WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

  • HOME
  • >
  • インタビュー

インタビュー

詩人で社会学者

水無田気流さん

  • 2015.5.15
  • 聞き手…大森順子
  • 撮影…飯田典子

水無田気流さん

家族の現実から社会を斬る

 
  • 詩人であって、社会学者である。この人の名前を新聞でちょくちょく見かけるようになって、その発信内容のまっとうさにいつも膝を打っていた。特に2014年11月に刊行した『シングルマザーの貧困』(光文社新書)を読んでからは、当事者でもないのに、なぜここまでシングルマザーの問題に鋭く迫り、しかも「可哀想」や「惨め」ではないシングルマザーを描けるのか興味深かった。  その日、東京・荻窪の詩人たちが集まる小さなカフェに、水無田さんは小学1年生の息子さんの手を引きながら「お待たせしました!」と走って来られた。
  •  
  • 「今やいわゆる『標準世帯』と言われているお父さんとお母さんと子ども、という世帯はマイノリティー。世帯タイプで言えば、一人暮らしが一番多くなっています。母子家庭や父子家庭も増えていますし、専業主婦になるのは難しい。それなのに、むしろ子どものために家庭でやるべきと言われることは増えている。乳幼児のころの健診に予防接種、就学したら授業参観、PTA…、子どもが減っているから学校で回ってくる係も2つ3つ掛け持ちになるし、地域のお祭りの手伝いまである。特に主婦が時間財として消費されている。女性は相変わらず家庭責任と家事育児を担わされ、ケアワーカーとして使われている」。テーブルを挟んで座るなり、堰を切ったように話す言葉のひとつひとつがうなづける。
  •  
  • そのことが、シングルマザーのあり方に表れていると?
  •  
  • 「日本では、子どものいる男女の賃金格差は驚くほど大きい。正規職員同士でも、女性は男性のたった39%なんです。女性は正社員でも結婚したら半数はパートなど非正規に働き方を変えるか離職し、さらに子どもを産んだらそのまた半数は正社員から非正規に変わるか離職する。第1子出産後正社員で仕事を続ける女性は2割強という雇用の現状は、30年前から変わっていない。むしろ、男女雇用機会均等法以降、専業主婦志向は強まっています。」
  • 続きは本紙で...


    みなした きりう

    1970年神奈川県生まれ。立教大学社会学部兼任講師。著書に『無頼化する女たち』(洋泉社新書)、『平成幸福論ノート:変容する社会と「安定志向の罠」』(本名の田中理恵子名義、光文社新書)。詩集『音速平和』(思潮社)で中原中也賞、『Z境』(思潮社)で晩翠賞受賞。

    【 新聞代 】(送料込み)
     1カ月750円、3カ月2,250円
     6カ月4,500円、1年9,000円
    【 振込先 】
     郵便振替:00180-6-196455
     加入者名:婦人民主クラブ
    このページのTOPへ