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インタビュー

枯葉剤被害を描く『沈黙の春を生きて』監督

坂田雅子さん

  • 2011.09.15
  • 聞き手…栗原順子
  • 撮影…落合由利子

坂田雅子

私たちは未来の世代に責任がある

50年前の夏、ベトナムに白い粉のようなものが大量に降った。ベトナム戦争時、米軍が、南ベトナム解放民族戦線の拠点を壊す目的で撒かれた枯葉剤だ。1961年から10年間散布された枯葉剤は、猛毒なダイオキシンを含み、森を枯らし、川を汚し、人々の命を蝕んだ。  300万人のベトナム人が健康被害を受けたといわれ、被害は2世代、3世代にまで及ぶ。被害に苦しむ人たちに寄り添い、枯葉剤の傷跡を追っている人がいる。坂田雅子さんだ。  坂田さんは、2003年春、ベトナム帰還兵で、フォトジャーナリストの夫グレッグ・デイビスさんを肝臓がんで亡くした。入院して2週間後の早過ぎる死。深い悲しみと大きな喪失感の中で、夫の親友から「病気の原因は枯葉剤だと思う」と告げられ、心の奥からの慟哭に突き動かされるように、枯葉剤の映画制作を決意する。  「本当に映画ができるのかは分からなかったけれど、夫を失った空洞感が大きくて、その時は何かにすがりたいという必死な思いでした」  当時、写真通信社の社長であった坂田さん。映画制作は初めてで、アメリカでドキュメンタリー映画制作の基礎を学んだ後、ベトナムとアメリカで枯葉剤の被害者、帰還兵や科学者などへ綿密な取材を重ね、07年、ドキュメンタリー映画『花はどこへいった』を完成させた。  枯葉剤の被害の深刻さを描くと同時に、先天的な障がいがありながらも力強く生きるベトナムの子どもたちや支える家族の温かさ、亡き夫への鎮魂を映した作品は、毎日ドキュメンタリー映画賞など、数々の賞を受賞し、高く評価された。
続きは本誌で...


さかた まさこ

1948年、長野県生まれ。76年~2008年、写真通信社に勤務および経営。今年制作した「枯葉剤の傷痕を見つめて アメリカ・ベトナム次世代からの問いかけ」はNHKで放送され、ギャラクシー賞などを受賞。著書に『花はどこへいった 枯葉剤を浴びたグレッグの生と死』。

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