マンガ「アタックNo.1」の影響で、小学生の時は「バレーボールで生きていく」と決めていた。しかし強豪の高校に入学するとすぐに極度の貧血であることが判明。増血剤を飲みながらも3年間バレーボールをやり続けた。まさに「根性の人」。写真に出会ったのは、デッサンを一枚も描いたことがないのに、「そういえば美術が好きだった」と思って入った美大の授業で。「現場に行って一瞬を切り取ってくるというのが性に合っていたんだよね」。
アイヌとの最初の出会いは実は思い出せない。小さなころからなぜか「アイヌ」が頭の隅にあった。そして北海道でアイヌの人たちが多く住んでいる地域の和人(非アイヌ)として育った元夫から、周囲の大人がアイヌを差別していた話を聞いた。
「一番親しい人から聞くリアルな話にびっくり!『差別』って過去の話っていう認識だったし。昔から気になっていたアイヌがバーンと表に出てきた」
離婚後、自分が撮った写真が載っている雑誌をめくっていると、北海道・二風谷在住のアイヌ女性アシリ・レラさんが「(アイヌの聖地を沈める)二風谷ダムに反対する」と書いている文を読んだ。「出会った!」と感じた宇井さんはすぐに手紙を書いた。すると紙の切れ端で「すぐにおいで」という返事がきた。