なかったことにしないよう伝えたい
福島第1原子力発電所の事故から4年半が過ぎた。当初から放射能や被ばくに関する発信を続けてきた和田さんは、3・11から、何を考えてきたのだろう。
「3・11では自分の価値観が根底から覆されましたね。原発や、反対する人たちの闘いも知らなかったことが申し訳なかった」
あの時、ネットではさまざまな情報が錯綜した。だがあくまで「ただちに影響はない」という政府は、子どもたちの健康を犠牲に「復興」を進めた。全てがおかしいと思った。でも一番不思議だったのは、声を上げる人が少なかったことだ。
週刊誌などでライター、編集の仕事をしていた和田さんは、その状況に対する怒りと、とにかく今の本当の状況を伝えたいという思いから、ブログでの発信を始め、放射能や脱被ばくに関する集会などにも向かった。
当時、各地で一番声を上げていたのは事故後に初めて危機感を感じ集まったママたちだった。勉強して知識を身につけ伝える人、外国の文献を翻訳する人、公の場で発言する人、書くことやデザインをする人、子育てをしていて埋もれがちな女性たちのすごい能力がつなぎ合わさるのを感じた。
そして各地の女性たちが連動し合い、翌2012年に、放射能の現状を伝え、子どもたちの健康を守るための雑誌「ママレボ~Moms' Revolution~」創刊に至る。現在の発行部数は2000部。全国のママネットワークや個人の読者、協同組合などから助成を得て制作を続け、15年には日隅一雄・情報流通促進賞奨励賞を受賞した。
続きは本紙で...
わだ ひでこ
1971年兵庫県生まれ。フリーライター。2012年、「ママレボ ~Moms' Revolution~」0号を創刊。購読その他問い合わせは同出版局へ。ウェブ版も配信中。メール:order.momsrevo@gmail.com