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インタビュー

『母子世帯の居住貧困』著者

葛西リサさん

  • 2017.11.25
  • 聞き手…大森順子
  • 撮影…谷口紀子

葛西リサさん

(C)谷口紀子

当事者と共に動いて学んで書く

 

日本の母子世帯が経済的にとんでもなく貧困であることは、もはや世界的にも有名である。しかしながら、母子世帯が抱える問題は、貧困だけではない。就労の厳しさ、子育てのあれこれ、うつをはじめとする健康上の問題、忙しすぎること…。だが、意外と見落とされてきたのが「住まい」の問題ではなかったか。あまりにも他の問題が大きくて、ついつい住居に関しては二の次三の次になっていたような気がする。その母子世帯の居住を真正面から取り上げ、細やかなインタビューでその問題点を明らかにしてくれた。

「もともと経済学部で住宅のことを研究し始めたんですよ。そのあと、建築、都市計画の分野で住宅をやろうと思い、なぜ女性が住宅弱者になるのか、ジェンダーの視点で考え始めたんです。それでシングルマザーの住宅をやろうと思ったのですが、まったく文献も何もなくて、一からやっていかなければならなかったんです」。葛西さんは、ともかく当事者に話を聞こうと、あちこち聞きまわり、DVシェルターならシングルマザーがいるだろうと、初めに直接シェルターに取材を申し込んだ。

「最初は、怒られました。命のかかっている現場ですから、それは当たり前ですよね。でも、ボランティアをするならいいよ、と言ってくれて、当事者のシングルマザーといっしょに住居を探したりしました。そこで、どんなに母子家庭の住居探しが大変かを思い知った。今でこそ、不動産屋さんも変わりましたが、その当時は、母子家庭で仕事もない、子どもがいる、保証人もないでは、部屋なんかないでぇ、という感じでしたね」。やっと紹介された住居もひどいところ。母子家庭に対する世間の厳しさに直面して、こんな理不尽なことがあるのかとショックを受けた。その後、母子家庭の当事者団体に積極的に関わっていき、話を聞いた。

        続きは本紙で...


くずにし りさ

立教大学コミュニティ福祉学部RPD研究員、大阪体育大学非常勤講師、神戸松蔭女子学院大学非常勤講師。専門分野は、生活経営学、住宅政策、居住福祉、家族福祉、ジェンダー。12歳の男の子と3歳の女の子の母でもある。

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