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インタビュー

シベリア抑留者の2つの映画を撮った

久保田桂子さん

  • 2016.11.15
  • 聞き手…栗原順子
  • 撮影…宇井眞紀子

 久保田桂子さん

手に負えないと思った、記憶

 

「一番に思い出すのはね、中国で戦争をしたこと、あそこで…殺したことは忘れんね」

ドキュメンタリー映画『祖父の日記帳と私のビデオノート』の1シーン。『海へ 朴さんの手紙』と共に、「記憶の中のシベリア 祖父の想い出、ソウルからの手紙」と題され、順次公開されている。どちらもシベリア抑留体験者の〝記憶〟に焦点があてられた作品だ。美しい映像と対比するかのように、戦争の苦しく、重い記憶が浮かび上がる。評価が高い両作品が、若い新人監督によるもので、最初の撮影から10年以上かけて製作したことに驚き、その監督、久保田桂子さんに会いたくなった。

 

 幼い頃から絵や映像が好きだ った久保田さんは、東京の美術大学に進学し劇映画を学ぶ。ドキュメンタリー制作の授業で、戦争に行った祖父の想いを知りたくて、祖父を撮ると決めた。

 子どもの頃から食卓の席は祖父の隣。祖父はジャガイモ料理が出ると「シベリアの収容所ではジャガイモがおいしかった…」とシベリアや中国の話をとつとつと話した。祖父の直人さんは軍人として中国に6年、敗戦後は捕虜として4年間シベリアに抑留された経験を持つ。  「でも祖父の話は断片的で映像作品としてはまとまらないと撮影を断念し、完成せず補習を受けるはめになりました(笑)」  授業は終わっても帰省の度に祖父を撮影し続けたが、戦争中にどんなふうに人を殺したか、具体的に話したのは1度だけ。それが冒頭の言葉だ。その日「今日はついに人殺しの話までさせられちゃったよ」と久保田さんの母親に愚痴る祖父を見て戸惑った。「戦争のことは手に負えない」と思った。  それでもこのままにはしておけないと、シベリア抑留に関わる本を読み、団体を訪ね、日本と韓国のシベリア抑留体験者約20人に取材した。その取材で朴道興さんに出会う。

          続きは本紙で...


くぼた けいこ

1981年長野県生まれ。『祖父の日記帳と私のビデオノート』は、2014年「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」コンペティション部門大賞を受賞。『海へ 朴さんの手紙』は、16年「あいち国際女性映画祭」長編部門グランプリを受賞。本作のパンフレットの挿絵も描いた。

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