WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

  • HOME
  • >
  • インタビュー

インタビュー

  • 2011新年号
  • ●栗原順子

yun

《999》

 韓国にある「ナヌムの家」の「日本軍『慰安婦』歴史館」を訪れた人は皆、ユン・ソクナムさんの作品の前で立ち止まったに違いない。
 地下の展示室から階段を上がった所にある大きな木製のチマ・チョゴリの女性像。その女性像と下に置かれた真鍮の香炉とろうそくの光が織りなす、かでかつやさしい空間がそこにある。ハルモニたちの霊魂と私たちの霊魂を同時に慰霊するために作られたこの作品《光の美しさ、生命の尊さ》の前では、誰もが合掌し、祈りをささげていく。
 《999》は様々な女性の木像のインスタレーション(空間芸術)。チマ・チョゴリを着た女性、洋服の女性、笑う女性、悲しげな女性、踊る女性もいる。999という数は、仏教の無量大数、満たされた状態の「千」から1つ足りない数で、世界を満たすその1つには999人の誰もがなりうるという。ジェンダー差別への告発とともに、女性の力強さや温かさを内包するユンさんの作品には、世代や国を超えたゆるやかなシスターフッドが浮かび上がってくる。女性たちの連帯によって実現された「女性国際戦犯法廷」。暴力のない社会をつくるのは、私たち一人ひとりの力だ。

《999》鎌倉画廊「尹錫男(ユン・ソクナム)展」 1998年(撮影 内田芳孝)

ユン ソクナム

1939年、中国・満州生まれ。韓国現代美術を代表するアーティスト、フェミニスト・アクティビスト。制作は、絵画、ドローイング、彫刻などで、社会における女性の居場所を模索するテーマを追求。作品に《椅子》、《1、025―人とともに、あるいはともにする人もなく》ほか多数。 *《999》の一部が寄贈されることになったアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)では、1月15日にユンさんを招いてシンポジウムを開催。詳細は8面。
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
このページのTOPへ