WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

  • HOME
  • >
  • インタビュー

インタビュー

「二重のまち」を描いたアーティスト

瀬尾夏美さん

  • 2017.12.5
  • 聞き手…岡田真紀
  • 撮影…布田直志

瀬尾夏美さん

(C)布田直志

見えない風景、語られない言葉

 

現代アートの国際展覧会「ヨコハマトリエンナーレ2017」(8月4日~11月5日)に、瀬尾夏美さんは岩手・陸前高田をテーマにした絵画とテキストからなる「二重のまち」を出品した。1988年生まれの最年少アーティストだ。

陸前高田は、津波で流されたかつての市街地に山を崩した土を盛る工事が進んでいる。2011年3月末、初めて陸前高田を訪ね、その後、街の人々の思いを聞き取り、スケッチを重ねてきた瀬尾さんは、盛り土の上に築かれる街と土の下に息づく二層の街を想像する。「二〇三一年、どこかで誰かが見るかもしれない風景」として、二重のまちの人の営みを幻想的な筆づかいの絵と語りで描き出す。津波を体験した人、思いを遺しながら亡くなった人、津波を知らない世代がつながっていく。

東日本大震災が起きたのは、大学の卒業式を間近に控えた春休み。大学院で油絵を学ぶことが決まっていた。テレビやSNSから東北の惨状が流れてくる。「『壊滅』『未曽有』といった報道で使われる大きな言葉と、映像に写る普通のおじいちゃん、おばあちゃんとのずれ。現地のぐちゃぐちゃな風景と東京は電車が動いているというずれ。それを体感的につなぎ直しておかないと、もう絵が描けないと思った」

        続きは本紙で...


せお なつみ

1988年東京都生まれ。2012年陸前高田に、15年仙台に拠点を置く。若手アーティストと一般社団法人NOOK(のおく)設立。主な展覧会に「VOCA2015」(上野の森美術館)、「クリテリオム91」(水戸芸術館)。作品展やワークショップなどで、障害のある人との協働も行う。

【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
このページのTOPへ