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インタビュー

AIDで生まれた当事者として発言する

石塚幸子さん

  • 2014.06.15
  • 聞き手…栗原順子
  • 撮影…落合由利子
石塚幸子さん

生殖技術は誰を幸せにしますか

自分が名も知らぬ第三者の精子で生まれた子と知ったらどんな思いがわき上がるだろうか。  1949年、日本でAID(非配偶者間人工授精)による子どもが誕生してから65年。AIDで生まれた人は1万人をはるかに超えているといわれる。長い間「AIDは秘密にすべきこと」とされ、その是非が議論されることはなかった。が、10年ほど前から、この技術には問題があると、AIDで生まれた人たちが声を上げ始めた。そのひとりが、石塚幸子さんだ。

 「自分が父とは血がつながっていないことは驚きでしたが、それ以上に親に隠されていたことがショックでした」 石塚さんは、大学院生であった23歳の時、父親の遺伝性の病気をきっかけに、突然母親から「あなたは父親とは血がつながっていない。他人の精子で人工授精をしたが、提供者は匿名で分からない」と告げられた。 眠れず、食事ものども通らなくなった自分に母親が言ったのは「なんでそんなに悩む必要があるの」という言葉。この問題に悩むことすら親は認めてくれないのかと苦しくなり、告知から2カ月後に家を出た。

ひとり暮らしを始めてまもなく、新聞社にAIDへの疑問を書き送ったことで石塚さんのことが記事になり、他の当事者や精神科医師との出会いにつながった。当事者同士で共感し合い、医師から「親に対して怒っていい」と言われ、「ようやく悩むことを許された気がした」という。ウェブサイトを開設し、自分の思いを書き綴った。 人生を〝再構築〟していく過程で、2005年に、当事者たちと「非配偶者間人工授精で生まれた人の自助グループ(DOG)」を立ち上げた。孤独に悩んでいる当事者が安心して話せる場所をつくるためと、AIDが抱える問題を社会に広く訴えていくことが目的だ。

続きは本紙で...

いしづか さちこ

1979年、東京都生まれ。会社員。「非配偶者間人工授精で生まれた人の自助グループ(DOG)」「第三者の関わる生殖技術について考える会」メンバー。『AIDで生まれるということ 精子提供で生まれた子どもたちの声』(DOG・長沖暁子編著 萬書房)を5月に出版。
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
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