WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

  • HOME
  • >
  • インタビュー

インタビュー

日本で獄死した詩人・尹東柱の研究者

楊原泰子さん

  • 2014.12.15
  • 聞き手…栗原順子
  • 撮影…落合由利子

楊原泰子さん

権力に迎合せず、瑞々しさを失わず

 死ぬ日まで空を仰ぎ 一点の恥辱なきことを、 葉あいにそよぐ風にも わたしは心痛んだ。―伊吹郷訳「序詩」より  1945年2月16日、朝鮮半島から来た留学生が獄死した。享年27歳。戦争中、禁じられていた朝鮮語で詩を詠み、43年、治安維持法違反の疑いで逮捕され、福岡刑務所に収監されていた。48年、韓国で彼の詩集が初めて出版された。清冽で抒情性豊かな詩は人々を魅了し、民主化運動が激しかった80年代に盛んに読まれた。本国では代表的な詩人として教科書に載り、愛され続けている。  尹東柱―彼の詩や生き方に感銘を受け、20年以上その足跡を追っている民間の研究者がいる。楊原泰子さんだ。  90年、楊原さんは小学生の息子と野球チームの遠征で韓国に行くことになり、子どもに日韓の過去をきちんと話せない自分に愕然とし、歴史の勉強をし直した。親子とも緊張して訪れた地では人々の温かさに触れた。帰ってきて息子が真っ先に言ったのは「日本があんなにひどいことをした国であんなにあったかくしてくれた。僕は韓国の人と友達になりたい」だった。  自らも韓国の人ともっと話したいという思いで韓国語を習い始めてまもなく、詩人で韓国現代詩の紹介に尽力した、故・茨木のり子さんのエッセイで、尹東柱と出会う。  「数行のエッセイだったのですが、尹東柱が東京の立教大学に留学していたことが書かれ、自分と同じ学び舎にいた彼のことを知らずに学生生活を送っていたことがショックでした。まして、創氏改名で「平沼」と名乗っていた彼が朝鮮語の詩を書いただけで逮捕され、日本で獄死したという重み…。贖罪の気持ちから、何かできることはないかとすぐに思いました」  夫は海外出張も多い転勤族。各地を転々とし、4人の子育てに追われる毎日だったが、地域の活動とやりくりしながら、尹東柱にのめり込んでいった。 続きは本紙で...


やなぎはら やすこ

1946年、静岡県生まれ。詩人尹東柱を記念する立教の会、尹東柱の故郷をたずねる会会員。我孫子・白樺教育館学芸員、NPOこどもすぺーす柏会員。尹東柱没後70年記念の遺品・遺稿巡回展示会と追悼事業の詳細は、pyol-1917@ezweb.ne.jpまで。

【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ