WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

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インタビュー

パフォーマンスアーティスト

イトー・ターリさん

  • 2013.05.25
  • 聞き手…大森順子
  • 撮影…落合由利子

イトー・ターリさん

生き方をアートで表現する

 パフォーマンスが分からない。これまでいろいろ見てきているのだけれど、理解できないもどかしさがつきまとう。初めてイトー・ターリさんのパフォーマンスを生で観た時、ゴム製の巨大なおっぱいが1つ会場に現れ、それを観客みんなでいっしょに弾ませながら、心が無になって楽しんでいる自分がいた。そうか、それでいいのか、分からなくても。  照明を浴びてパフォーマンスアートをしているターリさんは、女でも男でもなく、誰でもなくて、ただひとりのアーティストとしてそこにいる。パフォーマンスをすることで何かを伝えようとしている、ものすごくカッコよくて、クラクラするほど色っぽい。手が届かない大きな存在感。それが、私服に着替えて隣にちょこんと座っていると、普通のどこにでもいるような年配の女性にほかならない。そのギャップの大きさ。一体どんな魔法を使ったの、と聞きたくなった。  大学生の時、パントマイムの身体訓練に出合った。時は1970年代初め、学生運動花ざかりの頃。しかし、学生運動に邁進できない自分、イデオロギーが遠くに感じられて、頭で共感する運動から乖離する自分がいた。自分の言葉や実感を持ちたいと思った。「マイムはストーリーを語るけれど、やはり、もっと美術的なものを、客を巻き込んで即興で一緒に空間を作るようなものがしたい」。マイムからパフォーマンスアートへとシフトする。迷いながらも、80年代の終わり頃から、一つのテーマにたどり着く。それは「皮膚」「スキン」。今でもターリさんといえばラテックスの服、というイメージが強烈だ。それは、自分と他者との境界を追求した結果、たどり着いた究極の素材。「引っ張れば引っ張り返される、跳ね返りの素材としての面白さ。皮膚感覚に対する敏感さ」。それ以来、ターリさんはゴムの素材に執着する。 続きは本誌で...


イトー ターリ

1951年東京都生まれ。身体表現を始めて40年、身体は疲れ、ケアに余念のないこの頃。『ムーヴ あるパフォーマンスアーティストの場合』を昨年12月に発行。振り返る時間を得て、今、アグレッシブにパフォーマンスしてゆきたいと願う。黒猫グレと母と暮らす。

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