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インタビュー

『働く人のための「読む」カウンセリング』著者

髙山 直子さん

  • 2010.05.25
  • 聞き手:竹内絢
  • 撮 影:飯田典子

髙山 直子さん

「あなたが人生のエキスパート」

 髙山直子さんは、東京・代々木にある「サポートハウスじょむ」で、多くの働く女性たちの相談を受けてきた。成果主義や不安定雇用が進む社会システムの中で、ハラスメント被害など職場の人間関係が複雑化し、自尊心の低下や、自分らしさへの自信を失う人が増えていると痛切に感じている。
 仕事や人間関係で疲弊しないヒントを伝えたいと、カウンセラーとして蓄積してきたスキルを今回刊行した本に詰め込んだ。自分や相手の力を信じること、相手を勝手にジャッジしないこと、肯定的な話し方のコツなど、髙山さん自身がカウンセリングの場で実践してきたことだ。
 「ここに書いたことは、きっと多くの人が既に知っていること。何かストンと落ちるものがあるとすれば、そんな風にカウンセリングを敷居の低いものにしていきたい。人が安心して関係を結べるようになればいい」

 髙山さんがカウンセラーの道を選んだのは、自身が「支援されるしんどさ」を経験したことが影響している。
 日本の大学を卒業後、女性学のコースがあるアメリカの大学に留学し、フェミニズムの面白さを知った。そのまま、女性学の修士課程に進む。
 その直後、引っ越したばかりのアパートに一件の電話があった。髙山さんの友人の知人だと名乗る男性からのいたずら電話だった。この日から、14カ月もの間、ストーキング被害に苦しめられることになった。電話は常に留守電にし、相手を確認してからでないと出られない。アパートのエレベーターの扉が開いた時、人が乗っていると体が震える。犯人が誰か検討もつかず、本当に不安な日々だった。
 ある時、不安と緊張が高まり、警察に行くと「君に必要なのはカウンセリングだよ」と署長がパンフレットをぽーんと投げてきた。すごく傷ついた。
 学内のカウンセリングは2回ほどでやめた。友人が在籍する別の大学では、女性に対する暴力のプログラムがあり、そこでのカウンセリングは少し続いた。だが、「被害にあっていたときは、カウンセリングの効果を信用できず、何の役に立つのだろう?くらいにしか思っていなかった」
 周りの友人たちや教員も理解があり、いつもサポートしてくれた。しかし、支援されている者としてのつらさは言えなかった。「頑張らなきゃいけない、応えなきゃいけない、と思って」
 支援されている以上、不満は言っちゃいけない。頑張ることは「自律」でもあり、屈しないことだ。犯人を捕まえなきゃ…。プレッシャーとストレスで、誰も信じられない心の状態になっていた。加害にも苦しめられたが、「支援される」ことについて、深く考えさせられた。

続きは本誌で...

たかやま なおこ

1969年東京生まれ。NPO法人サポートハウスじょむの女性問題専門カウンセラー。『働く人のための「読む」カウンセリング ピープル・スキルを磨く』(研究社)を2月に上梓。
じょむウェブサイトhttp://www15.ocn.ne.jp/~jomu/
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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