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インタビュー

『シアター・プノンペン』監督

ソト・クォーリーカーさん

  • 2016.7.15
  • 聞き手…中村富美子
  • 撮影…落合由利子

 ソト・クォーリーカーさん

体に刻まれた忌まわしい記憶

 

 自国の負の歴史に向き合うのは、なんと苦しくつらい作業だろう。カンボジア映画『シアター・プノンペン』が見る者に焼きつけるのはまさに、その困難と希望。ふとした偶然から母の過去を発見する女子大生を主人公にすえ、家族史を探る彼女を通じて壮大な国家の闇に迫る意欲作には、監督自身の人生が色濃く反映されている。

 1975年4月。革命を掲げるクメール・ルージュが首都を制圧すると、都市の住民は農村に大移動させられ、国はまるごと強制労働収容所と化した。そして政権が崩壊する79年1月までに、国民の4人に1人、170万人もの命が奪われた。拷問、処刑はもとより、過酷な労働と飢餓による死が多かった。

 

 わずか2歳半だったソトさんも家族とともに首都を追われ、北部の村で親から離されると、幼児ばかり百人ほどの集団生活を強いられた。

 

その頃のことで、今もはっきり覚えていることがある。  モンスーンの季節だった。寝泊まりしていた建物が嵐で潰れ、多くの子が死んだ。それを知った母親が、洪水の中を娘の無事を確かめに駆けつけた。  「遠くに母が見えると、世話役の女性が私を高く抱き上げてくれました。生きている私を見て張り詰めたものが切れたのか、母は水中に倒れこんでしまった。そのとき、世話係の手が私の口をふさいだのです」

子どもは国の子。親が死んでも泣いてはならず、肉親の情におぼれる者は、処刑に値する反革命とみなされていた。

        続きは本紙で...


ソト・クォーリーカー

1973年、プノンペン生まれ。通訳等の仕事を経て映画に関わり、映画製作会社を設立。自伝的要素を盛り込んだ監督デビュー作『シアター・プノンペン』は、2014年東京国際映画祭でスピリット・オブ・アジア賞を受賞。現在、東京・岩波ホールで公開中、以後全国順次公開。

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