小さな声に寄り添っていたい。
「もし願いごとが叶うとしたなら 小さないのちの輝きを願おう」
原発事故後、脱原発デモで、「願いごと」という歌を耳にした人は少なくないと思う。歌っているのはチグリハーブさん。5年ほど前に作ったそうだが、3・11後に生まれた曲だと思いこんでいた。原発事故後の福島そのものに向けられるような歌詞だったからだ。
ジャーナリストの岩上安身さんから「原発いらない福島の女たち」の映像のテーマソングに使いたいと頼まれ、チグリハーブさんと、福島の女性たちとの交流の輪が広がっていった。
「願いごと」を、チグリハーブさんは「ふくしま集団疎開裁判」の集会でも歌った。
「私、すごくビビリなんだけど、今しかないと思って歌ったの。(インターネットなどで)世界に中継される場だったのに、原告の人たちの涙を見てるとね、私も大泣きして、つけまつげも落ちちゃってね」
かっこいいディーバ(歌姫)ではない。やはり岩上さんの番組でインタビュアーをしたこともあるが、マイクを向ける自分が泣いてしまった。
「『見てたけど、よかったよ』『大丈夫、大丈夫』と福島の人たちに逆に励ましてもらって、私何しに来てるんだって落ち込んだり。情けないんです」
ふだんのライブでは、いろんな歌を歌う。「エロくてせつない」昭和歌謡にも根強いファンがいる。
民謡を歌っていた父から期待をかけられたが、民謡や演歌でもクラシックでもなく、アイドルをめざすでもなし。20代にレコード会社からデビューを果たしたものの「自分の内面に熟成されたものがないから歌えないんだ、って分かってたの。おしゃれな曲を歌って有名になりたい、金欲しい、のアンポンタンだったのよ」
続きは本紙で...
チグリハーブ
1966年生まれ。10代からダンスホールなどで歌い20代に歌手デビュー。結婚、子育てを経て歌いたい歌に出会い、3・11後は脱原発デモや「ふくしま集団疎開裁判」で歌。 http://www.chiguriherb.jp/index.html