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インタビュー

『刑事司法とジェンダー』の著者

牧野雅子さん

  • 2016.5.25
  • 聞き手…大森順子
  • 撮影…谷口紀子

 牧野雅子さん

加害者に対する司法の姿勢を問う

 

 一見硬そうなタイトルの『刑事司法とジェンダー』(インパクト出版会)という本は、牧野雅子さんが警察官を退職し、進学した大学院における博士論文を加筆修正した著書である。この本を読んで衝撃を受けたのは、きっと私だけではないだろう。

 性暴力と法律に関しては、たとえば2次被害の問題や被害者がどれだけ抵抗したかが問われるなど、さまざまな課題があることは知っている。

 

 しかし、加害者と刑事司法が結託して強姦の物語を作り上げ、その物語が被害者に対するスティグマ(社会的な烙印)をさらに強化し再生産していく過程は、驚きの連続だった。牧野さんは強姦加害者に何度も会い、綿密なインタビューを行い書き上げた。  こんな本を書く人は、いったいどんな人なのか。

 

「動機で何かを語るって、どうなのかな。今語ろうとすれば、今思ったことを語ることになり、当時思ったこととずれてしまう。わかりやすい物語に過去が回収されてしまうのが嫌なんです」。なぜ、警察を辞めたのか、そもそもなぜ警察官になったのかをしつこく聞く私に、牧野雅子さんはうつむき加減にやさしい声で言った。

 

 もともと大学では教育学部を専攻していた牧野さんだが、卒論には「男の世界に挑む女性たち」というテーマを選んだ。ちょうど、労働基準法が変わって、海上保安庁で巡視船艇の女性船長や、気象庁に女性専門職員が登場した時代だった。大卒女子が大卒男子と同じような要件で採用された初めての年。 「世間では事件事故が毎日のように起こっているのに、いつまでも何もできない、傍観者でいる自分が嫌だった」という思いで警察官となったが、そこはやはり厳しい男社会だった。

       続きは本紙で...


まきの まさこ

1967年富山県生まれ。京都大学 文学研究科アジア親密圏/公共圏教育研究センター所属。社会学・ジェンダー研究。「痴漢撲滅系ポスター」調査プロジェクトhttp://posterproject.jimdo.com/管理人。LOVE PIECE CLUBウェブサイトで「今月のマモルくん」を連載中。

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