今、ジュンさんのもとには全国各地からメールやブログへの書き込みを通じた「SOS」が届く。直接会って話を聞きたいと思うが、距離的、経済的な理由で会えないことも多い。1日にやりとりするメールは100通以上。
この夏に出版した『漂流少女』を読んで連絡をくれる女の子もいる。この本に登場するアイさんは、ジュンさんにとって忘れられない、大切な人のひとり。昨年再会した時、アイさんは妊娠していた。生活のためにギリギリまで街に出ていた彼女に、「無事に出産を迎えよう」とジュンさんは言い続けた。出産後、母子共の生活はかなわず、子どもは乳児院に。
「〝どうせ私は育てられないんだ〟って語ってそうな背中を見て、追いかけることもできなかった。ケンとふたりで女の子をサポートしていくのは、難しいと思った」
アイさんと出会って、話を聞いて伝えることだけでなく、行き場のない女の子のために安心して過ごせる場所が欲しいと思い始めた。一度立ち止まって、本当はどうしたいのかを考えられる場所。夜中、繁華街をぶらぶらしている女の子たちが危険な目に遭ったり、一晩にして人生がころころ変わってしまうケースをいくつも見てきた。
「セックスではない寄り添い方、求められ方があるんだよ、って伝えたい」。そうした思いがNPOやネットカフェの設立につながる。
ジュンさんは「アウトロー的な生き方をしている、不器用な女の子たちが好き」という。「死」がすぐそばにある彼女たちに「大人になるってそんなに悪いことじゃないかも」と思ってもらえるような出会いをつくりたいと、活動を続けてきた。