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インタビュー

『「ホロコーストの記憶」を歩く』の著者

石岡史子さん

  • 2016.9.15
  • 聞き手…室田元美
  • 撮影…落合由利子

 石岡史子さん

想像し、考える大切さ伝えたい。

 

 ドイツ・ベルリンの街角にある、カラフルな看板。かわいい猫の絵が描かれた看板の裏には、こう書いてある。「ユダヤ人はペットを飼ってはならない」。楽譜の絵の看板の裏には、「ユダヤ人は合唱団から除名される」。ナチ政権下で作られた「ユダヤ人法」。2000もの法律があったという。

「『何だろう、きれいだな』と看板を見て、その意味がわかったときにはすごく衝撃を受けましたね。ベルリンの街を歩くと、アートなどでホロコーストを忘れまいとする試みがあちこちで見つかるんです。『つまずきの石』も、あ、ここにある、ここにも、と。それが街の風景や人々の暮らしに溶け込んでいるんですよ」と話すのは、NPO法人ホロコースト教育資料センター代表の石岡史子さん。

 

ベルリンで出合った多彩なモニュメントに、ホロコーストを次の世代に伝えようと試行錯誤する人々のものすごいエネルギーを感じた、という。そのことを伝えたくてこの夏、ドイツ在住の研究者・岡裕人さんとまとめた『「ホロコーストの記憶」を歩く』(子どもの未来社)を上梓した。

「つまずきの石」は、収容所へ連行された人が最後に住んでいた家の前に埋め込まれ、10センチ四方の真鍮プレートに名前、生年月日、たどった運命が刻まれたものだ。一人のドイツ人男性が始めた試みに、ヨーロッパ全土からも多くの人が参加している。犠牲者の名前を受け取り、石の「保護者」になってその人のことを調べ、手紙を書いたり、石が?がれたら直すなど、きちんと追悼する。現在、石はドイツ以外の国々にも広がり、5万5000を超える。

「600万人の犠牲者ではなく、一人一人が名前を持っていて、それぞれ生きていたことを大事にする試みです。沖縄の『平和の礎』も、国籍に関係なく名前が刻まれた理想的な記憶の形ではないかしら」

          続きは本紙で...


いしおか ふみこ

1970年東京都生まれ。命の大切さを考える活動から、1998年NPO法人「ホロコースト教育資料センター」を設立。『ハンナのかばん』をもとに学校や自治体で授業を行う。アウシュビッツを訪れる大学生向けピーススタディツアーのガイドも。

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