社会を変える文化をつくろう
Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)をご存じだろうか。サイトで賛同者を募ることで「変えたい」気持ちを形にするソーシャル・プラットフォーム。2007年に米国で設立され、現在世界196カ国で4000万人以上の人が利用している。
日本でChange.orgが12年8月に立ち上がってすぐに、一つのキャンペーンが成功した。日本代表女子サッカーチームである「なでしこジャパン」はロンドン五輪へ参加するため、男子代表サッカーチームはビジネスクラスだったにもかかわらず、エコノミークラスで空を飛び、合宿に入った。この差別に、「なでしこジャパン」のファンである2人の女性が立ち上がった。帰りの飛行機は男女平等に扱ってほしいという要望には2週間足らずで2万人の賛同が集まり、世界中のメディアがこの件を取り上げた。そして8月10日、日本サッカー協会は、帰国便を女子もビジネスクラスに変更し、男女の待遇差の改善を目指すと約束した。
この仕掛け人ってどんな人なのだろうと、会いに行った。
ハリス鈴木絵美さんはアメリカ人の父、日本人の母のもとに日本で生まれた。社会問題よりもビジネスに関心のある両親で、母は教育熱心だった。米・イエール大学に入学後に中国語を勉強したのも、将来ビジネスに役立つからだった。卒業後は競争を勝ち抜いて、コンサルティング会社のマッキンゼーに入社しコンサルタントとして働いた。
「マッキンゼーは若くても対等に扱う。いろんなことにチャレンジできていい環境だった」
仕事に没頭し、飛行機での移動も多かった絵美さんは2年足らずで腰を悪くし、歩くこともできなくなってしまった。25歳の危機だったという。
ちょうど08年のアメリカ大統領選挙の前で、友人の紹介で、オバマ現大統領の選挙キャンペーンに参加した。初めての黒人大統領、そしてオバマ候補は自分と同じ「ハーフ」だった。インターネットを使って若者が選挙運動に参加していき寄付を集めた。
続きは本紙で...
ハリス すずき えみ
1983年、東京都生まれ。父は米国人、母は日本人。インターナショナルスクールを経て、アメリカのイエール大学で東アジア研究を学ぶ。卒業後マッキンゼーで勤務。25歳で体を壊して辞め、オバマ候補の選挙キャンペーンに参加。Change.org日本ディレクター。