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インタビュー

映画『60万回のトライ』の監督

朴思柔さん

  • 2014.04.15
  • 聞き手…栗原順子
  • 撮影…宇井眞紀子

朴思柔さん

ノーサイド精神を託したい

 「ラグビー部の部員たちの誇らしげな笑顔と凛とした姿を皆に見せたいと思いました」  流暢な日本語で目を輝かせながら、映画制作の動機を語ってくれた朴思柔さん。  思柔さんが朴敦史さんと共同監督したドキュメンタリー映画『60万回のトライ』は、大阪朝鮮高級学校(以下、大阪朝高)ラグビー部の3年間の記録。高校生たちの屈託なくふざけ合う姿や、汗がほとばしる熱き闘い、厚い友情が描かれ、ラグビーに青春をかけた在日朝鮮人高校生たちの〝いま〟を映し出す。各地で上映、話題となっている。  思柔さんと朝高との出合いは2007年。東大阪市が、大阪朝高の運動場の一部を市有地であるとして明け渡せと要求し、提訴していた「グラウンド裁判」の取材だった(裁判は09年和解が成立)。10年正月、大阪・花園で行われた全国高校ラグビー大会で、大阪朝高が創部以来初めて準決勝に臨むと聞き、喜び勇んで駆けつけた。  朝高は負けたが「よくやった!」という歓声の下に並んだ部員たちが深々と一礼し、その誇らしい姿に震えるほど感動し、映画制作を決意したという。  韓国ではラグビー部のある学校は希少で、ほとんど知られていないスポーツ。「私も全然知らなかったけれど、フェア精神が高いことが気に入った」  ラグビーで試合終了時にいう〝ノーサイド〟は、試合後は敵も味方もなくなり互いを讃え合うという意味だ。  「朝高を通して見たラグビーは、人間が育つスポーツだと思えた。ラグビー部の呉英吉監督は〝こうしたら勝てる〟とは言わず、〝もっと生活をしっかりせい〟とか言う。こういう指導の下、部員たちは皆、やさしく、めちゃいい子たちなんです」  大阪朝高は5年連続全国大会に出場するほどの強豪校になったが、学校教育法1条で規定される学校でないため、長い間公式戦から排除されていた。  「皆がラグビーのようなノーサイドの精神があったら、全世界はこうならなかった」―思柔さんはナレーションのセリフに自分の気持ちを込めた。 続きは本紙で...


パク サユ

韓国・ソウル生まれ。2005年より韓国のニュース専門放送局の海外レポーターとして活動。10年、朴敦史さんと「コマプレス」を結成。『60万回のトライ』は大阪、名古屋で上映中。広島、東京、札幌、横浜、福岡などで順次公開予定。詳細はhttp://www.komapress.net/

【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
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