ガールズ・ロックはフェミの窓口
女がロックバンドに入りたいと言えば「女はいらない」と言われ、入れば過剰に女らしさを要求され、自分らしさを表現しようとすると抑えられ…。女は男性中心主義のロックの世界で抑圧されがちだ。
アメリカでは2001年に、オレゴン州のポートランド州立大学で女性学を専攻していたミスティ・マッケロイさんをはじめ、女性ミュージシャンらによって、8歳から18歳までの女の子たちのための「ガールズ・ロック・キャンプ(GRC)」が創設された。女の子たちが合宿しながら演奏を学び、楽器をかき鳴らしマイクを握ってシャウトする。自由な自己表現によって自分の殻を破り、解放されていく。
そんなGRCを通して女の子たちが達成感を得る姿を描いたドキュメンタリー映画『ガールズ・ロック!』。ポップで奇抜な映像の作りとパワフルな内容に、エンパワーされる。
昨秋、東京で行われた上映会のゲスト、ベス・ウーテンさんはGRCに関わっていて、ミュージシャンでDJ、そして法務博士の顔も持つ。
米国南部のサウスカロライナ州チャールストンで生まれ、大学生まで暮らした。大学があって比較的リベラルな町だが、南部特有の差別意識があちこちに残っていた。それに気づいたのは13歳の頃。南部の奴隷制度の遺物が観光地になっていることに疑問を持った。それに、“女の子はかわいく、男の子はジェントルマンたれ”という『風と共に去りぬ』のような性別役割と、女性だけでなく同性愛差別も強いことに気づいたのも同時期。両親は保守的ではあったが、あなたの考えることを表現しなさい、というスタンスだったので、学校新聞の記者になって学外で視野も広げた。
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