬──────┬──────┐  │ 平成3年度 │ 平成4年度 │ 平成5年度 │  ├──────┼──────┼──────┤  │ 225 │ 240 │  271 │  └──────┴──────┴──────┘  イ 昭和40年代から50年代にかけて保育所需要が急増した時期に建設した保育所     のうち、今後10年間に耐用年数を迎えるものの数。 3,500か所   1000│ 930   │   800│   │ ・ 705 816 ・   600│   │ 451   400│ 420   │ ・   200│   │   0├─────────────────────────────   │ ▲35 ・ ▲20   -100├─┬────┬────┬────┬────┬────┬──   │ 40年度  45年   50年   55年   60年    2 年    (注)各年度とも社会福祉施設調査による対前年度増加数 【対策の具体化の方向】 1) 「保育所」の多機能化による多様なサービスの供給と施設整備の促進を図る。 ・低年齢児(3歳未満)の受け入れの拡大  ・延長保育サービス、一時的保育サービス等の拡充     ・地域子育て支援事業の推進  ・多機能化、複合化等に伴う保育所の増改築 2) 個別で多様なニーズに対応する民間保育サービスの育成・振興を図る。     ・事業所内保育施設、駅型保育クラブ等の整備促進     ・在宅保育サービスの育成   3) 保育所措置制度や利用料金体系の見直し、多様で良質な民間保育サービスの    供給主体の育成などにより、保育システムの多様化・弾力化を図る。 ●p9● 2)放課後児童対策(児童クラブ)の充実 ┌───────────────────────────────────┐ │・ 小学校低学年の児童が放課後事故などの心配なく過ごせる放課後児童対策│ │ は、共働き家庭にとって重要。 │  │・ 実施か所数が、絶対的に不足しており、また、都道府県により普及状況に│  │ 著しい差がある。そのため、どこでも利用できるように全国的普及を図るこ│  │ とが必要。 │ └───────────────────────────────────┘  (1) 現状(平成5年度)   補助市町村数  556市町村(全市町村の17%)  (2) 国庫補助児童クラブ数の推移 5000│ か所数 │ 4,520 │ ┌┐ 4000│ 3,920 ││ │ 3,471 ┌┐ ││ │ ┌┐ ││ ││ 3000│ 2,966 ││ ││ ││ │ 2,580 2,726 ││ ││ ││ │ ┌┐ ┌┐ ┌┐ ││ ││ ││ 2000│ ││ ││ ││ ││ ││ ││ │ ││ ││ ││ ││ ││ ││ │ ││ ││ ││ ││ ││ ││ 1000│ ││ ││ ││ ││ ││ ││ │ ││ ││ ││ ││ ││ ││ │ ││ ││ ││ ││ ││ ││ 0 └─┴┴──┴┴──┴┴──┴┴──┴┴──┴┴─ 元 2 3 4 5 6    (参考)全国の小学校区    約 25,000校区         うち児童数 200人以上  約 15,000校区        全国の中学校区    約 11,000校区  【対策の具体化の方向】   1) 共働き家庭における小学校低学年の児童を対象に、放課後児童クラブをどこ    でも利用できるように全国的普及を図る。   2) 就労家庭子育て支援モデル事業(民間の保育所と児童館の併設による就労家    庭の支援)の推進 ●p10● 3)母子保健医療対策の充実 ┌───────────────────────────────────┐  │・ 我が国の妊産婦死亡率は、出生10万人に対し10.8と欧米諸国と比較│  │ しても依然として高率である。 │  │・ 低体重児(体重2500g以下)の増加。 │  │・ 母子医療に関しては産科医療、新生児医療、小児科医療がそれぞれ独立し│  │ た医療機関として整備されているが、更にこれに加え一定の地域単位に、妊│ │ 娠時期から出産、小児期に至るまでの一貫した高度専門的な医療の提供と保│ │ 健指導を行う施設が必要。 │ │・ また、子どもの病気回復期における、保護者の育児と就労の両立支援策と│ │ して、保護者の勤務の都合等により家庭での育児が困難な場合のデイサービ│ │ ス供給体制の整備が望まれている。 │ └───────────────────────────────────┘  (1) 地域における周産期・新生児医療体制(母子保健総合医療センター)の整備    ○ 低体重児数の全出生数に対する割合の推移     (単位:%) ┌──┬───┬───┬───┬───┬───┬───┬───┐ │年度│ S 61 │S 62 │ S 63 │ 元年 │ H 2 │ H 3 │ H 4 │ ├──┼───┼───┼───┼───┼───┼───┼───┤ │児数│ 5.8 │ 5.9 │ 6.0 │ 6.2 │ 6.5 │ 6.7 │ 6.8 │ └──┴───┴───┴───┴───┴───┴───┴───┘ (参考) 第三次救急医療施設(救命救急センター) 全国で126か所  (2) 乳幼児の健康支援のためのデイサービス事業の拡充  ア 児童の病気の場合の親の対応 0   20   40   60 80 100% ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐ 母が休む│================ │ 祖母に頼む│=========== │     父が休む│=== │ │     職場に連れていく│=== │ │     親戚に頼む│== │ │     保育所に行かせる│= │ │    病児保育室を利用する│= │ │     友人・知人に頼む│= │ │     その他│== │ │ └─────────┴─────────┘                           転記注)棒グラフを変形  イ 仕事を休むことについて ┌─────────┬─────────┐ │ 16.0% │ │ │ 無記入 │ 25.0% │ ├─────────┤ 安心して休めた │ │6.0% その他 │ │ ├─────────┴─────────┤ │ │ │ 53.0% │ │ 休みにくかった │ │ │ └───────────────────┘  転記注)円グラフを変形 【対策の具体化の方向】    1) 住民に身近な市町村を中心とする母子保健事業の充実 2) 地域における周産期・新生児医療体制(母子保健総合医療センター)の      整備    3) 産後ケア、妊産婦支援のための事業の整備 4) 乳幼児の健康支援のためのデイサービス事業の充実    5) 出産及び小児の疾患に関する研究の推進 ●p11● 4)その他の子育て支援策 ┌───────────────────────────────────┐  │ 子どもの健全育成と子育て家庭の文化生活・社会活動の基盤整備を推進。 │ └───────────────────────────────────┘  (1) 子どもの健やかな成長を支えるため、地域における健全育成事業を推進する。    ○ 児童館活動の活性化    ○ 子どもにやさしいまちづくりの推進      ・若い男女、企業等による託児、子どもとの遊び等のボランティア活動の       推進      ・地域交流事業による生活や文化の伝承が伴うコミュニティの活性化    ○ 児童環境・健全育成支援事業の推進  (2) 子ども連れでも気がねなく社会・文化活動に参加したり、旅行できる環境づく   りを進める。    ○ 駅、劇場、美術館等の公共施設や交通機関における授乳コーナー、ベビー     ルーム等の整備促進。 ┌───────────────────────────────────┐ │ 総合的な相談支援サービスなどの子育て支援対策の推進。 │ └───────────────────────────────────┘  (1) 子育てについて、気軽に利用できる総合的な相談支援サービスを充実する。   ○ 子育てに関する総合的な相談支援体制の確立・普及      ・家庭支援相談等事業(子ども・家庭110番)の充実      ・児童関連情報24時間ネットワーク事業の推進   ・共働き家庭子育て休日相談等支援事業の推進    ○ 地域子育て支援事業等の推進(再掲)  ○ 子どものショートステイ事業の拡充    ○ 都市家庭在宅支援事業の推進  (2) 社会保険制度及びその資金活用による子育て支援策を進める。    ○ 育児休業期間中の健康保険・厚生年金保険料の被保険者分の免除 (7年4月〜)  (3) 子育ての経済的な支援に係る児童手当、税制、企業の給与体系等のあり方を総   合的に検討する。