会社員と同じ目線で考えたい。
「警察にデモの申請に行ったとき、ジグザグデモはできませんよ、と言われて『それ、何ですか?』。全然分からなかったんですよね」
と楽しそうに話す、扇田りえさん。昨年10月30日の夜、仕事帰りのビジネスパーソンでにぎわう東京・新橋で初めての「脱原発☆スーツデモ」を行った。
この場所でのスーツ姿は珍しくない。むしろカジュアルな服装のほうが浮いてしまう。それでもスーツを着た約600人が大きく「脱原発」を染め抜いたバナーを広げて行進する様子に、街の空気ががらりと変わった。メディアが面白がって報じたこの時の写真に、なにか新しい時代の訪れを感じたのは私だけだろうか。
まさか自分がデモを企画することになるなんて…扇田さんは、美術系の大学を卒業後、東京のマスコミ関連の制作会社で約25年、働いてきた。街でデモを見かけても「違う世界にいる人たちだと思ってた」。
そこに福島原発の事故。4歳の子どもの将来を考えると、不安でたまらなくなった。まず夫が原発に反対するようになった。
「私もあの頃は、子どもの髪をシャンプーしたあとミネラルウォーターですすいでいました。不安で頭がいっぱいになっちゃうこと、『放射脳』って言うんですってね。でも、これからのことなんて誰も分からない。被ばくさせるために産んだんじゃない。そんな中で政府が20mSvまでOKと言ったので、ブチ切れちゃったんです」
もう黙っていられない! 仕事を終えて首相官邸前のデモにも参加するようになった。福井の大飯原発で再稼働の動きがあったときにも、夫、息子と3人で東京からクルマを飛ばしてかけつけた。
続きは本紙で...
せんだ りえ
1968年東京都生まれ。大学卒業後、マスコミ関連の制作会社で働く。2013年10月に東京・新橋でビジネスパーソンに脱原発を呼びかける「脱原発☆スーツデモ」を主宰し、話題になった。詳しくはウェブサイトhttp://suit-demo.com/